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脳筋戦法で異世界蹂躙!  作者: 羽良糸ユウリ
第二章:アカデミーにて
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第二十五話 パレード

 朝、普段なら目が覚めて一階に降りるとフランさんがいるか俺が先に起きてフランさんを出迎える形になるかのどっちかだった。

 ただ今日は違った、朝起きて一階に降りると褐色肌の女性がエプロンを付けて台所で孤軍奮闘していたのだ。

 異邦人エトランゼのアイリ、昨日からの同居人二人目。


 「………おはよう」

 『おお起きたか! ちょっと待っててくれ、すぐに朝食を……ぬぅ……』



 そういやこいつここに住むことになったんだっけ………なんでだっけ……。

 あぁそうだ、なんかよく知らんが派閥やらなんたらって話だったけど結局何が理由が分かってなかったな。

 聞くか………いやでも聞いたところでっていう気も………。



 『……何をボーっとしている?』

 「………お前ってもしかして傭兵とかやってたりする?」

 『うん? ああ、そもそもお前たちと戦ったのだって仕事だったからだが……急に何だ?』

 「いや、そういやお前がこっちに来た理由ってはっきりとは聞いてなかったなー……と」

 『……向こうでは格差が激しいんだ。恥ずかしい理由ではあるが傭兵部隊から除斥されてな。敗残兵はいらないという理由で強制的にこちらの世界へと送られるんだ』

 「道理で……合点がいった」



 つまりはそういうことだ。

 現代風に言えばリストラといったところなのだろう、異世界も楽じゃないみたいだ。

 そんなことを話しているとフランさんも起きてきた。



 「おはよ…………ああぁぁぁぁ…………そうだった………なんかいるー………」

 『あいつはいつもあんな感じなのか?』

 「あぁうん、フランさんは寝起きだとたまにポンコツになる」

 「………アスカぁ、なんか焦げ臭い……」

 「焦げ……?」

 『あっ、しまった』



 アイリはフライパンに目を戻してわちゃわちゃとしていた、どうやら料理を焦がしてしまったらしい。

 急いで料理を皿の上に移して『あぁ……』とうなだれていた。

 うん、多分こいつもある種のポンコツの類だ。




△▼△▼△▼△◆△▼△▼△▼△




 『面目ない』

 「いや……いいよ別に」

 『無理して完食しなくても良かったものを……』

 


 皿洗いをしながら、俺は今朝の朝食の記憶を思い出しながら胃袋の内側から込み上げてくる何とも言えない感覚を押しとどめていた。

 いや、その、なんだ、料理あまりしたことないんだろうし、その状態で俺とフランさんのために作ってくれた料理を無下にすることは出来ないだろう。

 ちなみに今フランさんはトイレに閉じこもっている。



 皿洗いも終わり、フランさんも謎の腹痛から解放されたところで俺たち三人はリビングでゆっくりしていた。

 今日の予定は特にこれといってあるわけでもなく、アイリが街を散策する程度の事だ。

 その際はフード付きのローブを着て外出するらしいしアイリなら一般人に捕らえられはしないだろうから多分大丈夫だとは思う。

 そんなことを思っていると何やら外が騒がしくなってきたことに気が付いた。



 「今日って何かお祭りとかありましたっけ?」

 「いや……そんなのはないはずなんだがな……」

 『キャメロットがなんたらって聞こえるぞ』

 「キャメロットって……フランさんの家名ですよね?」

 「………あぁ、そうか。帰ってきちまったか」



 急に遠くを見つめ始めるフランさんに俺とアイリは不思議に思った。

 そう言えば……初めてクルツさんと会った時にあの人、フランさんは名家の生まれとかって言ってたな。

 落ちこぼれだとかって言われてたし、もしかして何か嫌なこととか思い出したくないことでもあったのだろうか………心配だ。

 そんな時、「コンコン……」と家のドアをノックする音が聞こえ、俺は玄関へと向かい、戸を開けた。

 


 「あれ、クルツさんじゃないですか」

 「おはよ」

 「おはようございます。どうしたんですかこんな朝から」

 「ちょーっとフランに用があるのだけれど」

 「……とりあえず、立ち話も何なので上がってください」

 「ありがと。お邪魔するわね」



 訪れたのはクルツさんだった。

 いつも通りの感じで家の中へと上げてしまったが俺はアイリがこの家にいることをハッと思い出した。

 クルツさんを止めようと思ったがもう遅かった、いや、正確には能力を使えば簡単に止められるがその場合二次災害が起こるだろう。



 「……あら? 珍しいのがいるわね、いつぞやのエトランゼじゃない」

 『………』

 「あぁいやクルツ……これにはいろいろ事情がな……」

 「あら、勘違いしてない?」

 「へ?」

 「別に私はそんなことどうでもいいのよ。こんな職業なんだもの、殺しもすれば殺されもするわ。今更その因果にこだわりはないの、だから一度戦場で会いまみえた相手が友人の家で何をしていようがそれは私の関与するところじゃないし誰にも言わないわ。また命を狙われるのなら別だけどね?」

 『……感謝する』



 良かった、揉め事にはならずに済んだみたいだ。

 俺がそう安心しているとアイリは遠くの方を見て何やら怪訝な顔をした。

 どうしたのかと聞くとかなりの魔力量の持ち主が複数のこれまた魔力量の多い者たちを引き連れてどうやら凱旋らしきものをしているらしい、そう言えばこいつの目は特殊なものなんだったな。


 『……パレードでもやっているのか?』

 「見た方が早いわね。さ、外に行きましょ」

 「あたしはぜってー行かないからな!!」

 「どうしたんですかフランさん」

 「仕方ないわね。じゃあどうしてあなたが嫌がっているかこの子たちに教えてあげようかしら?」

 「ぬぐ………それはそれで恥ずかしい……」

 「じゃあ決まりね。ほら早く立って」



 クルツさんに促されるままに俺たちは一度外へと出た。

 外は沢山の人たちが街の端っこに列を作って向こうから来る何かを今か今かと待ち遠しくしていた。

 本当にパレードでもやっているのだろうか、そう思った矢先に観衆たちの歓声が大きくなりこのイベントの発端が現れた。



 絢爛豪華な馬車なのかどうかもわからないものに乗って、見るからに凄そうな鎧を身に着けた男性が観衆に手を振りながら喝采を浴びていた。

 その傍らにはその縮小版の馬車に乗っている数人の仲間と思しき人物たちが囲むようにして左右と後ろを移動していた。



 「なんですかあれ」

 「知らないの? キャメロット家の凱旋よ」

 「キャメロットって、フランさんと同じ………あぁそういう……」

 「わかった? フランが行きたくないって言ってた理由」

 『どういうことだ』



 クルツさんはアイリに耳打ちして色々と話し始めた、その会話は俺とフランさんには聞こえなかったが恐らく俺と初めて会った時と同じようなことを言っているのだろうと推測できた。

 そして凱旋中のキャメロット家の人たちが俺たちの前を通りかかった時、馬車は急に止まって一番豪華な馬車に乗っている男性が降りてきて一直線にこちらへと向かってきた。



 「………なぜ顔を背けるのだフラン」

 「………別に」

 「全く……そんなことだからいつまでもいつまでも独り身なのだ。少しは自分の気持ちに素直になったり自分から他人に歩み寄ったりとかそれくらいしないといつまでたっても―――――」

 「ああああああ!! もううるさいな!! 兄貴には関係ないだろ、いいからかえって娼婦でも侍らせてろ!」

 「とんでもないことを口走るなお前………」



 兄貴……ということはこの人はフランさんのお兄さんか。

 じゃあ他の人たちも神族の人たちなのだろうか、それともお兄さんの仲間とかそういうことなのだろうか。

 俺がフランさんの隣で我関せずと考えているとフランさんがいきなり俺をグイッと自分の方に引き寄せた。



 「大体なぁ、あたしだってもう独り身じゃねぇし!」

 「……その少年は?」

 「同居人だ、一緒にパーティーも組んでる」

 「同居人……君、名前は?」

 「あ、アスカ・ミナセです。初めまして……」

 「初めまして。フランの兄のシャルル・キャメロットだ、いつもフランが世話になっているようだね」

 「い、いえ。こちらこそお世話になってます……」



 思っていたより気さく……な人なのかな?

 ていうかフランさんなんかいつもより必死すぎじゃないですかね。

 そうこうしているとシャルルさんはしばし何かを考えた後にこう言った。



 「ちょうどいい、今夜城でパーティーが開かれる予定だ。二人も出席してくれ」

 「やだよ、あたしはいかねぇ。何が楽しくてあんな息苦しいとこ行かなきゃならねぇんだよ」

 「仮にも()()たるキャメロット家の人間だろうが。お前が駄々をこねると、その少年に迷惑がかかるぞ」

 「…………ちっ、分かったよ」

 「いい返事だ。そちらの二人も来てくれ、全部で四人の招待だ。門番たちには俺から伝えておこう。時刻は午後六時からだ、いいな」



 それだけ言ってまた馬車に乗り込んでまた街を凱旋し始めた。

 そしてそこで俺はどうしてもフランさんに聞かなければならないことがあった。

 とても重要で、尚且つここ最近で一番の大ごとだ。



 「あの……フランさん、つかぬことを伺いますがいいですか」

 「なんだよ」

 「あの人、さっき『王族たるキャメロット家の――――』って言ってましたけど……もしかして」

 「はぁ………」

 





 そしてフランさんは確かな声でそう言った。





 「あぁそうだよ。あたしは………あたしはこの国で一番権力のある王族に生まれたフラン・キャメロット()()()()だ」

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