6、ルームメイト(前編)
ドアを開けるとそこには銀髪の女の子が1人、2段ベッドで本を読んでいた。よし。挨拶しよう。
「イレーネ・ピュリスです。イレーネって呼んで。よろしくね」
「私、ミア・ルーデルよ。こちらこそよろしく、イレーネ。ミアでいいよ」
「……ねえ、この部屋使うの、私たちだけなのかな?」
見た感じ、2人部屋だ。
「多分ね。ていうより、ここに通う女子が私たちだけなんだと思う」
……え?
「2人だけ!? 生徒はもっといるはずじゃ」
「うん。でもハンターって危険だから、ほとんどの女の子はやりたがんないもん。そもそも大体は実家の手伝いとかに忙しいし」
「そうなの!?」
驚いたが、言われてみればそうだな。
「そうだよ。知らなかったの?」
「うん」
薄々気づいてはいたが、私はあまりハンターの常識を知らないようだ。
「そうなんだ。ねえ、イレーネはなんでハンターになりたいの?」
おお。いきなりだな。
「私は……」
「イレーネ」の悲願を果たす為、とは言えない。
「私、孤児院で育ったんだけど、せっかく働くんだから、自分の魔法を活かした職業がいいと思って」
「へえ。まあ、他の魔法関連の仕事はある程度身分が保証されてないと難しいしね」
「うん。それにハンターなら、実力次第で報酬もたくさん貰えるから。ミアは?」
「私? 私はね、」
「私は?」
「スリルが大好きだから」
そう言って、彼女はニヤリと笑った。