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【コミカライズ&電子書籍化決定】とある令嬢の逆転劇〜お覚悟はよろしくて?〜  作者: やきいもほくほく
1章

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②① まだまだ続く道


落ち着かせるように、そっと背に手を置いた。


エラは頭が良く、色々と計画を立ててから物事を進めるため、予想外の出来事にとても弱い。

それにエラとオスカーはコミュニケーション能力はそこまで高いとはいえず、一人で黙々と何か作業をしている方が得意なようだ。


どちらかといえばトビアスとクリスティンの方が人当たりが良く柔軟な雰囲気を持っている為に受け入れられやすい。


しかし女性同士のコミュニケーションもコツさえ覚えてしまえば何てことはない。

理解力があり勉強が好きなエラならば、直ぐに会得するだろう。


それにヘルマン公爵夫人との付き合いを、これきりにするつもりはないのだ。

エラにはヘルマン公爵夫人の雰囲気や性格に慣れてもらわねばならない。

そうでなければ、この先のエラの逆転劇が上手くいかなくなってしまう。


確かにヘルマン公爵夫人は圧力があり怖く見えるだろう。

けれど味方に引き込むことさえ出来れば、これ以上ない素晴らしい"力"になってくれる筈だ。


やはりこの世界において格式高い家に媚びておいて損はない。


そしてヘルマン公爵夫人の中にクリスティンの存在が少しでも記憶に残ったのなら、今日のところは大成功。

これ以上、嬉しい事はない。

あとはじっくりと警戒されないように距離を詰めていけばいい。



「お母様、ヘルマン公爵夫人とは仲良くされた方がいいと思いますわ」


「……っ」


「今は難しくとも、お母様と気が合うような気がするのです!」


「…そうかしら」


「そうですわ!お母様と同じでとても頭の良い方ですから」



エラは嬉しそうにしている。

ヘルマン公爵夫人に対するマイナスイメージを、少しでも払拭していかなければならない。



「それにしてもクリスティン、貴女よく平気だったわね。何の心境の変化?」


「え…?何がです?」


「去年は私と同じで、震えていたじゃない!腰が抜けそうだったって言ってたわよね!?」



確かにエラはヘルマン公爵夫人の前では怯えてばかりだった。

何故ならばその圧倒的な存在感と、また怒られてしまうのではという恐怖で萎縮してしまっていたからだ。


けれど今は、ヘルマン公爵夫人は輝きを放つ宝石のように価値のある存在だ。

ただ震えているなんて勿体ない。



「ウフフ、それよりもお母様…まだまだ舞踏会は続きますわ」



エラがハッとした後、先程までの憂鬱な時間を思い出したのか項垂れてしまった。

「もう帰りたいわ…」というエラに首を振る。


いつものアインホルン家ならば、手早く重要人物に突撃して挨拶すると、会場に並べられている料理を某有名掃除機のように口の中へ吸い込んで、逃げるように自分の領に帰っていたのだ。

舞踏会のダンスも体格や足が痛いと言い訳して、適当に断りながらやり過ごしていた。


しかし身を守ってばかりで何もしておらず、結果的に悲しい現状が染み付いてしまった。

変わりたいけど、このままでもいいという矛盾した気持ちを抱えながら生きていたのだ。


今回の舞踏会で、エラやトビアスの負担はかなり大きい事だろう。

明日は傷ついた心と疲れた体を癒すご褒美デイを作り、何とかやる気を継続させていきたい。


褒美を目の前にぶら下げた状態で頑張ると、褒美を得た瞬間にやる気が無くなり長続きしなくなってしまう。

大きな目標の合間に細かな目標を立てて、それをクリアできることによって少しずつ自信に繋がっていくのだ。


(この舞踏会で少しでも前に進むのよ……!)


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