妙子の顔が・・
スワ町の入口に着くと、真っ先にアミンが僕達を誘導する。
「ここには美味しい魚が売っているのじゃ。ついて来るのじゃ!」
フワフワと僕達を海辺の方に誘導する。
しばらく歩くと、潮の香りが漂い、一面に海が広がる。
まさしく地球と同じ海の光景だ。
陽が落ち始めているせいか、人はまばらだが、楽しそうに浜辺で遊ぶ家族の姿も見えた。
あれ、この匂いは?
醤油の匂いが鼻を刺激する。
この世界にも醤油があるんだ。
露店で売られていた物は、イカの姿焼きが売っている。
「お~懐かしい」
つい言葉を発した。
「お前はこれを知っているのか?」
「はい、以前に食べた事があるんです。」
「これが、わしが皆に食べさせたい物なのじゃ」
アミンが露店の店主に
「人数分くれ!」
?
注文しているが、お金を出さない。
アミンは僕を見ながら
「お金は出しておけ、これでさっきのはチャラじゃ」
まあ、呪いを解いてくれた謝礼がイカ焼きなら安いもんだ。
「わかりました」
僕は店主にお金を出した
「あれ?一つ分足りないですよ」
?
「あの子の分も払ってくれるのだろ?」
と店主が海岸の方を指差す。
すると、10歳ぐらいの女の子が白い布地で青の水玉模様の水着を着て、片手にイカ焼きを持って、海岸に走り去っていく後ろ姿があった。
あんな小さい子だから、まあいいか
「分かりました。」
僕はその女の子の分のイカ焼きの代金も支払った。
僕達は露店の前に置いてあったテーブルに座り、潮の匂いに包まれながらイカ焼きを頬張った。
「さっきの女の子は不思議な感じがしたのじゃ」
イカ焼きを食べ終えたアミンが僕に話し掛ける。
「どんな感じですか?」
「いや、何となくじゃ。変なマスクを付けていたぞ」
「変なマスク?」
後ろ姿しか見ていないので、マスクも顔も僕達は確認していない。
他のみんなも女の子の顔は誰も見ておらず、分からなかった。
誰も見ていなかったのか?
まあいいか
僕はイカ焼きを食べ終えて、みんなが食べ終わるまで海を眺める。
地球で妙子と夕方の浜辺で、初めて口づけをしたシーンを思い出す。
「海って綺麗ね。いつまでも観てられるわ」
僕の腕に寄りかかり、頭も僕の腕に傾けた。
ドキドキ!
胸の鼓動が早まっていく。
手が震える。
僕は震える手で妙子の両肩を掴み、お互い見つめ合う。
あれ?
妙子の顔が黒くなっている。
昨日まではタタンの顔が妙子の顔だったのに、今日は妙子の顔が黒く霞んでいる。
とうとう妻の顔までも思い出せなくなったのか!
「マコト、何やってるのよ!みんな食べ終えたわよ」
イカ焼きを食べ終えた僕達を今度はクリカが祖母の所に誘導する。




