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伝説の英雄たち、関心ごとは本日の晩御飯  作者: ホライゾンくん


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4/5

 天地万象と呼ばれるもの(笑)

 旧西部遺跡の最深部。

 祭壇の前に並ぶ学士と騎士たちは、息を潜めてこちらを見ていた。


「……本当に、お越しくださったのですね」


 年配の学士が、震える声で言う。


「天地万象様」


(やめてくれーーーー!!)


 表情は変えない。

 変えられない。


(それ、当時の俺がイキって使ってた二つ名だ!

 今思い出すと布団に潜りたくなるやつだ!!)


 学士は、古びた石板を差し出した。


「三百年前の封印文です。

 『天地万象、理を写し、世界を正す』

 この一節が、再び発光しまして……」


(刻むな!!

 なんで刻んだ!?

 あれ日記だ!!

 夜テンションで書いた自分用メモなんだ!!)


 石板には、確かに見覚えのある文字列が浮かんでいる。


(あーーーー!!

 それ、世界の理とかじゃない!!

 “この魔法便利だから次はこう使う”って殴り書きしたやつ!!

 石板に刻む内容じゃない!!)


「……問題ありません」


 口から出たのは、冷静な声だった。


「これは起動しません」


(頼むから深読みしないでくれ!!

 条件が足りないとか以前に、

 俺が途中で飽きたやつだ!!)


 騎士たちが一斉に膝をつく。


「さすがは天地万象……!」


(さすがじゃない!!

 途中で放り投げただけだ!!)


「伝承通り……

 ご自身の功績を語られない……」


(語りたくないんじゃない!!

 恥ずかしいんだ!!)


「必要なときだけ現れ……」


(たまたまだ!!

 晩御飯の時間があるだけだ!!)


 俺は、何も言わなかった。

 訂正すると、余計に話が広がる気がした。


「もう、よろしいですか」


 それだけ告げると、全員が慌てて道を開ける。


「どうか、お気をつけて……!」


(気をつけたいのは過去の自分だよ……)


 遺跡を出る直前、案内役の男が小声で言った。


「……やはり、天地万象様は違いますね」


「……」


(違わない。

 昔の俺が、

 調子に乗って石板に日記刻んだだけだ)


 空は穏やかに晴れていた。


(頼むから、

 これ以上“天地万象”の資料、

 発掘しないでくれ……)


 このときの俺は、まだ知らなかった。

 この話が家に持ち帰られた瞬間、

 どんな笑い地獄が待っているのかを。

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