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妻のいる天国かと思ったら異世界でした  作者: 鈴月桜
第21.5章 マワ・ケス家の真実(20年前の真実)
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思わぬ事態

10年後


この10年間、町の集まりや商人の会合等で、事あることに、下の子を作りたいと発言し続けたせいか、最初は町民達も回答に困っていたが、徐々にデケスとフケスの子供が欲しい熱意に同調してくれる様になっていた。

そしてとうとう、フケスのお腹の中には一つの命が宿った。


子供が生まれて1週間が経ち、名前も「ナケス」と命名した。

それから更に1週間が経ち、タタンが二人の元に祝の品を持って訪れて来た。


10年前と同じ居間で、同じ様に3人で話し合いを行なう。


「まずは、おめでとう。五体満足に生まれてきて良かったわ。10年待ったかいが会ったわね」


「はい。女の子でした。無事に生まれて良かったです。」


「私もこれからイトナ様の所に行って、モケスちゃん(モイナ)の成長を止めてくるわね。それで、モケスちゃんとはたまには会ってるの?」


「はい。イトナ様とカイナ様が街に買い物に来てくれるので、その時に何度か会わせてもらっています。」


「長男のメケスちゃんも知ってるの?」


「いや、まだ話しておりません。もう少し大人になったら教えるつもりです。」


「そうね、さすがに子供には、この話は重いわね。町の人は大丈夫?」


「この10年間、子供を産むと宣言し続けていましたから、誰も反対する者はいません。」


「それは良かったわ。これで約束の日までは後10年。きっと大丈夫よ。」


「はい。その時はまたお願いします。」


タタンは笑顔で

「分かりました。」と答えた。


そして、タタンは家を後にして、光国へと向かった。


「フケス、後10年間、頑張ろうね」


「そうね、それで本当の家族が揃うわね。それまでアナタは元気でいて下さいね」


「それで考えたのだが」


「なに?」


「ナケスが落ち着いたら、しばらく旅に出ないか?」


「旅?」


「寸前に旅に出て、町民に迷惑を掛けるより、しばらくの間、僕達がいなくても大丈夫だと、町民に分かってもらえればいいと思うのだが・・・」


「それもいいかも知れませんね。でもたまに帰って来ないと皆が私達を忘れてしまいますよ」


「そうだね。でもその方が町民の為になるよ。商売に血族の力は必要ないからね」


「確かにそうですね」



そして9年の歳月が過ぎた。


ナケスが生まれてしばらくして、私達は旅をして、たまに町には帰ってきたが、ほぼ7年間、旅に出ていた。その間にすっかり町民は逞しくなり、血族が居なくてもやっていける自信が町民に根付いていた。

それでも2年前に町に帰ってきた私達を町民は喜んでくれて、以前の様に楽しい生活が始まっていたのだが・・・


そこにとんでもない訃報がデケスの耳に入ってくる。


「えっ!タタン様が死んだ!」


デケスは、その事を告げようとフケスの元に急いで帰り、話し合いを行なう。


「フケス!タタン様が死んだ」


料理を作るフケスの手が止まり

「本当?本当なの?」


沈黙が続く


「これからどうすれば、とにかく計画通り旅に出よう。この領地はチワ・リカ家に任せようと思う。ザリカなら分かってくれると思う」


「そうね。娘達には何て言うの?」


18歳で真実を話そうと思っていたが、メケスにはまだ真実を伝えていなかった。

三女のナケスには、まだ早いので、メケスを居間に呼び、真実を伝える事とした。


メケスが居間にやってきた。


ここで、19年前に起った事件について全てを話した。


「19年前に僕は双子で生まれて、一緒に生まれた女の子を両親が森で殺したと、風の噂で知っていました。」


メケスの目から涙がこぼれ

「良かった。では生きているのですね。血族の掟も知っていましたが、私の親が子供を殺すなんて事は信じられませんでした。

でも本当に良かった。僕が想っている親だった事が何より嬉しいです。」


二人の元に走り、抱きついた。


デケスとフケスが、メケスを大事に大事に抱き寄せる。


ドン!

居間のドアをナケスが勢いよく開けると

「あっ!お兄ちゃんだけズルい!」


ナケスも家族の輪に加わった。

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