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WISH and DREAM  作者: 樋夜 柊
IKNOW編
26/55

第二十四話 協定代表者とIKNOW

「誰だ? お前は?」

 マキさんが聞くと、女はニヤリと笑って、

「私は、そうだな。『IKNOW』のクラウンと言えば、まぁ、だいたいの奴はわかるんじゃないか?」

 僕は誰だかわからなかったが、『IKNOW』と言ったため、警戒し、身構えた。すると、

「お前は‼」

 そう言って、身を乗り出したのはフウさんだった。

「知ってるの?」

「あぁ、あいつはこの前私が話した通り、私の依頼を妨害した奴だ。気を付けろ、かなり強いぞ」

「そんなもの・・・・」

 そう言って、マキさんは前に出た。そして、

「私の前では関係ない‼」

 とSCを発動した。しかし、

「君ができるのは、SCを弱めるだけ。だよね?」

「・・・っ‼」

 

 ドスッ‼


 そんな鈍い音が聞えたかと思うと、マキさん倒れた。

「なっ‼」

「ほらほら、どうしたんだよ‼ 各ギルドの代表者さんよ‼」

「・・・この‼」

 そう言って、僕たちは皆一斉に女の所へ駆けて行った。


「・・・くっ‼」

 数十分経った。立っていたのは、まさかの、

「にゃははは‼ おいおい、もうちょい頑張ってくれよ。相手にならないよ、そんなんじゃ」

 女だった。

「や~、しかし、やっぱり。あいつの予想は外れるな。さすがだ」

「・・・外れたら・・・」

 僕の横からそんな呟きが聞えたかと思うと、

「・・・なんでここがわかった‼」

 そう言って、カレンが女の死角から攻撃するが、

「おいおい、不意打ちはよくないぞ」

 そう言って、僕ですら見えなかった攻撃を避けた。

「・・・残像‼」

 そう言って、カレンは残像を作り、女を囲った。しかし、女はため息をつき、

「・・・あのさ」

「・・・っ‼」

 女は後ろからのカレンの攻撃を回避し、腹を蹴り飛ばした。カレンは壁に激突し、倒れた。女は鼻で笑い、

「どんなに強い攻撃でも、SCでも、避けられ、攻撃されたら意味がない。クラウン、道化師の名は伊達じゃないぞ」

 そう言って、ギルドの出入り口の方へ向かって歩いて行った。

「・・・ひとつだけ、聞かせろ」

 僕はそう言って、床に膝をつきながらも、顔は女の方を見て言った。

そんな僕の目の前には、血を流し、気絶する代表者の皆と、シルフィンのギルドマスターとギルドメンバーの奴らが倒れていた。女は鼻で笑い、

「この光景を見て、話せるなら、話してみるがいいさ」

「・・・・『IKNOW』にはお前みたいのがたくさんいるのか?」

 僕はそう聞くと、

「にゃははは、だといいねぇ‼ だけど、残念。私より強い奴はいるよ。だって、八人の幹部の中で私は・・・そうさね。六番目くらいじゃないかな?」

(なんだよ、それ。そんな奴らと、僕たちは・・・・)

「お前らは一体、何が目的なんだ・・・」

「私達の目的? あぁ、そうだな。『自由』のため」

「・・・なんだそれ」

「詳しくは教えてあげられないけど、私達の目的には、『ギルド』って組織が邪魔なんだよ」

「・・・そんな・・・」

 僕は意識が朦朧(もうろう)としてきて、ばたりと倒れる。

「あぁ、そうそう。別に私達のこの襲撃は別にこのギルドに限った事じゃない。私らの幹部に『予測外れ』っていうSC所持者がいて、そいつの予想はすべて外れる。今日は三ギルドが攻めてこないって急に言い出して、詳しく聞いたら、集合するとしたら、各ギルドに少なからずは現れないって予想だったから、君らの三ギルドを襲撃させてもらった。つまり、君らのギルドも今頃・・・・」

 そう言って、高笑いし、女はギルドを出て行った。僕は立ち上がり、追いかけようとするが、視界が徐々にぼやけていき、数秒後には目の前が暗転して見えなくなっていた。


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