11、初授業(前編)
「と、いうわけで今日はこれから私と訓練していきます。よろしくね」
再びのグラウンドで、私たちは各教官のところに分かれて指導を受けることになった。サポート専門の生徒は私含め4人。想定より少ないな。
「回復役というのは、直接戦闘には役立たないように思えるけれど、とても重要な存在よ。常に戦闘状況を把握して、パーティーの仲間の様子に気を配る。その上である程度自衛もできないといけないし、怪我の具合を適切に判断できなくてはだめ。分かっているわね?」
緊迫した状況で、かなり高度なことが求められる。周りを見ると、皆顔が曇っていた。
「もう。みんな、そんな顔しなくて大丈夫よ。私がちゃんと教えるから、ね? それじゃ、まずはみんながどのくらいの魔法が使えるのか確認させてもらうわよ」
「「「「はい!」」」」
「それじゃ、最初は……」
「私にやらせてください!」
「イレーネね。いいわよ。杖は?」
「あの、使った方が力が引き出しやすいのは知っているのですが、買えなくて」
「大丈夫。ここには貸出用の杖もあるから。まずは、いつもやっているやり方で魔法を使ってみて」
先生がどの程度の魔法か判断してくれるのだろうか。
「分かりました。痛いの痛いの、飛んでいけ!」
私が呪文を唱えると、その場にいた全員が静まり返った。どうしたんだろう。
「イレーネ、今のは……」
「あの、どうかしましたか」
先生は少し黙った後、私に言った。
「今の魔法だと、ほんの小さな傷程度しか治せないわよ?」
「え……?」
「もっと強い魔法は使えない?」
「いえ、これしか……」
「そう。分かったわ。もういいわよ」
先程と同じ優しい口調。でも、呆れられてしまった?
「あ、はい……」
私はその日、初めて自分の魔力の弱さを突きつけられた。




