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第七話 駅前で告白した

その日は、告白するつもりだった。


何度も一緒に出かけてきたし、

社会人になって、少し余裕も出てきていた。

この人と、もう少し親密な関係で、

ちゃんと話をしてみたいと思っていた。


ただ、私はとても奥手だ。

本心を出すのが、昔から苦手だった。


当たり障りのない会話なら、いくらでもできる。

でも、直接気持ちを伝えるのは違う。

人生で二度目だった。


駅の近くに車を停めて、

助手席の彼女を降ろした。


「じゃあね」


そう言われた瞬間、

引き留める言葉が何も浮かばなかった。


「ちょっと待って」


気づいたら、そう言っていた。

後部座席から、小さな紙袋を取り出す。

オレンジ色で、高級感のあるものだった。


「ありがとう! これなに?」


「漫画のコラボチョコだよ」


それだけ答えた。

彼女の好きな漫画と、高級チョコが

コラボしているのを知っていた。


展示イベントとは別に、

百貨店の一階で売っていたものだ。


「ありがとう。それじゃあね」


彼女はそう言って、行こうとした。


うまく引き留める言い訳が思いつかず、

とっさに袋の中身を確認するふりをした。


それを、彼女は不思議そうに見ている。


「どうしたの?」


顔が、急に熱くなった。

頭の中が真っ白になる。


告白しなきゃ。

それだけで、いっぱいだった。


「あなたのことが好きです。

付き合ってください」


言葉と同時に、

深くお辞儀をしていた。


「えぇー!?」


彼女は驚いた声を出して、

一秒くらい考えてから言った。


「友達でいてください」


「答えてくれて、ありがとう」


それだけ言って、その場を後にした。


そのあとも、

メッセージのやり取りは普通に続いた。


今日の感想を言い合って、

最後は、彼女が今ハマっている

ゲームの話をしていた。


世界は、何も変わらなかった。


それでも、

言えたことだけは、確かだった。

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