第二十四話 協定代表者とIKNOW
「誰だ? お前は?」
マキさんが聞くと、女はニヤリと笑って、
「私は、そうだな。『IKNOW』のクラウンと言えば、まぁ、だいたいの奴はわかるんじゃないか?」
僕は誰だかわからなかったが、『IKNOW』と言ったため、警戒し、身構えた。すると、
「お前は‼」
そう言って、身を乗り出したのはフウさんだった。
「知ってるの?」
「あぁ、あいつはこの前私が話した通り、私の依頼を妨害した奴だ。気を付けろ、かなり強いぞ」
「そんなもの・・・・」
そう言って、マキさんは前に出た。そして、
「私の前では関係ない‼」
とSCを発動した。しかし、
「君ができるのは、SCを弱めるだけ。だよね?」
「・・・っ‼」
ドスッ‼
そんな鈍い音が聞えたかと思うと、マキさん倒れた。
「なっ‼」
「ほらほら、どうしたんだよ‼ 各ギルドの代表者さんよ‼」
「・・・この‼」
そう言って、僕たちは皆一斉に女の所へ駆けて行った。
「・・・くっ‼」
数十分経った。立っていたのは、まさかの、
「にゃははは‼ おいおい、もうちょい頑張ってくれよ。相手にならないよ、そんなんじゃ」
女だった。
「や~、しかし、やっぱり。あいつの予想は外れるな。さすがだ」
「・・・外れたら・・・」
僕の横からそんな呟きが聞えたかと思うと、
「・・・なんでここがわかった‼」
そう言って、カレンが女の死角から攻撃するが、
「おいおい、不意打ちはよくないぞ」
そう言って、僕ですら見えなかった攻撃を避けた。
「・・・残像‼」
そう言って、カレンは残像を作り、女を囲った。しかし、女はため息をつき、
「・・・あのさ」
「・・・っ‼」
女は後ろからのカレンの攻撃を回避し、腹を蹴り飛ばした。カレンは壁に激突し、倒れた。女は鼻で笑い、
「どんなに強い攻撃でも、SCでも、避けられ、攻撃されたら意味がない。クラウン、道化師の名は伊達じゃないぞ」
そう言って、ギルドの出入り口の方へ向かって歩いて行った。
「・・・ひとつだけ、聞かせろ」
僕はそう言って、床に膝をつきながらも、顔は女の方を見て言った。
そんな僕の目の前には、血を流し、気絶する代表者の皆と、シルフィンのギルドマスターとギルドメンバーの奴らが倒れていた。女は鼻で笑い、
「この光景を見て、話せるなら、話してみるがいいさ」
「・・・・『IKNOW』にはお前みたいのがたくさんいるのか?」
僕はそう聞くと、
「にゃははは、だといいねぇ‼ だけど、残念。私より強い奴はいるよ。だって、八人の幹部の中で私は・・・そうさね。六番目くらいじゃないかな?」
(なんだよ、それ。そんな奴らと、僕たちは・・・・)
「お前らは一体、何が目的なんだ・・・」
「私達の目的? あぁ、そうだな。『自由』のため」
「・・・なんだそれ」
「詳しくは教えてあげられないけど、私達の目的には、『ギルド』って組織が邪魔なんだよ」
「・・・そんな・・・」
僕は意識が朦朧としてきて、ばたりと倒れる。
「あぁ、そうそう。別に私達のこの襲撃は別にこのギルドに限った事じゃない。私らの幹部に『予測外れ』っていうSC所持者がいて、そいつの予想はすべて外れる。今日は三ギルドが攻めてこないって急に言い出して、詳しく聞いたら、集合するとしたら、各ギルドに少なからずは現れないって予想だったから、君らの三ギルドを襲撃させてもらった。つまり、君らのギルドも今頃・・・・」
そう言って、高笑いし、女はギルドを出て行った。僕は立ち上がり、追いかけようとするが、視界が徐々にぼやけていき、数秒後には目の前が暗転して見えなくなっていた。




