第八話 海と陸
「・・・・予想より早すぎる」
「まじかよ」
各々がそんな声を上げて驚く中、サキさんは皆に、
「皆さん一旦ギルドに戻ってください」
と指示した。僕は初依頼の時に戦った海賊たちの船を思い出す。あれは木で出来た大きな帆船だった。一方、僕ら船はギルドで手配された手漕ぎ船だったことを思い出す。だから、正直どのギルドも手漕ぎ船のような船だと思っていた。しかし、それはどうやら違うようで、荒波の船はあの時の海賊船と同じくらい大きな船だった。
だが、納得は出来た。なぜなら、荒波はギルドショップで魚を売っているとさっきサキさんが言っていたからだ。だから、船が大きいのも納得できた。
(適材適所ってやつか)
僕はそう思いながら、荒波の船を見ていると、
「おい、早く戻るぞ」
とラットに肩を叩かれた。
僕はギルドに戻ると、外ではまた僕らのギルド狙った大砲の音がいくつか聞えた。
「これはまずくないか?」
僕はサキさんにそう言うと、サキさんは頷いて、
「皆さん。このままでは危険です。ですから、今から二つのグループに分けます。ソロで活動している人は個人で判断して、パティやチームで活動を行う人はメンバーとよく相談して、その代表者が今から言う二つのグループのどちらかに手を上げてください」
「二つのグループ?」
誰かがそう聞くと、まだ大砲の砲撃の音が外で聞こえる中、
「はい。それは海と陸のグループです」
と言った。
◇
「海はあの大きな船を迎撃しつつ、敵陣本部へ向かうグループ。そして、陸はこのギルドを守る守護隊と、後ろでサポートする後衛隊と、正面突破を試みる前衛隊か。タクトの能力的に海の方が・・・」
「いや、すまん。無理だ」
サキさんは防衛することができるSCを一度ギルドの外に出し、ギルドを守護させた。そして、それ以外の全員にはどちらの隊に入るのか考える時間を与えた。
俺はタクトに提案するが拒否された。
「なんでだ?」
「おそらくだが、あれは木製の船じゃない」
「ん? というと鉄か?」
俺はそう聞くと頷いた。
タクトの能力『強声』は超音波で衝撃波を起こし、対象のものを破壊する。ただ、それは破壊する対象物の強度による。
例えば、岩や木なんかは大抵一発で壊せる。ただ、鉄や硬い鱗をもつ猛獣、甲羅なんかは何発も打って破壊する。つまり、今回の船を破壊するには何発も打たないと破壊出来ないのだった。
「ここで全部使って、船を破壊するって策もいいが、それはおそらく相手も想定内だろう。だとしたら、その策は使わないほうがいい」
「・・・確かに。お前がまともな意見を言うとは・・・」
と俺は意外そうな表情を浮かべると、おい、と頭をはたかれた。俺は、叩かれた箇所を摩りながら、
「んじゃ、陸ってことでいいか? エマ」
「ん? あぁ、その方がよさそうだね」
そう言って頷き返した。
そして、サキさんの所へ向かった。すると、どうやらみんなも決まったらしく、サキさんの所に集まっていた。
「それじゃまず、陸チームは挙手をお願いします」
それにエマは一度俺の顔を見て、確認をとった。俺は頷くと、わかった、と頷き返し手を上げた。
「あれエマさん達はタクト君の能力的に海だと思ったんですが」
そう言うサキさんに俺は、
「敵もそれを察してそれなりの対策を考えているだろう。だから、あえて陸を選んだ」
と代わりに答えた。すると、サキさんは
「・・・なるほど。わかりました」
と納得して、頷いた。
「では、あの船をどうしょうか。ギルドの守護隊も破られるのは時間の問題でしょうし・・・」
「はいはい‼ 私達行きたい‼」
そう言って現れたのは銀髪の女の子だった。
(あれは、『リベリオン』のミイ・・・とか言ったっけ?)
俺は初依頼を受けて、疲れが溜まったため数日休んでいた時、エマとカレンとグミは依頼を受けて、その時対戦したとたしか言っていたのを思い出した。
「えっと、お願いしてもよろしいですか?」
「うん、任せてよ‼ 僕らリベリオンに‼」
そう言って、サキさんにピースをした。
「それでは、皆さん‼ 各自準備が整ったら出撃してください‼」
サキさんがそう言うと、皆、おー‼ と拳をかかげた。




