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④⑦ 心の支えは



オスカーは今、昔のトビアスのような逞しさもありながら、悪戯っぽい少年のような面と知的な部分を持ち合わせている素晴らしい美少年に生まれ変わったのである。


故に以前の面影は一切ない。


そしてオスカーのやる気を更に高めたのが、アイラとシェイラに「私たちを養っていくには立派なご主人様にならなくちゃダメですよ?」と言われたことだ。


勿論クリスティンが指示を出したのだが、それを聞いたオスカーは一気に覚醒。

トビアスの後について色々とアインホルン家の仕事について真剣に学び始めたのである。


本人曰くアイラとシェイラには恋愛感情は無く、もはや崇拝に近いようだ。

分かりやすく言うのなら、オスカーはアイラとシェイラを"推し"ているのである。


つまりオスカーにとっては二人はアイドル的な存在でファンの一人として応援しているのだという。

アインホルン家の従者やシェフにもファンが居て、知らぬ間にファンクラブが結成されている。


アイラとシェイラも仕事とプライベートを分けているのだが、オンとオフの切り替えがとても上手いのだ。

その性格やキャラクター、ギャップや二人の関係性などが、オスカーの性癖にブッ刺さっている。


オスカーもアイラとシェイラに習い、ファンとしての一面とオスカー・アインホルンを使い分けながら楽しんでいる。

オスカーにとって二人の存在が原動力になっている事は間違いない。


結果としてアイラとシェイラ至上主義の部分だけは直らなかったので、害がないならとそのまま放置している。


ふと、アインホルン家に嫁いできてくれる御令嬢がいるかが心配になったクリスティンは恐る恐るオスカーに尋ねてみると「気になっている人がいる」と教えてくれたのだ。


どうやら今回の舞踏会でアプローチするらしい。

それを聞いて一安心したのである。


そんな三人の関係は、複雑に絡み合っていてクリスティンにはもはや理解不能である。


ちなみにアイラとシェイラの二人は、保護した時から恋人同士である。

二人きりでいる時はよくイチャイチャしている姿を見ることが出来る。


つまりアイラとシェイラの恋愛対象は女性。


よく可愛い姿や男らしい姿を見せてくれる。

そして偶に夜のお誘いも受けるが丁重にお断りしている。


そして男性への対応は、やや厳しめである。

もしアイラとシェイラをそういう目で見ようものなら容赦ない猫パンチが飛んでくる。


トータル的には二人をオスカーにつけたことは大正解だったようだ。



「なら、今日は作戦通りに頼むわね」


「けれど、姉上……アイラとシェイラの事を想うと心が痛みます」


「心配しないでオスカー!アイラとシェイラとはビジネスライクな付き合いだと言ったでしょう?さっさと切り替えなさい」


「分かっています!皆を養っていく為なら、どんなに辛く苦しい事でも成し遂げてみせます……!」


「そう、それは素晴らしい心掛けね…けれど今すぐそのデレデレとした顔を引き締めて頂戴」


「はぁ…」


「オスカー、元気出して?アイラとシェイラが貴方の働き次第でご褒美が貰えるから"ご主人様、頑張って下さい"っていっていたわよ?」


「ーー勿論です!さぁ、行きましょう!!」


「会場の御令嬢達は皆、アイラとシェイラと思えばいいわ」


「………………」


「露骨に嫌そうな顔をするんじゃないわよ」



そんな会話を楽しみながら会場に向かって馬車は進んでいく。

ガタガタと馬車が揺れる度に、心臓が激しく音を立てる。


これから先の事を考えると興奮してアドレナリンが止まらない。

祭りでデカイ花火を打ち上げる前のような高揚感に大きく息を吸い込んだ。



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