12、初授業(後編)
その後、もういいと言われた私の代わりに、他の3人が技を出していく。発動までにかかる時間、その光の強さ。私ですら分かる。皆が使っているのはもっと高度な魔法だった。
私は何を浮かれていたんだろう。自分の実力も分からない人が、優秀なハンターになりたい? なれるわけがない。
「みんな、いい感じね。でも、まだまだ努力が必要よ。まず、そもそも呪文は自分がこれから起こす事象をイメージしやすくする為に言うものよ。だから、呪文だけ立派にしても意味がない。大事なのは怪我の状態を見て、具体的に何をどう治癒するのか思い描くことなんだから」
私の呪文では、イメージの補助にはなっていないだろう。
「みんな、わざわざここに通っているということは、高ランクを目指すのよね。そして、ハンターとして生きていきたいと考えている。その為にはなおさら、確かな知識と判断が求められる。私達には、仲間達の勝利を支える使命があるのよ」
この仕事でまとまったお金を稼ぐには、強いパーティーの一員になる必要性がどうしても出てくる。私達は、ソロプレイができないのだから。強いパーティー。強力な敵を相手にするパーティー。当然、怪我のリスクは上がるし、深い傷を負うかも知れない。そこで求められる人になる為に必要なこと……
「それに、イメージしたら、それを具現化する為に魔力を上手く扱わないと。それには才能も関わってくるわ」
魔法を操るにも、才能がいる。これがなければ全て終わりだ。
「でも、才能がないからダメなんだ、なんて言い訳はしないでね。生まれ持った魔力量は確かに才能の問題だけど、今のみんなは、それ以前にまだ自分の力を引き出せていない」
確かに、努力もしていないうちにそんなことを言ってはいけない。
「脅しみたいになったわね。とにかく、この1年間、私はあなたたちを一生懸命指導する。なんでも相談してくれて構わない。だからついてきて。いいわね? よし! さあ、訓練するわよ」
「「「「はい!」」」」
今は集中しろ、私は自分を鼓舞して立ち上がった。




