アイナは悪者?
町の中央に向かって歩いて行くと、城とまではいかないが大きな家が建っているのが目に入った。
クリカが先に門番の所に行って話し掛けると、家の敷地に皆を呼び入れた。
門から家まで100m以上あるだろうか?
芝生に盆栽、プールに色とりどりの花を咲かせた花壇が、僕達が進む家までの細い道にギッシリと立ち並んでいた。
カシムも、この風景に
「綺麗ね」と呟いた。
そして家の玄関に到着する。
自動で扉が開くと祖母のサタリが駆け寄ってきた。
「クリカ、よく来たわね」
とクリカを抱き寄せる。
少し照れ臭そうに「おばあ様、お久しぶりです」
と笑顔で答えた。
いつもの元気一杯のクリカの態度では無く、女性らしい振る舞いで祖母に接する。
その姿を見て、コサイが含み笑いを浮かべた。
クリカがコサイを睨む
コサイは慌てて真顔になった。
そこへ祖父のコタリも玄関に挨拶に出て来た。コタリはアミンを見て
「あなたは、闇国のアミン様ですか?」
「そうじゃ。世話になるのう」
「いえいえ、それよりお父様は大丈夫なのですか?それに光国の兵士がアミン様を狙っていると聞いていますが、こんな所に居て大丈夫ですか?」
「うむ。確かに光国の兵士が儂を狙っている様じゃが、これだけ血族が集まっている所に、ノコノコ現れたりしないじゃろ」
「まあ、そうですね」
と微笑む。
そして今度は皆に向かって
「さあ、皆さんもお入り下さい。まずは部屋に行って、食事が出来るまで体を休めてお待ち下さい。」
屋敷に入ると男性と女性に分かれて、それぞれの部屋に屋敷のメイドが、部屋まで案内してくれた。
「後ほど、食事の用意が出来ましたら、お呼びするので部屋でお待ちください。」
とメイドが僕達に話すと僕達は部屋に入った。
いつもは僕とコサイなのだが、今日はアミンも加わり3人が部屋に入る。
美しい装飾品や絵画が部屋にも立ち並んでいたが、僕の心はここにあらず、モイナの事だけを思い続けていた。そして、考える度にモイナの事が心配で気が静まらない。
「モイナ・・・」
僕はポツリと呟いた。
するとコサイが僕の所に来て
「マコト大丈夫?僕達もモイナの救出に協力するから」
力を失ったコサイだが、僕を勇気づけようと心配して声を掛けてくれるのであった。
そんな心の優しいコサイに、心配を掛ける様な事を言ってしまった自分が情けない
「ありがとう。ごめんね、心配掛けさせちゃったね」
「僕達は仲間なのだから、一緒に心配させてね」
「うん。本当にありがとう。でもコサイこそ、体は大丈夫なの?」
「うん。平気よ」
と笑顔で答えた。
コサイにはそう言ったが、少し間が空くと、さっきのモイナの表情が気になる。
モイナは大丈夫なのだろうか?
いつも笑顔を絶やさないモイナが、まるで別人の様に暗い表情を浮かべていた。まるで心を持たない操り人形の様に
ついつい物思いにふけてしまう。
するとコサイが
「ほら、また考え込んでるわよ」
「あっ!ごめん」
「そんなに考えても何も解決出来ないのじゃ。今度あの娘が来たら儂が呪いを解いてやるから安心せい」
「本当にあれは呪いなのでしょうか?あの紋章を付けていると、アイナの魔法が一切通じないのですよ。それに一緒に住んでいた時も、アイナとカイナの心の声にも、そんな事を考えている様子は無かった。」
「そう思いたい気持ちは分かるが、現に私の父を殺しにきたのじゃぞ。私の父と同じくらいの能力を持つイトナが、誰かに操られている筈は無いのじゃ」
確かに
それでも納得は出来なかった。




