『4匹のゴブリンさん』2
一方、無口の四男は、幸運にも三男とは違った場所に誰も居ない廃墟を見つけ、手頃なbrick house.『レンガの家』を何とか補修して住めるようにしていました。
ザンッ! グルルゥ!
するとそこへ、またしてもグレイウルフが現れました。
「ゴブリンさん、ゴブリンさん。俺を中に入れてくれないかい?」
グレイウルフは家の前に立って言いました。
「…………」
無口な四男ゴブリンさんは、じっと息を潜めてグレイウルフがどこかへ行ってくれるのを願うのでした。
「ふん! そこに居るのは分かってるぞ! なら、こんな家、俺のブレスで吹き飛ばしてやるわ!」
グレイウルフはそう言うと、息を思いっきり吸い込みました。
「ウルフズ・ブレス!」
ブッハァーーーーー!!
グレイウルフは、凄い勢いでブレスを吹き出しましたが、四男ゴブリンさんが補修した『レンガの家』はびくともしません。
「…………」
「ふん。小賢しい! なら、今度は俺の最大ブレスで吹き飛ばしてやるわ!」
グレイウルフはそう言うと、もう一度力を溜ためて、今度は更に大きく息を思いっきり吸い込みまくりました。
「ウルフズ・マキシマムブレス!」
ドブッハァーーーーー!!!
「ギャッン!!」
グレイウルフは、もの凄い勢いで息を吹き出しましたが、反対に、もの凄い勢いのブレスの反動で、グレイウルフの体が空高く飛んでしまい、もの凄い勢いで地面に叩き付けられてしまいました。
それでも四男ゴブリンさんが補修した『レンガの家』はびくともしていません。
「…………」
それなりにひどいダメージ、『痛手』を負ったグレイウルフは、これ以上いくら息を吹いてもレンガの家を崩すことはできないと思い、作戦を変更することにしました。
グレイウルフはヨタヨタと歩きながらも、なんとか家の戸口までたどり着いて言いました。
「……ゴ、ゴブリンさん、ゴブリンさん。俺は美味しいジャンボ、『でっかい』シイタケがあるところを知ってるんだ。良かったら明日の朝案内してやるぞ?」
「…………」
無口な四男ゴブリンさんは何も答えません。
「おい。聞こえているのか? 美味しい美味しい『ジャンボシイタケ』だぞ? 食べたくないのか?」
返答が返ってこなくてもあきらめずに、グレイウルフはもう一度話をします。
「……『ジャンボシイタケ』は毒キノコ」
四男ゴブリンさんはボソッと伝えます。
「ちっ。知ってやがったか。冗談だ。お前が話をしてくれないからだ。本当は、美味しい『ジャンボマツタケ』があるところを知ってるんだ。凄いだろ。良かったら明日の朝案内してやるぞ?」
毒キノコを食べさせて、動けなくしてから食べてやろうと考えていたグレイウルフは、仕方なく本当の事を話しました。
「…………それは、どこ?」
四男ゴブリンさんはグレイウルフに聞きました。
「すぐ近くの東の森だ。ここから一直線に30分も歩けば着ける距離にある。明日の朝、俺が案内してやるぞ?」
「…………分かった。何時にくる?」
「ふふふ。それなら、朝の7時にしよう。今日はもうI'm tired.『疲れた』。朝日が登ったら迎えにくるぞ」
グレイウルフはそう言い残し、森の奥の寝床へと帰って行きました。
* * *
ちゅん、ちゅん、ちゅん
翌朝、四男ゴブリンさんは五時に起きると、東の森に行ってジャンボマツタケを取ると、グレイウルフが迎えにやって来る前に家に帰って鍵をかけました。ジャンボマツタケは、その名の通り、大きいだけあって香りも分かりやすく、不慣れな四男ゴブリンさんでもすぐに見つける事ができました。
グレイウルフは、約束通り朝7時頃に迎えにやって来ると、ニコニコしながら言いました。
「ゴブリンさん、迎えに来たよ。さあ、ジャンボマツタケを取りにいこう。用意は出来たか?」
「…………出来た。さっき取ってきたジャンボマツタケの姿焼きが出来た」
「な、なに! ……ぐぬぬぅ」
グレイウルフは、四男ゴブリンさんが何も言わずに先に1人でジャンボマツタケを取ってきたと知って、腹が立って仕方ありませんでした。それでも、何とか落ち着いて、どうにかして四男ゴブリンさんを食べてやろうと考えました。
「ゴブリンさん、俺は美味しいapple.『リンゴ』が沢山ある所を知ってるんだ。良かったら明日の朝案内してやるぞ?」
「…………」
無口な四男ゴブリンさんは何も答えません。
「おい。聞こえているのか? 美味しい美味しいリンゴだぞ? 食べたくないのか?」
返答が返ってこなくてもあきらめずに、でも少しイライラしながらもグレイウルフはもう一度話をします。
「…………それは、どこ?」
四男ゴブリンさんはグレイウルフに聞きました。
「すぐ近くの西の森だ。ここから一直線に30分も歩けば着ける距離にある。明日の朝、俺が案内してやるぞ?」
「…………分かった。何時にくる?」
「ふふふ。それなら、今日と同じ朝の7時にしよう。朝日が登ったら迎えにくるぞ」
グレイウルフはそう言い残し、森の奥の寝床へと帰って行きました。
* * *
ちゅん、ちゅん、ちゅん
翌朝、四男ゴブリンさんは五時に起きると、西の森にリンゴを取りに行きました。
しかし、リンゴを沢山取るには木に登らなければならなかったので、家に帰るのが昨日よりも遅くなってしまいました。四男ゴブリンさんはリンゴを沢山取ると、大急ぎでレンガの家に走りました。
しかし、四男ゴブリンさんが家の前まで来ると、そこにはグレイウルフが待っていたのです。四男ゴブリンさんは、怖くて怖くて体がガタガタ震えてしまいました。
「ゴブリンさん、また俺より先に1人で森へ行ったんだな。良いリンゴは沢山取れたのか? ふっふっふっ」
グレイウルフは、ゴブリンさんをいじめるように言いました。
四男ゴブリンさんは、ぐっと歯を食いしばって考えてました。
「……う、うん。美味しいリンゴが沢山取れたよ。1つ分けてあげるね」
そう言うと、四男ゴブリンさんはポーンと高くリンゴを投げました。
グレイウルフは手をのばしましたがリンゴには届かず、その向こうへ飛んでいってしまいました。するとグレイウルフは、「ちっ。下手くそなヤツめ。リンゴもまともに投げられないのか」
そんな事を言いながらも、ついその飛んでいってしまったリンゴを追いかけていきました。
グレイウルフがリンゴを拾って帰っ来た時には、四男ゴブリンさんはすでに家の中に入って鍵をかけていました。
グレイウルフは、ゴブリンさんを捕まえ損ねた事に腹が立って腹が立って、持っていたリンゴを握りつぶしてしまいました。ブッシャー!
それから、何とか落ち着いて今度こそそゴブリンさんを捕まえて食べてやろうと考えて、またゴブリンさんを誘いました。
「ゴブリンさん、明日、南の町で朝市があるんだ。良かったら一緒にいかないか?」
「…………」
無口な四男ゴブリンさんは何も答えません。
「ちっ。またか。おい。聞こえているのか? 人間が沢山居るけど、うまくやれば見つからずに『色んな物』が手に入るかもしれないんだぞ? 欲しい物はないのか?」
またしても返答が返ってこなくてもあきらめずに、もの凄くイライラしながらもグレイウルフはもう一度話をします。
「…………それは、どこ?」
四男ゴブリンさんはグレイウルフに聞きました。
「少し離れた所にある南の町だ。ここから一直線に60分も歩けば着ける距離にある。明日の朝、俺が案内してやるぞ?」
「…………分かった。何時にくる?」
「ふっふっふっ。それなら、今日と同じ朝の7時にしよう。朝日が登ったら迎えにくるぞ」
グレイウルフはそう言い残し、森の奥の寝床へと帰って行きました。
…………つづく
読んでいただき、ありがとうございます。