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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

番に振り回された人間の私の話。

作者: だぶちー
掲載日:2022/02/06

大好きだった。あの人が


私には幸せとよべるものがなかった。両親も友人も才能も財産もなかった。

孤児でなんとか生きてきただけ。だからどうしようもなく愛に惹かれた。

唯一無二という番の存在を知った時、獣人の彼に選ばれた時。

大きな安堵に包まれて、満たされた。

安心して愛していい。

自分のすべてをかけて相手に尽くしても、彼にとって私は特別なのだから

同じものが返される。想いあっていられる。この幸せは永遠なのだと信じられた。


それなのに、彼は本当の番が現れたという。

私は人間だ。だから言われるがままに信じていた。獣人の本能を。

番以外は好きになる事はないと思っていた。馬鹿みたいに盲目的に。


獣人でも嘘をつくのだとカケラも思い至らなかったのだ。


「アズサのことは好きだった。アイツに会うまでは番だと思っていた。

 だから嘘をついていたわけではない」


「俺も知らなかったんだ」


だから許してくれと。


許せるわけがない。私が注いだ愛情を信頼を時間を返してから言って欲しい。

彼が家に居てと言ったからやっとありついた仕事は辞めた。二人でいたいと言ったから子供も考えなかった。少ない貯蓄も家族と縁を切った彼の為と新居に費やした。


彼がいなくなったら、前以上に私には何もなくなってしまう。

裏切られた。けれども離婚には応じたくなかった。嘘だと思いたかった。

話を聞かない私を置いて彼は出て行った。


彼の本当の番はかなりの資産家らしく。相応の慰謝料を払うと代理人がやってきた。

彼女のお腹には彼の子供がいて、すぐにでも籍を入れたいのだという。


衝撃だった。彼は子供は苦手で欲しくなかったのではなかったのか。

私がいるのに、いつ子供ができたのか。


お金は欲しい。生活は苦しい。家はあっても私は無職だ。

けれども。それでも。どうして私が彼らを夫婦にしてあげなくてはならないの?


絶対に嫌だ。


とりあえず、家を売ることにした。安くしたので直ぐ売れた。蓄えが少しできた。

この街を出ていくことにした。


ーーー


「おーい! いまひまー?」


防水のテントと寝袋等、野宿の道具を揃えて街を出て、適当に彷徨った結果、山にきた。山はいい。食べ物が沢山ある。湧水もある。テントを張っても怒られない。たまに会う獣は怖いけど仕掛けた罠に掛かれば食べ物になる。


「うん。ひまじゃないー!」


山で山菜をとっていると奴が声をかけてきた。


「そんなこと言わないでー。一緒に遊びに行こうー!」


「うん。絶対嫌死んでもお断り」


「またつれないなー」


つれなくて結構。獣人の男とはもう付き合いたくない。本当は見たくもない。


「ほらっ! 牛乳持ってきたし! チーズもあるよぅ?」


この尻尾を振っている男は、近くの牧場の男だ。元は猟犬だったのか、牛を飼っている。


「いらない。帰って仕事しろ」


強く言ってもやってくる。ウザすぎる。


「お、お菓子もあるょ……?」


「さよなら」


尻尾の垂れた男を置いてさっさと歩き出す。今日もよく晴れていい天気。山を上に上に登っていく。木漏れ日が眩しい。山菜は沢山採れたから、今日のごはんはもう大丈夫。栗鼠や兎を探して癒されよう。



麓にある町で獣用の罠を大量に買い込み、堀を作ろうとシャベルを入手した時に男とは会った。壊れた農具を買い替えに来ていたらしい。風呂も入らず、薄汚れた私を捕まえて奴は言ったんだ。


「俺の番」と。

カッとして掴まれていないシャベルを持った手で目一杯殴った。気持ちが悪くて掴まれた袖口は破って踏みつけて、逃げた。


信じられない! また番なんて!


山に逃げ込んで、数日経った頃、奴は普通の顔をして現れた。


「匂いを追ってきたんだ!」


だなんて脳天気に笑って麓で牧場をやっているのだと自己紹介をはじめた。


勿論無視してさっさと荷物をまとめて逃げた。その後もことある毎に現れ一方的にしゃべってくる。話して拒絶の意思を見せればこなくなるかと苦渋の思いで返してもなにも変わらない。ひと月移動してやっと安住の地を見つけたと思ったのに。またここから移動しなければならないのかとうんざりする。


山の中腹にある野花の群生地に着いて、その中へ倒れ込んだ。

警戒心が強い兎等の小動物は動くと逃げられてしまうが、何もせずじっとしていれば

意外と近くまで寄ってきてくれるのだ。見るからにふわふわの毛並み。さわりたいけど嫌がられたくないから見てるだけ。今日は3羽もいる。ああ。ここは最高の癒しスポットなのに。他の山に移らないとならないのか。


山の中だから安全ではないけれど、どうでもよくなって昼寝に耽る。

一年を通して温暖な気候の此処は天国のような場所なのに。


起きたら夜だった。夜空に広がる星。山の中だからか、手を伸ばせば届きそうな煌めき。

少しずつ動いている。その動きをじっと見つめる時間も好きだ。極偶に流れる燃える星のカケラが私を癒す。


けれど、寒い。寒いと暖かい過去を思い出す。銀狐の獣人。私の大好きだった人。


「アズサ」


甘い甘い声で呼んでくれた。大きな銀の尻尾で包んでくれた。誰もいない私に合わせて二人だけで結婚式をしてくれた。家族の反対を振り切って私とずっと一緒だって言ったのに。


私の知らない女と……。私が番だって言ったのに。

私が失踪すれば3年は結婚出来ない。途中で教会へ行って一度でも生存が確認出来ればその期間は更に伸びる。名目だけでも私は彼の妻だ。絶対に別れたりしない。それが私の彼への復讐だ。


何ヶ月経っても涙は枯れず溢れる。忘れられるわけがない。生きてる限り邪魔してやる。


ーーー

「まだ見つからないの!?」

「はい。手を尽くしてはいるのですが…彼女は天涯孤独の身の上らしく。家の外にもあまり出ていなかったようで知り合いもおらず。家も安価で売りに出したようで直ぐに買い手が付いた為、関わった者もあまり覚えておらず、その後の手掛かりもありません」


「この子が産まれてきてしまうじゃない! 庶子なんて有り得ないわ。何としてでも籍を入れたいのよ!」


「お嬢様…わかっております。ですが、本人がいないのであれば交渉も出来ません」



「本当にどうにもならないの……?」


「偽造するにも字が書けなかったことから血印にて届けが出されております。血の契約を偽る事は不可能です。失踪から3年経つと片方の申し出だけでも離婚は成立致します。それを待つしか……」


「そんな! もう半年後には産み月が来てしまうのにっ!」


今にも涙を落としそうなカレン。彼女の顔を見て俺は決心を固めた。


「……俺が探しに行く。アンタと俺の子の為だ。俺ならアイツの匂いを追える」


「オルヴィン! あなたにそんなことさせられないわ!」


優しいカレンは俺を一番に心配してくれる。


「いいや。元はと言えば、俺のせいだ。責任をとろう」


俺の過去の事で愛しい番を苦しめるわけにはいかない。俺が番を間違えたのが悪いのだから。


ーーー


あれから三ヶ月なんだかんだでまだこの山にいる。どうしても居心地がよくて、居着いてしまった。

最近では罠にかかった獣を売って、斧と鋸を買った。木を伐採して小屋のようなものを建て始めた。

何かを作るのは結構楽しい。


奴はまだやってくるが、意外と無害な事が分かった上に帰れと強く言えば帰るようになったから負担も減ったように思う。




それは、突然だった。


いつも通り小屋から少し離れたところで太過ぎず、細過ぎず適度な大きさの木を切っている時だった。


「アズサ」


知ってる声が聞こえた。振り返ると夫がいた。


「……オルヴィン……」


「お前の匂いを追ってきた。……その格好、前に戻った様だな」


それは、薄汚れて見窄らしい、昔の自分か。あなたに出会ったばかりの私の事か。


「……こんなところまで、何の用?」


努めて普段通りに振る舞う。用なんてひとつしかないだろうけれど。


「あぁ。離縁届に血版が欲しい。この書類だ」


やっぱり。


「私は離縁する気はないわ。あなたにはこれからどんなことでも何一つしてあげたくないの」


「アズサ。いい加減にしろ」


「はぁ?」


「さっさと俺とアイツの為に、この書類に判を押せ」


「なんでそんなことをあなたたちのためにやってあげなきゃならないの?

 私を裏切って先に話し合いすら面倒で逃げたのはあなたでしょうに」


「真実の番が見つかったんだから、仕方ないだろう? 見つけてしまった以上、どれだけお前と話しても意味はない。結論は変わらないのだから」


「そうやって、私の気持ちを無視するから、こんなことになるんじゃない?

私の言葉を聞きもせず、納得させられないで、どうして私があなたの言うことを無条件に聞いてあげると思うの?」


「無条件じゃないだろう。慰謝料について代理人が行ったはずだ」


「お金じゃない!!! 必要なのは、わたしの! 心よっ!

 あなたに委ねた私の心と約束を返して! 一生守ると言った言葉を。ずっと愛してると言った気持ちを。全部消して私を元に戻してよ……」


言いながら自然と涙が零れる。オルヴィンは少し困った様な顔をして言う。


「アズサ。わかっているはずだ。それは不可能だ。そんなことより、用事は判をもらうことだけだ。指を切ってここに押せ」


どうしてわからないのか。そんなに番が大事なのか。……大事なんだろう私を大切にしたように。


「お断りよ。私は絶対に別れたりしない。幾ら金を積もうと無駄よ。さぁ、わかったら二度と顔を見せないで!」


呆れたように溜息を吐いて、オルヴィンは言った。


「平行線だな。実力行使としよう」


オルヴィンは強い。軍属だったし、獣人の身体能力は人間を何倍も上回る。

私は構えていた斧を投げつけた。こんな重い物を持っていては直ぐに捕まる上にそんなことと私の気持ちを軽んじる彼を少しでも傷付けたいと思った。


彼は簡単に避けてしまったが、斧を投げつけられたのが不思議だったのか、驚きで固まっている。

私は急いで小屋へと逃げ出した。


ーーー

小屋の周りにはいくつか罠を仕掛けてある。引っ掛かってくれると良いのだけど、難しいだろう。でも、少しの時間稼ぎにはなる。

小屋から必要な物を取って、また駆け出す。彼は匂いを追ってきている。なら、まず匂いを消さなければ。

走りながら、今朝狩った獣を被って山を降りる。

無我夢中だった。嫌だ。捕まりたくない。その一心で、枝で傷ができるのも土に塗れるのも構わず、山の斜面を駆け下りる。


「あっれーオネーサン! 珍しいね! 降りてきたのー?」


麓に降りるとちょうど牛飼いの獣人とかち合った。しかし、呑気に話してる場合じゃない。

無言で駅へ走ろうとしたが、腕を掴まれてしまった。


「え? ちょっと、傷だらけじゃん! 随分急いでるみたいだし、どうしたの?」


「離せ!」


「だめだめ! 顔まで傷ついてるから、手当てしないとダメー」


必死で抵抗したけれど、疲労が強くずるずると引っ張られ、牧場へ連れ込まれてしまった。




「はい! おしまい!

見えるところの傷は払拭して薬塗ったけど、お風呂本当に入らないでいいのー?」


「いらない。終わったんならさっさと手を離して」


「うーん。離したら逃げるっしょ?なんだか追われてるみたいだし。匿ってあげるよー」


「余計な世話だ」


「まーまー。いいじゃん!」


なんだかんだ言って、決して手を放さなかった。

すぐそこにオルヴィンがいるかも知れないのに。


その時、扉をノックする音が聞こえた。十中八九オルヴィンだろう。

身構えた私を牛飼いは、裏口から牛舎へと押し出す。


「俺が出るから、おねーさんはここで隠れててねー

こう見えて俺、力ある方だからー! 安心してー」


とても安心出来ない。匂いも部屋に残っているだろうし。どうするつもりなのか。

いざという時の為に牛舎の出口を探していると牛飼いのいる居住区から大きな音が聞こえた。

慌てて牛の影に隠れるが、裏口からはだれも出てくることはなかった。


しばらくして牛飼いの声が聞こえた。


「オネーサーン。もうだいじょぶー。こっちきていいよー?」


私を騙すつもりではと疑ったが、さっきの音が気になって部屋を覗き込んだが、牛飼い以外の人影はなかった。


「さっきの音はなんだったの……?」


「あー、ちょっとねー」


「それよりおねーさんの名前アズサって言うんだー!」


やっぱりオルヴィンはここに来たんだ。私をその名で呼ぶのはオルヴィンしかいない。


「私の名前はアズラーサ。アズサはただの愛称よ。それにアズサって呼び名嫌いになったの。絶対に呼ばないで」


「あ。そうなんだーオッケーじゃあ、俺はあーちゃんって呼ぶな!」


「…好きにすれば、で、彼来たんでしょう。追い返すの大変だったんじゃない?」


「あー。そうでもないかな? 彼、銀狐でしょ。俺いちおう天敵だからー」


狐の天敵……まさか……


「そうー俺こう見えてオオカミの獣人ー」




私の夫、銀狐も結構な希少種だが、狼は輪を掛けて少ない。何故なら番至上主義で、番以外とは万が一にもつがうことがないからだ。逆に番が見つかれば、多くの子を残すと言われているが、彼らは山の近くから離れない為、番を見つけることが難しいのだという。


「あなた……狼のクセになんでそんなにチャラいのよ!」


「ええ!? 偏見だよ! それに狼だっていろんな性格がいたっていいじゃんー」

「許せない!」


「そこ、狼でカッコいい! とか、見直すところじゃないのー?」


「あるわけないわ。あんな普段からチャラついてて狼なんて詐欺よ

 それにその間の抜けた喋り方、全然狼じゃないわ!」


「そんなこと言われてもー」


いつもの様にへらへら笑うから、助けて貰ったのに、へらず口が止まなくなってしまう。


「私、帰る」


「あ、まって。それはダメー」


「どうしてよ!」

「まださっきの人居るかもだから。今日は、ううん。当分はここにいた方がいいよー」


 そうか。でも、コイツを頼るのも嫌だ。


「まーまー、そう警戒しないで! 俺、無害よ?」(うっそー)


信用できない。


「ほんとほんと!」(嘘だよー)


人畜無害そうに笑うがコイツも獣人だ。その上、私のことを番と言った。

私は忘れていない。でも、今は。オルヴィンとまた会うよりはマシかもしれない。



そう思ったのが、悪かった?













「鳥籠は大きいほどいいって言うじゃーん。この山全部俺のー

それに奥には眷属の狼がたくさん住んでんだよねー 逃げられっこないよ!」


「別にー結婚なんて必要ない。あーちゃんが俺のテリトリーにいるなら

人間が決めた契約なんて必要ない! ここに逃げ込んだのが、運の尽きだね!」


そんなふうに裏で笑ってるなんて私は知らなかったんだ。

あんなに獣人の番を憎んでいたのに。あまりにもアイツがずっと甘いから。

また繰り返してしまったんだ。信じるなんて馬鹿なことを。




その後、寂しさに耐えられない甘い甘いあーちゃんは悪いおおかみさん(俺)に美味しく美味しく食べられて、たくさんの子と孫に囲まれて、大往生したのでしたー

え?夫はどうなったって? 狼のテリトリーに入った狐の運命なんて、ね?


おわり











☆ おまけ ☆




「……あーちゃん。泣いてるのー?」


コイツは私が夫を思い出し丸まって背を向け泣く度に後ろから抱きついてくる。


「悪いか」

「わるくないーわるくなんてないよー

泣きたい時は泣きたいだけいつまでだって泣いたらいいよー!」


いつまでも夫を想って泣く私の冷え切った体をあたためるように。頭もぽんぽん優しく叩かれる。


「前にまわってもいいー?」


「……好きにしろ」


言うが早いか横向きから仰向けに押し倒された。


ペロペロ


涙を舐められる。


「おい」


「しょうがナイっしょー 俺、犬科だからー! あーちゃんが泣き止むまでずーーーっと舐めててあげるー!」


「おい」


「あーちゃんが嫌なことはしないよぅ? 大丈夫! 大丈夫!」


何故か首筋まで舐められる。

「……そこは濡れてないだろ」


「まーまーこまかいコトは気にしなーい!」


そう言いながら奴はさらに下がっていく。


「おい! いい加減に!」


「……あーちゃんって小動物好きだよねー もふもふふわふわのー 森でみたんだー りすとかーウサギとかさー」


「それが何だ」


「狼の子供ってめっちゃカワイーよ? しかも犬科だからか人がうんでも絶対安産だし! ついでに一回で平均5頭産まれる上に妊娠期間はたったのニヶ月!」


「からだのことを考えて、一年に一度産むとしてーなんと十年で50頭のモフモフふわふわが体験できるよぅ?」


……50頭のモフモフふわふわ……いやしかし、親になるなら責任が……


「ふふふ。狼の子供は勝手に育つよー! 助けてあげるのはほんの最初だけ! あとは俺にマカせてくれればイイだけ!」


……子育てがうまく出来なくてもいいのか……いや、だが……


「あーちゃん! シアワセって自分でもつくれるんだよぅ。俺、あーちゃんをいやしてあげたいんだー」


癒される……? 心に空いたこの無理矢理破り取ったような穴を埋められる……?


「あーちゃんはナニもしなくていいんだよー 俺が勝手に(好き放題)するからねー?」


「責任はぜんぶ俺ー! あーちゃんはモフモフのふわふわに囲まれているだけでいいんだよぅ……?」


……そうか……?


「そうそう! 出産も牛で慣れてるから任せてっ!」


…………そうなのか……?


「あーちゃん? ソウゾウしてみて? 決して逃げないむしろまとわりついてくるもふもふを……ナぜればナぜるほどよろこぶフワフワを……!」


……控えめに言って天国だな……


「涙もとまったけど、このままでイイよねー? あーちゃんは俺に食べられてシアワセになったらイイんだよぅ」


奴が慈愛に満ちた優しい瞳で私を見るから。


「……うん」


なんだか言葉に詰まって頷いてしまったんだ。





——10年後


「お前ら斧を持て」


「「「「「はーい」」」」」


あれから私はきっちり毎年5頭のもふもふを量産し、大から小まで様々なもふもふ達と山に小屋を作り住んでいた。


「奴が来るぞ。いつも通り撃退するんだ」


「「「「「あいあいさー」」」」」」


今は一番年上の子供らと一緒に戦闘訓練をしている。


敵は勿論アイツだ。


「ひどいよぅー みんなおとーさんだよー? 中に入れてよぅー」


外で泣いているが無視だ。


「騙されるんじゃない。アレは嘘泣きだ。お前達は私の可愛い子供。父親なんていなくとも私が立派に育ててやる」


「「「「「ママ大好きー!」」」」」


愛されている。私の幸せはここにあった。


「パパもなかまにいれてよぅー」


「おとーさんはおかーさんを独り占めしようとするからめー!」


「おとーさんはおしごとさぼっちゃだめー!」


「ぱぱはやることやってからここにくるのー!」


「よし。もっと言ってやれ」


「そんなぁー」

外から情けない声がするが、無視だ。コイツは甘やかすと何時迄も引っ付いて離れん。仕事しろ。金持ってこい。食事(牛肉)もな。私はまとわりついてくる産まれて数ヶ月の5頭の毛玉を撫ぜながら思う。


こんなふざけた日常がやってくるなんて想像も出来なかったが、人生とは不思議なものだ。


「まー あーちゃんがシアワセならそれでイイけどねぇー」

そう言いながら牛舎に向かう奴がとても満足そうに笑っているなんて私は知らなかったんだ。




☆ おまけおしまい ☆


お読み下さった方、いいねや評価・お気に入り入れて下さった方ありがとうございました!

番に振り回された主人公は本編中シャベルやら斧やらを振り回してますが、せっかくなんで最後はちょっとだけ振り回す側にまわるおまけ入れてみました。蛇足じゃないといいんですが。

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[一言] 番って人間からしたら傍迷惑ですね。
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