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WISH and DREAM  作者: 樋夜 柊
犬猿のギルド編
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第十三話 戦闘と教え

「どうした、最初の勢いは? 牛共‼」

 私とコルアとサナは船の床に膝をつき、目の前の赤黒い髪の男を見た。

「・・・畜生‼」

「・・・負けるか‼」

「・・・早く寝たい‼」

 そう言って私とコルアと自分の睡眠欲をのせて叫んだサナは、男に飛び掛かる。それを見た男は、

「いいねぇ、もっと燃えさせてくれよ‼」

 そう言って、拳を構えた。

 私は男の前で手を合わせて、SCを発動。男は、

「・・・‼」

 と目を(つぶ)り、その隙にコルアは剣を抜き、振り上げた。しかし、

「・・・そこか・・・」

 となぜか目を瞑っているのに、まるで見えているかのように片手を床につけ、コルアの横腹に回し蹴りをした。

「くっ・・・‼」 

 私はサナと二人で拳を握り、パンチ。しかし、それも普通に手で受け止められ、そのまま二人を揃って、背負い投げをされた。

 

 バン‼ バン‼


 必死にムーとマイの姉妹は狙撃するが、男はニヤリと笑って、それを避け、近くに転がっていた大砲の弾を握ってぶん投げた。

「まず、ここか・・・」

 ボン‼ という大砲の爆発音とともに、わぁぁぁぁ‼ という叫び声が聞こえた。声でなんとなくわかったが、信じたくなかった。その声が『迷彩』のSCを持った、マイの声だなんて。

(・・・この人、めっちゃ強い・・・)

 私達が船に最初に乗り込んだ時、多勢に無勢という言葉が嘘みたいに思えるほど、敵はたくさんいたのに弱かった。

 私が合掌をして怯んだ瞬間、コルアとサナが攻撃し、ムーとマイが狙撃。そんな理想的な戦い方が出来ていた。テンポよく、リズムよく、敵を倒していき、これは思ったよりも早く終わるなと思った。

 しかし、この赤黒い髪の男が出て来た時、戦況は一気に変わった。

 さっきもそうだったが、見えていないはずなのに、まるで見えているかのように的確に攻撃してくる。

 だから、私が合掌で猫だましをし、目を瞑らせても、SC『迷彩』を持っているマイでも、的確に、正確に見えているかのように攻撃した。

「・・・俺のSCに勝てるとでも?」

「・・・‼」

 赤黒い髪の男は私の顔を見てニヤリと笑う。

「お前らだって知っているだろ? 『野生の勘』ってやつ。よく動物とかが持っている勘だが、あれは俺ら人間にもあるんだぜ。俺はそれが強化された。ただ別に単なる生まれつきの勘が強化されたSC。この肉体は俺が少し鍛えただけだ。つまり、『天才』ってやつだな。七鬼のゴルドとマスター除けば俺がたぶんギルドで一番強い」

「・・・そんなの・・・強いわけがないだろ・・・・」

 私は立ち上がった。

「あぁ? なんだと?」

「・・・合掌‼」 

 私は手を合わせて、男を目くらまし、そして、

「・・・くらえ‼」

 と拳を握り、顔面に向かってパンチを・・・

「・・・だからさ・・・」

 とまた手を受け止められ、背負い投げをして、さらに起き上がろうとしていたところを蹴り飛ばされた。

「・・・諦めろ。もう勝てないんだよ、お前ら」

「・・・勝てる」

 私は立ち上がった。

「逆境の時こそ、チャンスに変える力か・・・」

「なんか言ったか?」

 男に聞かれ、私は

「いや、何。私の師匠の教えだよ」

私は、このチームができる前、長い黒髪の女の師匠がいて、その師匠はある日、私に聞いた。

『この世の中で一番強い力はなんだと思う?』

私は迷わず、

『身体的な力、実力』

と答えた。すると、そっか、そっか、と頷き、

『確かにそれもすごい力だね。けど、私は違うと思うんだよ。私は『ある三つ気持ち』がある人こそ一番強いと思う』

 私は、それに対して、

『三つの気持ち?』

と聞いた。すると、師匠は頷いて、

『一に『覚悟』。この気持ちを持った人はどんな逆境にも耐えることができるだろうから強い。次に『勇気』。この気持ちは何かを始めよう、何かを止めようとする始めの一歩を踏み出すために必要な力だ。故に強い。だけど、それに対抗し、私がその三つの気持ちで一番大事だと思う気持ちは・・・』


「・・・『その時の状況を楽しむ気持ち』」


 私はそう呟いた。そして、

「あはははははははははははッ‼」

 と笑った。

「どうした? 気が狂ったか?」

 男がそう聞いてきても無視して、笑った。大声で。盛大に笑った。

「なんだ? 何がそんなに面白い」

 私は床を叩き、大声で笑った。

「もういい」

 そう言って男は私の所に来て、拳を振り上げ、言った。

「・・・うるさい。もう黙って死ね」

 そう言って拳を振り下げた。

 その振り下げる速度が、さっきまで早く感じたあの速度が、遅く、まるでスローモーションの動画を見ているかのように遅く見えた。

 そして、私は笑いながら、立ち上がり、そして、

「吹き飛べ」

 と笑いながら懐に潜り込み、思いっきり腹に拳を叩きつけた。

 そして、男は船の場外、海まで吹き飛んでいったのだった。

「逆境破壊」

 私は深呼吸をして、そう言った。


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