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脳筋戦法で異世界蹂躙!  作者: 羽良糸ユウリ
第一章:異世界
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第二話 初めての仲間

 「あたしはフラン。フラン・キャメロットだ、よろしく」

 「アスカ・ミナセです、よろしくお願いします」



 フランと名乗った赤い髪の女性について行き俺はギルドに戻ってきた。

 俺はフランさんから討伐依頼の証明方法を教えてもらってそれを実行した後だった。

 なんでもあの化物、通称魔物は体内で魔石というものを生成しておりそれを鑑定すれば何の魔物から取り出されたものかが分かりそれが討伐達成の証拠となるのだという。



 「すみません教えてもらって」

 「いいのいいの、こんな職業なんだしお互いさまさ」

 


 そう言ったフランさんの首元には緑に反射するドッグタグが付けられていた。

 緑色、つまるところランクはC。

 俺よりも二つ上のランクだ。



 「鑑定お願いしまーす!」

 「はーい、ただいまー!」



 俺とフランさんはそれぞれ別々に鑑定してもらい、待ち時間を同じテーブルに腰かけて話しながら待つことにした。

 フランさんが言うには俺のあのバカみたいな速度を見てこれは即戦力なのではないかと思ったらしい。

 しかし残念ながら、俺の実際のパラメータは村人Aレベルなのだ。



 「アスカだっけ」

 「あ、はい」

 「さっきの凄かったなぁ! どんな魔法使ってるんだ?」

 「えっと、身体能力を底上げする魔法を」

 「へー、結構シンプルなんだな。それ以外は?」

 「うーん……何といったらいいものか……」

 


 素直にこことは違う世界から来ましたーなどと言っていいものなのだろうか。

 俺はそこで黙ってしまった。

 どう答えれば、フランさんに対して失礼がないのか俺は考えていた。



 「そういやアスカの服って変わってるよなー」

 「これですか?」

 「そうそうそれそれ、初めて見たぞ」

 「まぁ、この世界のものじゃないですし……」

 「え?」

 「あっ……」



 しまった、うっかり口を滑らせてしまった。

 ああほらフランさんが「何言ってんだこいつ?」って顔してる!

 俺は頭を抱えてやっちまったというジェスチャーをした。



 「どういうことだ?」

 「いやーその……何と言えばいいのか……」



△▼△▼△▼△◆△▼△▼△▼△



 「あはははははっ! なんだそりゃ!!」

 「……笑わないでくださいよ」

 「いーやわりぃわりぃ、だってそんな突拍子もないこと言うなんて思わないだろ

 普通!」

 


 仕方がないので俺はフランさんに事の経緯を全て話した。

 これも何かの縁だろと思って話してみたが、いかんせん自分でもよく分かっていない部分が多かった。

 それでもフランさんはこうして笑いながらも俺の話をちゃんと聞いてくれていた。



 「それでさっきのはあくまでも魔法だって?」

 「そう説明されましたから」

 「ふーん。他の魔法は使えるの?」

 「というよりこっちに来てまだ数時間も立ってませんので……」

 「あ、そっか。大変だな」



 鑑定が終わるまでに簡潔に話してみて改めて気づいたことがある。

 ………俺、そういやまだ異世界に来て二時間も立ってないんだなーって。

 フランさんはにかっと笑って詳しいことはまた後でと一旦この話を終わらせた。



 「そんで話戻るんだけどさ。お前うちのパーティー入らないか?」

 「いいんですか俺で? さっきも言いましたけどまだここに来て全然………」

 「いいんだよ、そんなことは。で、どう?」

 


 フランさんはテーブル越しにずいっと俺の方へと体ごと顔を近づけた。

 赤い髪が揺れてふわりと甘い香りがして俺は少しドキッとしてしまった。

 近くで見るとこの人、結構綺麗だな……。

 って、何考えてるんだ俺は!!



 「俺でよければ、是非!!」

 「ぃよかったー! 断られたらどうしようかと思ったよ!」

 「折角のお話ですし、断るわけないじゃないですか」

 


 俺がフランさんのパーティーに加入することが決まったところで魔石の鑑定が終わった。

 俺たちはそれぞれ自分の取り分が入った袋を受け取ってテーブルに戻る。

 袋の中には銀色の硬化が五枚入っていた。



 「あのフランさん」

 「なに?」

 「お金の基準を………教えてください………」

 「それすらも説明されてないのか……」



 俺の頼みに呆れながらもフランさんは快く引き受けてくれた。

 本当に、いい人だなと思う。

 この異世界に来て初めて出会った人がフランさんで、俺は心から安心している。



 「んーっとな、まず通貨の種類は銅貨・銀貨・金貨・白金貨の四種類ある」

 「はい」

 「お前のその銀貨一枚でそうだな……果物が十個は買えるな」



 果物十個か、こちらの世界の物価が少し安いと考えると大体千円前後くらいだろうか。

 そう考えると銅貨は大体百円くらいか?

 気になってフランさんに答え合わせをお願いすると概ねそういう考えで大丈夫なようだ。

 となれば今後は銀貨を基準として買い物なり依頼を選んだりした方がよさそうかな。



 「まぁ詳しいことはこれからゆっくり教えてやるよ」

 「はい、よろしくお願いします」

 「そういや家とかはまだこれからかだよな? こっち来てまだそんなに経ってないし」

 「ええ、そうですけどそれが何か?」

 「じゃあさ、あたしの家来いよ。それなりに広いからさ」

 「えっ?」



 えええええええええええええええええええええええええええええ!!?

 俺はその時、周りの人の目もはばからずに叫んでしまった。

 フランさんはそんな俺を見て苦笑していた。



△▼△▼△▼△◆△▼△▼△▼△



 「ほれ、ついたぞ」

 「おお……!」



 フランさんの後について行きギルドから歩くこと十数分のところに会ったのは立派な一軒家。

 即ちちょっとした豪邸だった。

 フランさんは驚いている俺を尻目に玄関を開けた。



 「どうしたんだよ。そんなに驚くことか」

 「いやだって、豪邸じゃないですか!」

 「そんなことないって。とりあえず入って入って」

 「お、お邪魔します!」



 水瀬飛鳥、童貞、初めての同居生活。

 俺は逸る気持ちを抑えてフランさんの家へと足を踏み入れていった。

 よくよく見ると庭にプールらしきものもある。

 異世界すげぇ!!



 「適当に座ってて、今飲み物持ってくるから」

 「お構いなく!」

 「ははっ。遠慮すんなよ」



 フランさんはリビングへと俺を案内してくれて飲み物を持ってくると言いキッチンの方へと行った。

 リビングの雰囲気はモダンな雰囲気だがどこか懐かしいレトロな雰囲気を感じさせとても居心地が良かった。

 俺はソファに恐る恐る腰かけてフランさんを待った。



 「お待たせー。お茶だけど良いか?」

 「ありがとうございます、いただきます」



 フランさんが淹れてくれたお茶を俺は一口すする、なんだろう、安心する。

 フランさんは俺の隣に座ってお茶を飲んでやや爺臭い声を出した。

 俺はいきなり隣にやって来たフランさんに驚き、心臓がドクンと鼓動して顔が赤らんでしまう。

 こういうシチュエーションは生まれて初めてだし、何よりフランさんが普通に美人さんだからだ。



 「あ、あの、フランさん。これからどうするん、ですか?」

 「まずはお前の服装だろ」

 「やっぱり目立ちますかね?」

 「ああ目立つ。目立ちまくる!」

 「ですよねー……」

 「だから買い物だ買い物!」



 意気揚々とフランさんはそう言うが現在俺の所持金はさっきの依頼で獲得した銀貨五枚。

 それをフランさんに言うとなんとフランさんが俺の服代を出してくれるというのだ。

 流石にそれは悪いので遠慮したが断固として譲ってくれなかった、なのでこのお金はひとまず俺の借金ということにしておいて依頼のお金で返していくことにした。



 「おーっし、んじゃ行くか!」

 「行くってもうですかって引っ張らないでくださいフランさん!!」

 


 俺はフランさんに腕を引っ張られたまま、生まれて初めての買い物デートに出かけたのであった。

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