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第九話 それでも後悔していない
告白したことを、
後悔しているかと聞かれたら、
答えははっきりしている。
していない。
結果だけを見れば、
振られた恋だ。
付き合えたわけでも、
何かが始まったわけでもない。
それでも、
言わなかった自分を想像すると、
今よりずっと息苦しい気がした。
弟が亡くなってから、
物事の見え方が少し変わった。
いつか、なんて言葉は、
思っているより当てにならない。
言えるときに言わないと、
伝えたい相手が、
突然いなくなることもある。
あの日、
駅前で立ち止まったのは、
恋愛のためだけじゃなかった。
自分が、
自分の気持ちに嘘をつかないためだった。
彼女は、
友達でいることを選んだ。
それは、
拒絶ではない。
少なくとも、
そう受け取っている。
関係は続いている。
形は変わらないまま。
それでいいのかと、
思わないわけじゃない。
でも、
悔いは残っていない。
それだけは、
確かだった。




