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NO.20『分からない思い』

 『不思議だ』と瑠華は思う。何を、思っているのかが分からない。自分が分からない。

 昔から、特に何もなかったこの人生。それでも、なんとか生きていこうと思ったことに、理由はない。いつか、変わるかもしれない、と思ったから。それがまぁ、理由ともいえるかもしれないが。


 昨日のあのレナの態度。瑠華は気にしていた。それに横目でみた刹那の顔がとても重かったから。まるで親の敵を睨むような顔をしていたのだ。

 この頃、なぜかレナに刹那が敵意を見せているのは知っている。だが、理由は知らない。そしてもう一つ。あの『月』の形をしたペンダントを渡した時のレナの表情。

 怖かった。

なぜか、とても怖かった。寒気がして、自分の体が固まっていくのが分かった。それは自分が買ったペンダントが気に入られなかったからだとかそんなんじゃない。あの月に、何か深いものがあることを密かに感じたのだ。実際、その月を見てレナは固まったのだから。





 「どーしたの。暗い顔して」

真昼の休み時間。周りの目を盗んで裏庭のベンチにやってきた瑠華は、明るい太陽を見つめながらも暗い表情だった。それをなぜか見つけてやってきた刹那は、隣のベンチに腰掛ける。

「・・別に」

「あ、何その冷たい反応。やっぱりあれ?昨日の西園寺の表情?」

「まぁ、ね」

 刹那はしばらく瑠華と同じように太陽を眺め、そして語る。

「お前と西園寺って、どうやって知り合った」

 ちょっと命令口調なのが気に障ったが、瑠華は答える。

「一年の入学式。それが何よ」

「どっちから声かけたの」

「あたしよ。なんか草の影に一人で座ってるのを見たから」

 そう、あの頃はレナがすべてだった。妖精のように可愛らしいレナ。やさしく、明るく、とてもいい子だ。だからこそ、今も続いている。

 「・・・中学生の時、どうだったか知ってる?」

「はぁ?」

その意味不明な問いかけに段々腹が立ってきた瑠華は、地面に足を下ろし、勢いで起き上がる。

「あのね、なんなのよさっきから。ってか、この前からっ。レナの事ばっかり敵対しちゃって。しかもレナのことが知りたいなら、自分で探れば?!」

 だが、意外な答えがかえってくる。

「もう、知ってる。西園寺がどんなのか、お前知りたいか?知りたいなら、話してやる」

 『知りたいか?』

この問いが、瑠華に重くのしかかる。

なぜだろう。どうして、この問いに反応してしまうのだろう。

 「お前は、知りたくないんだ。そうだろ?お前は真実から目を背けすぎだ。あの時もそうだ。お化け屋敷の時。あれはお前がもっと自分の信念を強くもっていたら、あんなものを重い荷物として背負わなくてもよかったんだよっ!」

 なんだか今日の刹那は激しいなと瑠華は驚くが、驚く表情など見せない。

「何よ熱くなっちゃって。いらいらしないでよ。こっちまで苛つくっての。逆切れしないで」

「逆切れなんてしてねぇって。本当のことを言ったまでだっつうの」

「うるさい。あんたに何の関係もないんだから、ほっといてよ」

「ほっとけないから言ってんの!!」

「何で!」

「お前が好きだからっ!」


 

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