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脳筋戦法で異世界蹂躙!  作者: 羽良糸ユウリ
第一章:異世界
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第一話 冒険者ギルド

 「……なんで無事なんだろうなー、俺」



 上空数千mからカタパルト射出されたように勢いよく地面へとセルフで墜落した俺は自分の体が傷一つなく無事なことに驚きつつ若干呆れていた。

 流石特別付与された魔法なだけはある、俺はそう思いながらゆっくりと体を起こすとこれ以上誤作動させないために「解除」と頭の中で念じた。

 すると体から発動した時と同じく薄く淡い緑色のオーラが出た。



 「これで一応解除ってことになったのか?」

 


 俺は自分の手を握って開いてを繰り返してどこにも異常がないのを確認して立ち上がった。

 目の前には俺が墜落して驚き見に来たのであろうこの街の人たちがまじまじと俺を見つめてがやがやしていた。


 

 「あんた……大丈夫か?」

 「あはは……さらば!」

 「あぁちょっと!?」



 俺はその場を走って逃げた、走る速度は一般の人間が走れるごく標準的な速度。

 魔法が解除されていることを意味しているその速度に身を任せて一目散にその場から離れた。

 そして俺はこの街の建物の中でひときわ大きくひときわ賑わっている場所に辿りついた、そこには「冒険者ギルド」と書いてあった。



 「入ってみるか……」



 俺の記憶が正しければ、こういう異世界物の冒険者ギルドは魔物を倒す見返りとして報酬を貰えるはずだ。

 とにもかくにもまず俺が獲得しなければならないのは食料と水分そして衣服と住居の四つである。

 住居は後になってしまっても最悪良いが前者二つは早く獲得しておかなければどれだけ強くなっても飢え死にしてしまう。

 

 

 「いらっしゃいませー!」

 「あ、あの……」

 「依頼ですか? 受託ですか? それとも冒険者新規登録ですか?」

 「えと、新規登録っていうのは新しく冒険者になる人がやるんですよね?」

 「そうですよ、していかれますか?」

 「お願いします」

 


 俺はにこやかに出迎えてくれたギルドの受付嬢さんから紙とペンを貰い、必要事項を記入してくださいと言われ空いているテーブルに座って書いた。

 そうして書き終わるともう一度受付嬢さんのところに行き紙とペンを渡す。

 それをしばし見てから受付嬢さんは冒険者についての説明を始めた。



 「冒険者ギルドでは、掲示板に張られている依頼を請け、それを達成すると報酬

 が貰えます。依頼の難易度に応じて報酬金額も上がり、より難しい依頼を達成し

 ていくと冒険者様自身のランクが上がります」

 「ランクというのは、冒険者自体の格ということですか?」

 「はい、Eランクから始まりD・C・B・A・Sと六段階あります」

 「なるほど」

 「お客様の場合、新規登録なので一番下のEランクからのスタートになります」



 やっぱり思った通りだった。

 つまり任務をこなしていけば報酬や自分のランクが増えていく典型的なパターンだ。

 俺は「分かりました」と返事をして早速掲示板の方へと行こうとしたところを受付嬢さんに引き留められた。



 「あのすみません、最後に」

 「あぁ、すみません。なんですか?」

 「お名前なんですけど……」

 「名前なら書きましたよ?」

 「いえその………言語が」

 「言語?」



 受付嬢さんはおずおずと先ほど俺が書いて持ってきた書類を差し出し名前のところを指差した。

 紙には漢字で「水瀬みなせ飛鳥あすか」と書いてあった。

 もしかして、漢字がダメなのだろうか……?

 俺は紙とペンを受付嬢さんから貰って先ほど描いた名前に二重線を引いて今度はカタカナで書いた。



 「これでどうですか?」

 「えっと、アスカ・ミナセ様でよろしいですか?」



 苗字名前の順に書いたのだが受付嬢さんは先に名前から俺の名前を呼んだ。

 つまりこの世界では名前と名字の順が逆になっているということ。



 「はい、大丈夫です」

 「分かりました。以上で冒険者登録は終わります」

 「ありがとうございます」

 「依頼が貼ってある掲示板の隣に、パーティー募集の張り紙が貼ってある掲示板が

 ありますのでご活用ください。良い冒険者ライフを」



 受付嬢さんは綺麗な一礼をして、俺はそれから張り紙の方へと行こうとしたところをまた引き留められた。

 受付嬢さんの手にはドッグタグが握られておりそれを俺に渡した。


 

 「すみません、こちらをお渡しするのを忘れていました」

 「これはなんですか?」

 「あなたが冒険者だということを表す目印です。ランクが上がるごとに色が変わ

 り、銅・青・緑・黄色・赤・金色の順にランクが上がるのと同じく変わっていき

 ます」

 「ランクが上がる度に新しいタグが支給されるんですか?」

 「はいその通りです。以上で本当に説明を終わります、改めまして良い冒険者

 ライフを」



 ようやく説明が終わり渡されたタグを首にネックレスのように付けて今度こそ俺は依頼の書いてある掲示板へと足を運んだ。

 掲示板には様々な依頼が記載されており、どれもに討伐対象の絵が描かれていた。



 「えっと……初心者向けなのはどれだ?」



 俺は上から下まで掲示板を目で眺めたがそのどれもが討伐依頼でチュートリアルすら用意されていなかった。

 俺は仕方なく若葉マークがついてあり如何にも初心者向けっぽい『ゴブリン五体の討伐』という張り紙をはがしてまた受付嬢さんのところへ赴き渡した。



 「すみません、これお願いします」

 「早速ですね、頑張ってください!」


 にこやかに依頼の張り紙を受け取って受付嬢さんは俺の名前を依頼書に書き込み俺に戻した。

 これで受理されたようなので俺は冒険者ギルドから出た。

 上を見上げると、この世界の出発点である青空が眩しかった。



 「さってと、何々?」



 張り紙にはレイヤード平原と記載されていたが正直どこなのか分からない。

 仕方がないので鎧を着ている如何にも冒険者ですという風貌の人に聞くとこの街の門を出たところだと言った。

 そう言われても門がどこにあるかもわからないのだが。



△▼△▼△▼△◆△▼△▼△▼△



 「俺の知ってる平原はもっと平和だった……」



 俺はどうにかこうにか門までたどり着き街の外に出た。

 そこではすでに何人もの人たちが、やれ魔法だのやれ集団戦だのとガチの戦闘を繰り広げていた。

 全くの場違いなんじゃないだろうかと俺は制服姿の自分を見てそう思った。


 

 「んなこと考えてても仕方ないか……えっと、どれだ?」



 俺は依頼書に描かれているゴブリンの姿をしっかりと目に焼き付けて平原を見渡した。

 すると遠くに丁度集団で固まっているのを確認できた。 

 俺は息を一つ吐いて魔法を発動させてからクラウチングスタートの体勢をとって思いっきり踏み込んだ。



 「うおうおうおおうおうおおおおおお!!!?」



 想定外のスピードに思わず情けない声を出してしまったが何とか走れている。

 それでも小回りが利きづらいため他の人たちが戦っていようとお構いなしに突っ切っていった。

 そしてゴブリンの固まっているところまであっという間に到着した。



 「おらあああぁぁ!!」



 そして俺はそのままゴブリンたちに向かって飛び蹴りを食らわせた。

 直撃したゴブリンの頭が駒のように回転してねじ切れ他の奴らは何が起こったのか分かっていないようだった。

 俺は倒れたゴブリンの死体からナイフを奪い取って半ばパニックになりかけながら他の奴らと戦った。


 

 「ギイイイ!」

 「ギャガアァ!」

 「ギゥゥゥゥ!」

 「ガギャアァァ!」



 たったの数秒で物言わぬ死体になったゴブリンたちを見下ろして俺はその場にへたり込んだ。

 どくどくと鼓動を打つ心臓の音が全身から聞こえ息が乱れる。

 そんな状態のところへ一組の集団がやって来た。



 「おいあんた!」

 「ハァ……ハァ……なんですか?」

 「さっき突っ切ってったのあんただろ!」

 「そうですけど……」

 


 やって来たのは赤い髪の女性だった。

 俺は息を切らしながらワイシャツをバサバサとやって体の熱を逃がしながら答える。

 赤い髪の女性はにこっと笑いながらこう言った。


 

 「なぁ、うちのパーティーに入らないか?」

 「えっ?」



 どうやら俺は今、勧誘をされているようだった。

 そして別段悪い話でもなさそうなので話を聞くついでに、討伐後はどうしたらいいのかを教えてもらったのだった。

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