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②④ 巻き込んで


以前のクリスティンとコーリーの関係と今から作り上げる関係は全く違うものになるだろう。

幸い、振られた時の悲しさや恨みの気持ちは一切持ち合わせていない。


ここでコーリーとの関係を切って、初めから拒否したとしよう。

コーリーから離れるのは簡単だが、折角ならば良い男に育てて利用したほうが利益となるのではないだろうか。


それに丁度、王都の情報を流してくれる駒が欲しいと思っていたのだ。


(計画を変更しましょう!)


コーリーはオクターバ侯爵の次男で、王都の情報にも詳しいので適役である。

何よりコーリーの母親は情報源であり、貴族のご婦人達に対して顔が広い。


それに記憶が正しければオクターバ商会も色んな問題を抱えていたはずだ。

以前、コーリーがクリスティンに愚痴をこぼしていた事があった。


ならばオクターバ家の問題をコーリーを介して少しずつ把握して解決に持っていく。

恩を売っておけば、アインホルン家の利になる事間違いなしだ。


(その為にもコーリーは絶対に引き込まなくちゃダメね……!フフッ、明るい未来が見えてきたわ!!)


たまには先行投資も悪くない。

何はともあれ従順で使える男はストックしておいて損はない。



「あ、あの…?」


「……」


「………クリスティン、様?」



常に俯いており、目元を髪で隠しているところを見ると、自分の見た目に自信がないのは明白だ。

これでは前に進めないどころか前が見えない。

喋り方もそうだがオドオドして相手の顔色を伺っている。


(何がコーリーをここまで追い詰めたのかしら)


理由は追々探るとして、何故コーリーがクリスティンに声を掛けたか……答えは簡単である。

恐らく同じく見た目にコンプレックスを持っているであろうクリスティンに目を付けたのだ。

それか毒気がなく控えめな部分に惹かれたのか。

要はクリスティンといれば、自分が傷付かずに済むのだろう。


コーリーは侯爵家の次男として、沢山の縁談は舞い込んでいるはずだ。

しかし関係が上手く続いておらず婚約者が居ない。


何はともあれ、人間関係に臆病になっているコーリーに遠回しの言葉は響かない。

コーリーの目があるであろう部分を見つめて、ニンマリと満面の笑みを浮かべてから口を開いた。



「コーリー様……貴方、自分に自信がありますか?」



肩が揺れ動いたのを見逃さなかった。



「わたくしと一緒に鍛えませんか?」


「き、鍛える…って何を」



手をガシッと両手で包み込むと、慌てるコーリー。

どうやら手を繋いでいるのが恥ずかしいようで、頬が赤くなっている。



「て、てっ、手が!!」


「磨けば光る……そんな気がするの!!」


「あ、あの…!?」


「友達になりましょう?」



突然の言葉にどうしようか必死に考えているようだ。

けれどコーリーのようなタイプは考えれば考える程に良くない方向に向かってしまう。

ならば考える間を与えずに、脳にポジティブな印象を刻み込めばいい。



「……えっと、でも」



(もう一押しかしら)


困惑して目が右往左往するコーリーに畳み掛けるように言い放つ。



「そしたら……周囲を見返しましょう!」


「!!」


「わたくしと一緒に変わりませんか?」



すると小さな声で「と…とりあえず詳しい話を聞かせてください」と言った。


食いついた魚を逃さないように言葉を選んで丁寧に話していく。

こうなってしまえば、もう此方のペースである。


コーリーは戸惑いながらも目を輝かせて頷いたのだった。


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