3、いざ学校へ(前編)
「それでは、行ってきます!」
「ああ。その前にこれ」
「これは……?」
「お守りだよ。お守り。ハンターなんて危険が多いんだから、持ってきな?」
「ありがとうございます! 私、絶対に立派なハンターになります!」
「それじゃあ、いってらっしゃい」
「気をつけるんだよ」
「はい!」
そうして私はハンター育成学校がある都市に向かう共同馬車に乗り込んだ。ハンター育成学校、というのは主に引退したハンターがやっている学校で、国主導では無いのでその形態を含め色々なものがあるのだが、その中で私が通うのは学費が手頃なところだった。そこでランクを上げてギルドに登録するわけだ。
ランク、というのはハンターのステータスのことで、この世界ではFからSSまでに振り分けられている。私のように単独で戦えない者は誰かとパーティーを組むしかないのだが、回復役ならばそれなりの需要はあるはずだ。
「はあ」
先が見えないというのはこんなにも不安なのか。でも頑張るしかない。ハンターになることは、決して私だけの夢では無いのだから。
4時間くらい走ったところで馬車が停止する。先程から何度か休んではいたが、外を見るとかなり大きめの町に着いたようだから、本格的に休憩するのだろうか。
「あの、休憩ですか」
「ん? ああそうさ。ここでしっかり休むんだ。お嬢ちゃんもしばらく馬車から降りて大丈夫だよ」
「ありがとうございます」
助かった。前世と違って耐えられないほど酔うわけではないが、軽く頭痛がする。ただ、御者の人は交代があるとはいえもっと疲れているはずだ。何か買ってあげよう。そう思った私は街を散策することにした。