第12話 極悪
十二月八日。右門が月影に入る二日前の夜。
多くの者の期待を背負い、その男は扉を開けた。
月影ギルド本部、特殊調整場。
――通称「減魔」。
広場の隅には外灯石の他に、いくつかの爆圧石も設置されている。中央に並べられているのは三つの箱。それぞれに漢数字が振ってある。
「十七」、「五」、そして真ん中に「六」。
そのうちの一つに照準を合わせ、男は手にした鍬で構えを取った。
時刻は零時を回ろうとしている。日付が変わる。
暗黒滞留、悪魔殺し――。
森羅万象――、殺戮の気燃。
ゴオ
――ドバ
一瞬の現象で悪魔が一体葬られた。
鍬が振り上げられた次の瞬間、箱の一つが潰れ、鮮血が飛び散った。
鍬の動きと場の現象結果が合っていない――。
それが周りの者たち、全員が抱いた感想だった。
男が鍬を振り上げたその姿と同時に、箱が潰れた。それを認識した後、男が箱を潰していた。
まるでその男の動きの速さを、時間と空間が表現しきれていないかのようだった。
場には「五」と「六」の箱が残っている。どうやら潰れたのは「十七」の箱のようだ。
返り血を浴びた手で、男は再度、鍬を持ち上げる。
これは儀式ではなく、ただの殺しだ。
もし悪魔がそういうものならば、殺す方はそれを上回らなければならない。
男は言葉も表情もないまま、静かに次の番号の箱に体を向けた。




