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『4匹のゴブリンさん』1



 long, long ago.『むかしむかし』、ある世界にママ・ゴブリンさんと、四匹の子供ゴブリンさんが住んでいました。


 ママ・ゴブリンさんはシングル・マザー。そう、『ママ1人で頑張って子育て』しています。パパ・ゴブリンさんは、いっしょに住んでいません。どこに居るのかも分かりません。


 ママ・ゴブリンさんが若い(ころ)に調子に乗って、ブイブイ、グギャグギャ言わせてやってきた結果こうなったのでした。(くわ)しい話は、また別の話になっているかもしれないから、気になるなら、そっちの話も読んでみてね?


 ()()()



 四匹の子供ゴブリンさん達はすくすく成長し、毎日毎日、たくさんのご飯を食べました。それはもう、みんなお腹がパンパンになって苦しくなってしまうくらいに食べました。


 ママ・ゴブリンさんは、なんとか1人で頑張ってやりくりしてきたのですが、当然のように生活はしだいに苦しくなっていきました。


 さすがに、もうこれ以上は無理だと判断(はんだん)したママ・ゴブリンさんは、ある日、掃除(そうじ)をしながら考えました。そして、子供達を(ひと)り立ちさせるという名目で、四匹の子供ゴブリンさん達を外の世界に送り出すことに決めました。



「あなた達? もうそれだけ立派に成長したのだから、1人1人それぞれの好きなように生きていきなさい。あなた達にはあなた達の幸せがあるように、ママにはママの幸せがあるの。分かってちょうだいね?


 自分の幸せは自分にしか分からないわよね? だから自分が幸せだと思うように生きていきなさい。分かったわね?」


 ママ・ゴブリンさんは言いました。()()()で掃除していたからと言って、育児放棄(いくじほうき)()けてるわけではないんだよ?



 突然のことに(おどろ)きながらも、子供ゴブリンさん達は、長男から順番に聞きました。


「それなら、これからはもっと沢山(たくさん)ご飯を食べてもいいの?」


「じゃあ、もうこんなせまい部屋で寝なくていいんだよね?」


「それじゃあ、もう誰にも会わずに過ごしていってもいいんだよね?」


「…………」



「そうよ。これからは、あなた達がしたいように生きていけばいいのよ。それがフリーダム、『自由』なのよ。


 自分が好きなだけ食べなさい。


 自分が好きなだけ広い家を作りなさい。


 自分が好きなだけ1人で過ごしていきなさい。


 ……あなたは、まあ、アドバイス、『助言』は必要なさそうね?


 あなた達がそれで幸せを感じられるのなら、そうするといいわ。誰も止めない。でも、これからはなんでも自分でやっていかないといけないのよ?


 大変だと思うけど、よく考えて行動しなさい。それが好きなように生きるってことなのよ。そのぶん努力もいるから頑張りなさい。それがあなた達のゴブリン(せい)よ? ふふふ」


 ママ・ゴブリンさんがそう笑いながら話すと、子供ゴブリンさん達は、「分かったよ! 頑張る!」と元気いっぱいに、それぞれ別の方向に旅立っていきました。



「元気でね! モンスター、『化け物』にも気をつけるんだよ!」


 これでママ・ゴブリンさんは、苦しかった子育てから解放され、晴れての独り身になりました。そして、ゆっくりと今後の事を考えられるようになりましたとさ。


 ended happily? 『めでたしめでたし?』




 一方(いっぽう)、もっと沢山色んな物を食べたい長男ゴブリンさんは、「住むところよりは食べ物を沢山集めてこないとな! でも、地べたで寝るものイヤだから、今から簡単(かんたん)にできる家を作っちゃおう!」


 そう言って、目の前に広がる広大な畑から、落ちてるstraw、『ワラ』をかき集め、それで家を作りました。


「やったね! これでオイラの家のできあがり。へへん。どんなもんだい!」


 長男ゴブリンさんは得意気に胸を張りました。



 ザンッ! グルルゥ!


 すると、突然そこへグレイウルフ、『灰色狼』が現れました。


 長男ゴブリンさんは、あわててstraw house.『ワラの家』に入り、じっと息を(ひそ)めてグレイウルフがどこかへ行ってくれるのを(ねが)うのでした。


「ゴブリンさん、ゴブリンさん。俺を中に入れてくれないか?」


 グレイウルフは家の前に立って言いました。


「え~。ダメだよ。そんな事したら、オイラが君の食べ物になっちゃうじゃないか。違うかい?」


 長男ゴブリンさんは、おそるおそるも勇気を出して答えました。


「ふん! ならこんな家、俺のブレス、『息』で吹き飛ばしてやるわ!」


 グレイウルフはそう言うと、息を思いっきり()()みました。


「ウルフズ・ブレス!」


 ブッハァーーーーー!!


 グレイウルフは、(すご)い勢いでブレスを吹き出すと、長男ゴブリンさんが作った『ワラの家』は、いとも簡単に吹き飛んでしまいました。するとそこには、ポツンとしゃがみ込んだ長男ゴブリンさんが。


 グレイウルフは、あ然としている長男ゴブリンさんをあっさり(つか)まえると、『あ』っという間に食べてしまいました。


「ふん。Not good. Not tasty.『美味くはない』が、何も食べないよりはマシだな」


 そう言うと、グレイウルフはまた獲物(えもの)を探して森をさ迷うのでした。




 一方、部屋の広さにこだわりたい二男ゴブリンさんは、「食べ物も大事だけど、やっぱり住むところは広くしなくちゃな! でも、家作りに時間を掛け過ぎても、食べ物集めができなくなっちゃうから、どっちも、ほどほどにしておかないとな!」


 そう言って、目の前に広がる広大な森から、落ちてるbranches of the tree.『木の枝』を(ひろ)い集め、それで家を作りました。


「よし! こんなもんで大丈夫でしょ。これでオイラの広い家のできあがり。へへっ。どんなもんだい! さあ、次は食べ物集めにいかなくちゃ!」


 広い家に満足した二男ゴブリンさんは、嬉しそうに両方の(にぎ)(こぶし)を突き上げました。



 ザンッ! グルルゥ!


 するとそこへ、またグレイウルフが現れました。


 二男ゴブリンさんは、あわてて、branches of the tree house.『木の枝の家』に入り、木の枝を握りしめて、戦闘態勢(せんとうたいせい)でじっとグレイウルフの気配(けはい)をうかがうのでした。


「ゴブリンさん、ゴブリンさん。俺を中に入れてくれないかい?」


 グレイウルフは家の前に立って言いました。


「ダメだ! 何を言っているんだ。そんな事を言って、オイラを油断(ゆだん)させておいて、最後には食べる気なんだろう?」


 二男ゴブリンさんは、本当は怖いのに勇気をふりしぼって答えました。


「ふん。小賢(こざか)しい! なら、この程度の家、俺のマキシマム『最大』ブレスで吹き飛ばしてやるわ!」


 グレイウルフはそう言うと、力を()めて息を思いっきり大きく吸い込みまくりました。


「ウルフズ・マキシマムブレス!!」


 ドブッハァーーーーー!!!


 グレイウルフは、もの凄い勢いでブレスを吹き出すと、二男ゴブリンさんが作った『木の枝の家』は、簡単に吹き飛んでしまいました。するとそこには、細い木の枝を手放し地面に横たわる二男ゴブリンさんが。


 グレイウルフは、気を失っている二男ゴブリンさんに近寄ると、『い』っという間に食べてしまいました。


「ふん。やっぱり美味くはないが、Not enough.『足りない』な。他にも近くに居ないのか?」


 そう言いうと、グレイウルフはまた獲物を探して森をさ迷うのでした。




 一方、安全な住環境で1人で引きこもりたい三男ゴブリンさんは、「何よりもまず、安全な家を作らないとな! ずっと1人で安心して暮らしていける家こそ、しっかり時間を掛けて作らないと!」


 そう言って、もう誰も住んでいないボロボロになった家の(へい)からbrick.『レンガ』を(くず)して集め、それで家を作ろうとしていました。


「ふー。これは大変だけど、こんなしっかりした『レンガ』がこれだけ沢山あれば、丈夫(じょうぶ)で安全な家が作れるぞ! まだまだ時間は掛かりそうだけど、何とか頑張るぞ! おうっ!」


 思った以上の『レンガ』を手に入れられそうな事に気をよくした三男ゴブリンさんは、ガッツポーズで喜びました。



 ザンッ! グルルゥ!


 するとそこへ、またまたグレイウルフが現れました。


 三男ゴブリンさんは、嬉しさのあまりそれに気付かずに、『う』っという間もなく食べられてしまいました。


「ふん。やっぱり美味くはないな。だが、I’m full.『腹いっぱい』になったし、I'm sleepy.『眠い』。今日のところはこれくらいにして帰るとするか」


 そう言うと、グレイウルフは森の奥の寝床(ねどこ)へと帰っていきました。



 …………つづく

読んでいただき、ありがとうございます。

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