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展示のあとで
漫画の展示イベントに行ったのは、
それからしばらくしてからだった。
原画や設定資料が並ぶタイプのものだ。
人は多かったが、騒がしすぎるほどではない。
彼女は、展示を一つひとつ丁寧に見ていた。
立ち止まる時間が長いところと、
すっと通り過ぎるところが、はっきりしている。
「ここ、好きそうだと思った」
そう言って指差すと、
「うん、好き」と素直に返ってきた。
感想を言い合うというより、
気になったところを、ぽつぽつ話す。
無理に盛り上げなくても、
時間は自然に進んだ。
展示を見終えて、
外に出ると、もう夕方だった。
そのまま、彼女を駅まで送ることにした。
車に乗るのは、これが初めてだった。
流行っているアニメの曲や、
動画サイトでよく流れている音楽を流すと、
二人とも、少しテンションが上がった。
彼女が、
「懐かしい」とか
「これ、最近ハマってる」
とか言いながら、話し出す。
車は、
彼女が大学生の頃によく通っていた場所の前を通った。
「あ、ここさ」
そう言って、
その頃の話をしてくれる。
知らなかった時間の話を、
運転しながら聞いていた。
駅が近づいてくるのが、
少しだけ早く感じた。
その日は、
それ以上、何もなかった。
でも、
この時間が続くなら、
そろそろ、はっきりさせなければいけない。
そんな考えが、
頭の片隅に残った。




