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兵士は今日も忙しい

 頭上には、雲ひとつ無い青空が広がっていた。太陽の光は遮られることもなく大地に降り注ぎ、我ら人類の住む地表を暖めている。

 晴天。これを晴天と言わずしてなんと言おうか。

「あー、いい天気だなー・・・」

 日差しを浴びて、思わずそんな独り言が漏れるが、目の前を通りすぎる人々は気にもかけない。本来この国を守るべき兵士がこの調子でもこれなのだ。子供や主婦の視線が痛い気がするが、それはきっと気のせいだろう。

 そういえばもうそろそろお昼時だ。このふわふわした気分のままご飯にするのもいいだろう。

 あぁ、平和だ。

 なんだか意識がぼんやりしてきて、目を開けているのも辛くなっていく。

「今日はこのまま何も無ければいいなぁ・・・」

 だが、そんな素朴な願いは頭の中から響いた声により一瞬で打ち砕かれてしまった。

「オイ、魔物が侵入してくるぞ」

「えー・・・・・・」

 そう告げられた瞬間、脳に溜まっていた気だるさと眠気が全身に広がっていく。

 俺は頭を抱えたくなった。何故いつも奴等が襲撃してくるタイミングはこんなにも悪いのか。

 今からご飯食べようと思ったのに。まったりしようと思ったのに。今日は平和に行こうと思ってたのに。

 奴等には平和を慈しむ心がないのか。

「ほら、馬鹿なこと考えないでさっさと行くぞ。場所はここからそう遠くない」

 しかし悲しいかな奴等と現実は非情だ。声が呼ぶのなら動かねばなるまい。嗚呼、さらば我が平和な昼下がり・・・なんて事を考えながら、俺は頭の中から聞こえる声が指示した方へとひた走る。

「オイ!もっと速く!」

「これ以上は危ないよ」

 軽口をたたきながら、周囲に被害が出ない程度の速さで現場へ向かう。

 吹き付けてくる空気が、支給された軽装の隙間から体に触れてきてちょっとこそばゆい。

「チッ・・・もう間に合わねぇ!!」

「ええっ!?」

 今でも結構なスピートを出しているつもりなのに、それでも間に合わないのは困る。

 これ以上加速すると通行人にぶつかりそうになったりして危ないが、もうこの際そんなこと言ってられない。俺はさらに加速して走り、それが原因で周囲からちょっとした悲鳴があがるが、これも気のせいだろう。

 そうしてようやくたどり着いた場所に着くと、既に数匹の魔物が侵入してきていた。加えて、白昼堂々と浮かぶゴーストがすでに詠唱を終えているようだ。

「危ないっ!!」

 人に向けて放たれた魔力弾を、腰に装備していた兵士の剣を抜刀し切り落とす。キレイにできた。気持ちいい。

 その大きな声と派手な行動により、侵入していた魔物が一斉にこちらを見た。どうやら注目を集めてしまったようだ。

「ふむ・・・ゴブリン二匹にゴーストか・・・余裕だわな」

 戦うのは俺なんだぞ、なんて言っても怒られるだけだろうからとりあえず一番近くにいた魔物に黙って斬りかかる。

 まぁ、多分大丈夫だろうけど・・・。

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