9、入学の挨拶
「レーネ、行くよ!」
「待って!」
朝ご飯を食べた私たちは、グラウンドに向かっていた。角張った式ではないが、先生が挨拶をするそうだ。
「皆、こちらに集合してくれ」
向かった先には教官と思しき人が3人立っている。男の人が2人に女の人が1人だ。
「よし、時間だな。点呼を始める」
そう言ったのはがっちりした体型の男の人だ。40前半くらいだろうか。若いな。そして辺りを見回してみる。生徒はざっと40人程度だろうか。本当に女子が2人だけとは驚きだ。
「イレーネ・ピュリス!」
「はい!」
学校の情報も少ない中で安いところを選んだ為に、何をするのかよく分からない。試験とかはあるのだろうか。そんなことを考えていたら、もうすぐ点呼も終わりそうだ。
「よし。それでは挨拶を始めるぞ! 俺の名前はヤン・アルニム。ここの代表で、剣術と槍術を教える。分かっているとは思うが、優れたハンターになるにはあらゆる知識、技術が必要だ。そして、ここではそれを1年でたたき込む。よって、容赦はしない。分かっているな」
当然。その為にここまで来たのだから。
「それじゃ、次は俺以外の教官を紹介するぞ」
「攻撃魔法担当のディルク・カルベだ。1年間よろしくな」
またもや40前半くらいか。こちらは魔法使いだからかヤン先生のように見るからにがっちりはしていない。
「私は、主に治癒系の魔法と座学を担当するリナ・エーベルトよ。よろしくね」
優しげな女の人だ。年齢は置いといて、私はこの人に教わることになるのだろう。
「よし、それでは説明を始めたいのだが、さすがにボードも何も無いところではできない。よって、教室に移動する」
皆が立ち上がる。
「レーネ、行こっ!」
「うん」
そして、私たちは校舎へと移動した。