プロローグ
皆さん、初めまして‼ 樋夜柊です‼
初投稿ですが、遠慮せず感想は勿論、どういうところがダメか指摘やアドバイスをどしどし送信していただければ幸いです。
どうか最後までお楽しみください‼
(・・・・ここは?)
目を覚ました僕は周りを見渡した。そこは静かな場所で、本をめくる音だけが周りから聞こえてきた。
寝ぼけていた頭も覚醒してきて、思い出す。
(・・・・そうか。僕は今日、近所の図書館に本を借りに来た・・・・んだ・・・・)
僕は再び睡魔に襲われ、そのまま寝てしまった。
そして・・・
「・・・ん、ンンッ!」
僕は肩を叩かれ、振り返ると咳払いをしてこちらを睨みつけている司書さんがいた。
「ちょっと、君・・・・・いいかな?」
そう言って、司書さんは僕を注意し、図書館から追い出した。
僕の名前はエマ・ドリーム。
とある島に住む『普通』の住人だ。でもこの島で『普通』というのは非常に困る。
なぜなら、この島では自分の個性が武器となるからである。
僕の横を尋常じゃないくらい速く走る男の子も、家をじっと見つめているストーカーも、ペコペコ礼をして謝罪をしている男の身体から幽霊が出ているのもすべて個性が強化されている。
たぶん、尋常じゃないくらい速い男の子は『足の速さ』が強化され、ストーカーはきっとこの家に好きな子がいて『透視』をしているのだと思う(一応、通報した)。身体から幽霊を出している人は、いろんなことを考えすぎて、そのせいで自分の気持ちが自分の心に納めきれなくなり、『幽霊』になって逃げていっているのだろう。
これらすべては推測にすぎないが、自分の個性が武器となるというのは本当である。それがこの島『スリージース島』の力だった。
しかし、僕は個性とか、特技とか、そんな特別なものはない。故に『無能力者』である。
(・・・・本を読んだり、書いたりするのは、好きなんだけどね・・・・)
昨日も徹夜で小説を書いていた。でも、なかなか筆が進まなかったため、気晴らしにと、図書館に本を借りに来たのだが、あまりの静けさに眠ってしまい、結果、図書館を追い出されてしまったのだった。
ところでなぜ、この島民はそんな力が使えるのか。
それは、約八十年も前に遡る。
その時の僕らの先祖は今とは別の所に住んでいた。それには深いわけがあって、そもそもこの島の北側にはフロックリー王国という王国があり、そこで先祖が暮らしていた。
とはいえ、当時は別に何不自由なく、皆が平等の平和な国で魔法や超能力なんかも使える人がいたらしい。
しかし、ある年を境にそれが変わった。
それは国王が死亡し、国王が変わった時の事だ。
そして、国王としての実権を握った新国王は、その権利を悪用し、貴族中心の国にしたのだった。
そうしたことにより、貴族ではなかった僕らの先祖は自由の権利を奪われ、奴隷にされたり、気に入らなければ殴られ、殺される者もいたらしい。
その政権が気に入らなかった僕らの先祖は国王を政府に訴えるが、新国王は政府に賄賂を渡した。だから、政府は勿論、政権を決める役員の奴らまで買収され、結果的に政権がなくなることはなかった。
我慢できなくなった先祖たちは立ち上がり、反乱や戦争をし、革命を起こそうとした。しかし、結果は全戦惨敗。人々は殺され、革命も反乱も失敗に終わった。
それに耐えきれなくなった先祖はこの島に移住することを決意した。
そして、この島に踏み込んだ瞬間、先祖たちは島の不思議な力に気付く。先祖はこの出来事を『スリージースの奇跡』と名付けた。
そして、個性が強化される、魔法でも、超能力でもないこの力を、人々は『技術強化』通称『SC』と呼んだ。
そして、この力を使い、団結すれば、王国兵を倒せるのではという当時の島民の意見にのっかり、再び王国に挑んだ。
しかし、結果は変わらなかった。
王国の兵隊たちが使う武器や兵器、魔法、超能力が強力すぎたのだった。そして、なぜか『SC』も使えなくなっていた。そして、次々と殺されていき、戦場は地獄の様だった。
しかし、この戦いに勝利したのは、島民でも王国でもなく、たった一人の謎の無能力者だった。
『無能力』というのは、SCは勿論、魔法も、超能力も使わず、ひたすら自分の拳を使って戦っていたためそう名付けられた。だが、その男は黒いマントを上から羽織っており、姿が見えなかったらしい。
彼は、勝ち目のない島民を逃がすため、次々と王国の人を倒していき、王国軍を退却させ、その後姿を消した。そして、今なお見つかっていない。
一説では、恋人も友人も殺された、王国の一般貴族、もしくは島民が悲しみ怒り、終戦のために立ち上がったのではないかとされているが、実際はわからない。
でも、どちらにせよ、この島の『救世主』とされ、像が置かれている。
ちなみに、島民で私やその男のような『無能力者』が誕生する確率は、百万人に一人いるか、いないからしい。
(・・・僕も使ってみたいな~)
そんな事を思いながら街を歩いていると、
「やぁ、エマ」
「・・・お、よぅ」
足元を見ると僕の相棒のリス、グミがいた。
グミはリスの中でおしゃべりなせいか、人の言葉をしゃべり、理解することもできるのだった。この島でのSCは人間とか、動物とかは関係なく付与されるのである。
グミは僕を見るとため息をつき、
「・・・・まぁ~た、エマそんな女の子らしくない服着て・・・・それになんだよ、その言葉遣い・・・・」
僕は頬を膨らませて言った。
「いいじゃないか~‼ 別に動きやすいんだし」
「だめだよ‼ ちゃんとおしゃれしなくちゃ‼」
しかし、グミがそう言うのも無理はないのかもしれない。下が青く膝くらいの丈しかない短パンで、上が黒いTシャツに革ジャンを羽織って、いかにも男子っぽい格好をし、口調もそうだからである。
勘違いをしてる人がいるかもしれないけど、僕は女です。
グミが僕の下半身、そしてお腹、胸をよじ登り、肩の上に腰をおろした。
「お前、ほんとそこ好きだよね」
「まぁね。それにしても、ほんとエマは登りやすいね」
「どういう意味?」
「そのままの意味さ」
とグミは僕の胸を見た。
「今から、育つんだ」
と僕はグミにデコピンした。
僕はそんなグミを肩に乗せて再び歩く。
突然の自分物語だけど、僕とグミが出会ったのは、僕がまだ五歳の時だ。
その時の僕は、まだスカートをひらひらさせて、口調も女の子らしい普通の子だった。髪型は茶色の髪のショートのストレートパーマの今だが、この時は髪が今より少し長めでカチューシャをかけていた。
そんな中、森の中を散歩していた僕の前に五十年リスのグミが来た。
五十年リスはこの島にしかいない希少種で、その名の通り、五十年生きることで有名なリスである。要は他のリスより長生きするリスなのである。また、他の動物とは違い、喉が発達していて、話すことができる。まあでも、リス語っていう人間には理解できない言葉だけど。
しかし、そんなグミが、僕を初めて見た時、開口一番に、
『その髪。長くて、うざったいね』
と言ってどこかへ行ったことは今でも忘れない。
だって突然、人間の言葉を話すリスと出会ったんだ。それだけでも衝撃的なのに、そのリスが開口一番にそう言ったんだ。簡単に忘れられるわけがない。
それから僕は、髪を切り、今みたいな男の子っぽい髪になり、徐々に口調、格好も変わっていった。そして、気付いた時にはボーイッシュな僕が誕生していたのだった。
(・・・・よくよく考えれば、こうなったのって、お前のせいなんだよな)
そう思いグミの顔を見るが、
「・・・・?」
『なに?』と言わんばかりのきょとんとした顔で僕を見つめてきた。
ちなみに、グミは未だに僕があの時の女の子だとわからない。いや、もしかしたらあの時のリスはグミと似たようなSCを偶然持ったリスだったのかもしれないが、とにかく、僕はその後、再び森に探検しに行って、それまた偶然再会するのだった。その時のグミは迷子になった妹を探していた。僕はそんなグミを助けて、仲良くなった。今では家族みたいなものである。
僕はグミとの出会いの思い出にひたりながら、ふと横を見るとそこには『Tショップ オオミヤ』と書かれた喫茶店があった。この間、ここを通った時はここに喫茶店なんてなかったのだから、きっと新しくできたのだろう。
僕はその喫茶店の前で目を輝かせて立ち止まると、肩にいるグミはため息をつき、
「・・・・やれやれ、エマってそういうとこは女の子っぽいよね」
「失礼な。僕は女の子だよ‼ 『ぽい』じゃないぞ‼」
そう言って、僕は喫茶店に入った。
◇
「ずいぶんと遅くなったな・・・タクト」
昨日、島のギルドの依頼を受け、その依頼先の近くに新しく喫茶店ができたと聞いたため、前から行ってみたかった俺、ラット・カルムは、同僚で赤髪の相棒のタクト・フリーアースという男と待ち合わせをしようと提案した。
そして、その待ち合わせ時刻から三十分後、タクトは俺の机の前に過呼吸になって現れた。
「ごめん、ごめん‼」
頭をペコペコ下げる目の前の彼を俺はまじまじと見て、
「・・・一応、遅れた理由を聞こうか・・・」
と紅茶を一飲みして、そう言った。
「人波に巻き込まれた・・・・」
「・・・・」
嘘に決まっている。
確かにこの喫茶店は新しくできたばかりだが、正直、周りを見渡してもそんなに混んではいない。各々(おのおの)、やることがあるのだから、優雅に紅茶なんて飲んでいる暇はないのだろう。俺はタクトを睨みつけた。
ちなみに俺のSCは睨みつけたものを凍らせる能力である。そのため、タクトの身体は足から徐々に凍っていった。
「わかった‼ 正直に言うから、人波に巻き込まれた夢を見たの‼」
「・・・つまり? 寝坊か?」
「そう、正解‼」
何かむかついたので、とりあえず手刀でこいつの頭を一発殴った。
「痛っ‼」
頭を抱えて塞ぎ込む。
「・・・・いい加減直せ。その遅刻癖・・・」
「だから、謝ったじゃないか‼」
とアッパーをされた。
やれやれ、依頼よりも先にこいつを鎮圧しないとダメらしい。
◆
(・・・・ん? ケンカか?)
レモンティーを飲んでいた僕は遠くで黒髪の男と赤髪の男が争っているのを目にした。
(たく、もう少し場所をわきまえてもらいたい)
そう思いながら、レモンティーを一口飲む。
「本当にレモンティーはおいしいな~」
そう言いながら、もう一口飲む。グミはミルクを飲んで、
「そこだけ聞けば、女の子っぽいんだけどね」
僕は少しイラッときて、
「いや、さっきも言ったけど、女の子っぽいじゃなくて、女の子だよ?」
「そう言うなら、その格好と口調を直しなよ・・・」
グミはそう言って、ニヤッと笑う。
「・・・それ、グミが原因なんだけど⁉」
「・・・何それ? そんなの知らん」
僕はそう言って首を傾げるグミに言い返そうとしたその時、
「・・・・おっと」
そう言って僕たちの席に誰かがぶつかった。
その瞬間、席に置いてあったレモンティーのティーカップが倒れ、僕の膝にかかる。
「す、すみません! 大丈夫ですか⁉」
そう少し離れた場所で慌てて謝って来たのは、さっきまで争っていた二人のうちの一人で、赤い髪の人だった。自分がぶつかったわけでもないのに、遠くで必死にペコペコ謝っていたため、苦笑して、
「あぁ、うん。洗濯すれば、大丈夫だから落ち着いて・・・・」
そう促すと、もう一人の僕にぶつかった黒髪の男の人は突然、
「悪い、少し時間あるか」
と冷静に慌てずにそう言った。そして、その人と目が合った途端、少し寒気がした。
「あるけど、どうして?」
少し震えながらそう言うと、慌ててさっきまで謝っていた赤髪の男の人がその冷たい目の彼の所へ行き、横腹を突いて、
「依頼受注中にナンパはやめとけって・・・・」
そう言うと、また冷静に、
「馬鹿か? んなわけないだろ・・・シミになるから今から向かうんだよ、洗濯屋」
「・・・あれ? その子って・・・というか、ラット君? 依頼は?」
「・・・・お前一人で十分だろ」
「・・・・え~~~」
そんな虚しい叫びを無視して、冷たい目をした彼は僕の手を掴み、
「・・・ほら、行くぞ。洗濯屋」
と手を引いた。僕はグミを見るとグミはミルクを飲むのに夢中で僕に気付いていなかった。
僕は着替えを持ってないことから少し動揺しながらも、勢いで、
「うん、そうだな」
と言った。心なしか少し顔が熱くなっているのを感じた。
(仕方ないよね。僕の事を女の子の様に扱ってくれた人が久しぶりに現れたんだからさ。仕方ないよね)
そんな言い訳をしながら、手を引かれ洗濯屋へ向かった。
『洗濯屋 CLEAN WATER』
そう書かれた看板の洗濯屋に僕たちは入ると、
「あちゃ~、服にもかかってるよ。うわ、下着にも・・・・」
そう彼に言うと、
「あぁ、別にいいよ。俺が仕事で使うズボンあげるから。それが嫌なら買ってくるが・・・」
と僕に言った。僕は動揺して、
「・・・・え」
と思わず声が漏れる。それに反応した冷たい目の彼は、
「・・・・ん?」
と首を傾げる。僕はまさかと思い、
「僕、女だよ?」
と答える。すると、数分の沈黙が訪れ、やがて、
「・・・・まじ?」
と聞いてきた。僕は苦笑して、
「まじ」
と答えた。
いかがでしたでしょうか。今後も不定期で連載していきたいと思うので、どうか『WISH and DREAM』をよろしくお願いします。




