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私がわたしを描く世界   作者: 宇槻 叶
4章
32/70

(マゴラガに向かう光と闇)

カルラ族のオジロがシャルに向かい、会釈をした。シャルの青く尖った瞳がオジロを捕らえた。


「お嬢、これあっしが説明するんですかい?」

「うん! お願い! だって知ってるのはあなたでしょ?」


彼から目を逸らしたかったオジロは隣にいるルーキに助けを求めるも、いとも簡単に視線を戻す羽目になってしまった。


「あのー、旦那? 初めに言っておきますが、あっし達は、あくまで仕事で、仕事でやったことなんでさあ。」


オジロは申し訳なさそうにしながらも、笑顔で話し始める。


「仕事なら、盗みを働いても構わない……と?」


だが、一瞬にしてその笑みはシャルの言葉で凍りつけられた。


「いや、あのちげえんでさあ。悪いとは思ってんでさあ。ただ、マゴラガの旦那方がテンに取られたものが、キンナラにあるっていうんで、それで……」


「して、マゴラガにあるのだな」


「あっしはそっからは知らないですぜ!」


チャキという金属音がシャルの方から聞こえる。腰に刺していた刀を構えていた。それをみたオジロは慌てて言葉を付け足した。


「受け渡し場所は、マゴラガの街への入り口の沼でさあ。そこで、メルローっつー旦那に受け渡したんでさあ。」


「わかった。そこまで案内をしろ」


「えー! そりゃないぜ、旦那。あっし、これからこの荷物運ばねえといけねえんですぜ! それにあそこは臭いのなんの……」


オジロの言葉が尻すぼみになった。その代わりに「あー、あっし急に旦那とお嬢を乗せて、空を飛んでみたくなっちまいやした!」とわざとらしい言葉を添えた。


シャルはまだ睨みつけたままで、それを見かねたルーキが声をかけた。


「ラッキー! やったね! これでハイネを迎えにいきやすくなったよ!」


ルーキは精一杯の笑顔を見せ、シャルに近づいた。

「シャル、怒るのは分かるけど、早くしないと!」こそっと耳元で伝えて、シャルの腕を引き、家の外に出た。


外に出ると、一足早く出ていたオジロが、何箇所か穴の空いた黒い布を地面に広げていた。「なんで、あっしが……」などぶつくさと呟いているものの、準備は相当手早かった。


「さあ、準備ができやした! この黒いかごの前が旦那、お嬢は旦那の後ろについてくだせえ。元々人を乗せるようの袋じゃねえんで、乗り心地は悪いかもですが入ってくだせえ」


2人が入ったことを確認すると、後ろに荷物を入れる。「さてと……」と声がしたかと思うと、オジロから骨が何本も折れるような音が聞こえ始めた。


すると、今までルーキと同じくらいの大きさだった彼は、片腕の翼だけでルーキを優に超え、足も伸び、少し小さめのヘリコプター程度まで大きさを増した。


そして、大きくなった彼は包みを抱くようにし、自分の体のお腹辺りに袋が来るよう結びつけた。


「よし、いきまっせ! あっしは忠告しましたで」


そういうと翼を2回ほどばたつかせて、大地に風を起こし、次の瞬間一気に空高く飛び上がった。袋の中のシャルとルーキには恐ろしく地面に引き寄せる力がかかった。


そのまま、3人はマゴラガに向かって飛んで行った。


---------------


蛇の巣は、地面をする音が無数に聞こえ、所々から空気が漏れる音が絶えない。こんなところで寝れるのか……と不安になるほどだった。


「あら、やだ! うるさいかしらー。ほら、あたし達、いつもここで住んでるから分からないのよー」


「まあ、耳ないんだけどねー」とメルローも冗談をいい、笑っている。


どうやら思わず、顔をしかめていたようで、リクターには気付かれていた。


「あ、いや、そんなことは……」慌てて、隠してみるもバレバレだった。自分でもわかる。


「大丈夫よ、ハイネ。あんたが寝るのはここじゃないわー。誰だって気配だけでも、寝れやしないもの」


そう言って、リクターはさらに洞窟を進んだ。洞窟の中にある穴がどんどん少なくなり、最後には消えていた。そして、目の前が急に明るくなり、広がった。


この世界に来て、すぐに見た『星砂』と呼ばれていた土の道が、星空のように天井に広がっていた。そして、リクターの大きな体がすっぽりと収まりそうな草の巣と、赤い石が収まる銀でできた大きな王冠が転がっていた。

赤や青、紫と色とりどりの花が咲いている。


「私たちはここで寝るわよー。綺麗でしょ!」


リクターはかすれた声を響かせた。本当に綺麗な場所だった。マゴラガの今までの世界とは別次元だった。


「な、ここはいいよなあ。でも、ちょっと前まではもうちょっとマゴラガも綺麗だったんだぜ!」


「そうねえ、キンナラは作物を作り、マゴラガは魚や肉を狩猟する、そんな役回りだったのよ。でも、今や……」


「ハイネも見た通り、魚がすまない沼になっちまったんだ」


「そう、これがテンの仕業よ!」


リクターが凄んだ。目が大きく開かれ、身動きが取れないほどの迫力があった。






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