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30/82

③⓪ 報告


大量の資料が積み上げられた部屋。

カリカリと万年筆を持って紙に書き込んでいる音が響く。


暫くするとボーンボーンと鳴る時計の音に合わせて、聞こえるノックの音。


「入って」と返事をすれば、ゆっくりとドアが開く。

そして四人が目の前に順序よく並ぶ。



「「「「おはよう御座います、お嬢様」」」」


「みんな、おはよう!報告をお願いするわ」


「「「「はい」」」」


「まずレルザ、お父様の状況を教えて頂戴」



燕尾服を着た笑顔が素敵な初老の男性、レルザ。

執事頭でもある彼は、トビアスの父親の代から勤めている。

アインホルン家の事を全て把握しているといっても過言ではない。


そして誰よりもアインホルン家の変化を喜んでくれた。

トビアスもレルザには頭が上がらないらしい。



「はい、トビアス様は概ね順調でございます。ですが、やはり肉や酒が我慢出来ないようでして……」


「そう…なら肉は赤身肉を中心に切り替えるようにシェフに伝えて。満足できるように少しだけ味は濃いめにしてあげてね。お酒は赤ワインに変えて頂戴。お父様は兎に角、満足感重視で頼むわ」


「かしこまりました」


「運動は仕事の合間に出来る簡単なものを勧めてね」


「はい、クリスティンお嬢様」


「レルザ、いつもありがとう」


「アインホルン家の為ですから」



レルザは綺麗にお辞儀をして去っていく。


次に前に出たのはエラの側でサポートしているリリアンである。

まだ若い侍女であるが、昔からエラの側にいる侍女達は隠れてエラを甘やかしてしまう為、まだ若いがしっかり者でエラの扱いが上手いリリアンに重要な役目を任せていた。



「次、リリアンお願い。お母様の進捗具合は?」


「エラ様は先週までは順調だったのですが、最近やる気が落ちているようです…!」


「お母様は毎日少しで良いから甘いものを。そうね……食後にチョコレート二~三粒でいいわ。必要があればリリアンが上手く調整してね。お母様は体重よりも部分的な筋肉トレーニングで引き締めを中心に。とにかく見た目よ!見た目!」


「はい!」


「前に着ていたドレスを部屋に飾っておくのもいいわ!以前よりずっと細くなって変化していることを実感すると、やる気が出るはずよ!それから偶に隠れて間食しているようだけど、注意せずにそのまま放っておいていいわ。我慢しすぎてストレスになるのは良くないから」


「かしこまりました」


「あとお母様にこのデザイン画を渡しておいてね」


「もうこんなに?流石です…!お嬢様」


「リリアン、いつもありがとう!お母様のコントロールは大変だと思うけどお願いね」


「い、いえ……では失礼いたします」



リリアンが照れたように頬を赤く染めて、嬉しそうに去っていく。


そして最後に、アイラとシェイラが待ってましたと言わんばかりに抱きついて顔を擦り寄せる。



「シェイラ、アイラ!今日も最高に可愛いわ」


「クリスティン様、アイラはいっぱい頑張りました!褒めてください」


「狡いわ、アイラ!シェイラだって頑張ったもの」


「二人がとても頑張ってくれているから何もかも順調よ!さぁ、オスカーの様子を教えて」


「はい、ご主人様は絶好調ですわ!」


「最近はお強くなられて、更に磨きがかかってます!」


「素晴らしい成果ね!存分に才能を引き出して頂戴ね……あとはアイラとシェイラに任せるから引き続き宜しくね」


「「はーい」」


「いつもの場所にケーキがあるから後で食べてね!沢山あるから喧嘩しないで仲良く食べるのよ?」


「はい!クリスティン様」


「ありがとうございます」


「こちらこそ、いつもありがとう!!オスカーが変わったのは二人のお陰よ!」



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