第二十二話 それぞれの再会と新たな出会い
「なんでと聞かれたら、選ばれたからに決まっているだろ。つまり(・・・)、実力だよ、実力」
突然、カレンに襟を掴まれた男は、ニヤリと笑ってそう言った。僕は『つまり』という男の言葉を聞いて、
「・・・あ、初依頼の時の‼」
と手を叩いて、僕は言うと、カレンは一度、襟から手を放し、
「海賊とかやっている悪党はギルドに入れないはずだが?」
「あぁ、ガマ口海賊団のことか? あれならもうやめたが?」
「は?」
そう返すカレンを見て、ラットは僕に、
「なんか? カレンの様子がいつもと違うような気がするんだが?」
と耳打ちをしてきたため、僕は、
「あ、ラットは知らないんだっけ。実はカレン、二重人格なんだ。たしか、第一人称も変わるはず。だから・・・・」
と僕がそんな説明をしている時、カレンが、
「俺は認めないからな‼ お前のギルド加入なんて‼」
「お前が認めなくても、ギルドは認めた。つまりそれだけの話ってことだよ」
という会話が遮り、僕はラットに、な? と言った。
そして、そんな二人を見て、
「・・・・二人とも、その辺で終わってね~」
あ~、とあくびをして、ギルドの奥から腕をぶらぶらと揺らしながら、痩せこけた男が出てきた。
「誰や、自分」
アカネがそう言うと、
「あ~、僕? え~とね~、僕は~、あ~、なんか自己紹介面倒くさいから、しなくてもいい~?」
「な、なんなんや、まじで・・・」
とアカネは苦笑してそう言った。そして、初依頼の時の男を睨みつけていたカレンもその脱力した男に視線が向いた時、横からはぁ、とため息をついて、
「相変わらずだな、アメ」
とフウさんがそう言った。
「ん~、その声は~、フウかい? これまた久しぶりだな~」
そう言って、にやぁと笑う男に、フウさんは、
「お前も選ばれたのか?」
と聞いた。すると、
「うん~、面倒くさいよね~」
と言って、ぐた~、とその場に寝転がった。
「え? この人が、選ばれた奴なのかよ・・・大丈夫か?」
そう言うタクトにフウさんは、
「あぁ、たぶん心配には及ばない。こいつの実力は私が知っている。たぶん、このギルドの代表者だ。私と一対一で戦っても、いい勝負になるだろう」
「いったい誰なんですか?」
僕はそう聞くと、
「アメ・シグマ。私と同じ七鬼『怠惰な蛇神』だ」
「怠惰な蛇神?」
僕はそう聞くと、フウさんは、
「まぁ、いずれわかる」
と答えた。
そして、
「集合が早いな。いい心がけだ」
と言って、ギルドの出入り口からまた新たなギルドの人が現れた。
「相変わらず偉そうだな」
「当たり前だ。私は偉いのだからな」
そう言って、フウさんの言葉に黒いワンピースを着た、金髪のポニーテールで体格が大人びた女の人が赤い唇でニヤリと笑ってそう返した。
「まさか、お前のとこのギルドも選ばれているとはな」
「当然だ、強いんだからな」
そう言う女をフウさんは睨みつけて、
「お前のそういう人を見下した態度が気に入らんな」
と言った。ラットは、
「なんだよ、また七鬼か?」
と聞くと、コクリと頷き、
「あぁ、こいつは都市の中にあるギルド『黄金の大蛇』の七鬼『傲慢な女神』マキ・シールロ。私が一番苦手な女だ」
「奇遇だな、『強欲の風神』、フウ・カルム。私もお前が嫌いだ」
「・・・ならなぜ来た‼」
そう言って、フウさんは大風を起こす。すると、ギルドを壊さないくらいの中くらいの竜巻ができ、女の方へ向かって行った。一方、女は、
「それは当然・・・」
と言って、目を大きく見開いて、
「・・・・私が強いから‼」
と言うと、フウさんが作った竜巻はみるみるうちに弱まっていった。
「なんだ、この能力は・・・」
僕がそう呟くと、
「あぁ、あれね~。あれは~、たしか~、『自尊心強化』とかいう感情系SCだったっけな~。細かい能力内容は覚えるのが面倒だったから、覚えてないな~」
と横から急にシルフィンの七鬼アメ・シグマが出てきてそう説明してきた。そして、
「自尊心強化か・・・他人を見下せるだけの絶対的自信の強化。たしか、相手のSCを弱体化させる力だったかな」
と僕の肩に乗っていたグミが説明した。すると、
「あ~、そんな感じだったっけ。ていうか、何でしゃべれるの~」
なんて質問をされたけど、五秒くらいで、まぁ、どうでもいいか、とあくびをしてギルドの奥に歩いて行った。
(自尊心強化・・・ね・・・)
と思っていると、
(うん、強いでしょ、うちの七鬼)
なんて声がどこからか聞こえた。僕は驚いて、
「え、誰⁉」
と言った。それを、カレンやラットは不思議そうに見て、首を傾げ、どうした? と呟いた。僕は、いや、なんでもないと首を横に振り、
(いったい・・・誰が・・・・)
と考えていると、
(ここ、ここ‼ 君の右横だよ、右横‼)
とまた聞こえ、僕は右を向くと、そこにはフード付きの赤いパーカーを着て、青いミニスカをはいた茶髪の小柄な女の子が笑って手を上げて、こっちを見ていた。




