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第三話 再会は焼肉から始まった
大学四年のとき、
彼女と再会した。
きっかけは、SNSだった。
どちらから声をかけたのかは覚えていない。
気づいたら、
「今度、ご飯でも行かない?」
そんなやり取りをしていた。
店は、大学の最寄り駅にある焼肉屋だった。
特別な理由はない。
たまたま、二人とも知っている場所だっただけだ。
七輪を挟んで向かい合って座る。
久しぶりに顔を見たのに、不思議と緊張はなかった。
肉が焼けるのを待ちながら、
近況を話した。
就活のこと。
大学のこと。
昔の知り合いの話。
会話は途切れなかった。
気づくと、
自然に相手の皿に肉を取っていた。
彼女も同じことをしていた。
それに気づいたとき、
少しだけ胸が詰まった。
懐かしい、という感情とは少し違う。
でも、初めて会った頃とも違う。
その日は、
それ以上、何も起きなかった。
駅で別れて、
「またね」と言って帰った。
帰り道、
スマホをポケットに入れたまま、
しばらく歩いた。
再会しただけだ。
ただ、それだけの出来事。
それでも、
何かが少しだけ戻った気がした。




