ベアコン
山に辿り着くと道が急坂に変わり、車は坂を登り始めた。
「うわあ!」
40度ぐらいあるだろうか、前の席で前方を背に向けて座る僕とコサイは、前に倒れない様に必死に耐える。
そして車が何かにぶつかる。
ドンッ!
思わず、僕とコサイは前に倒れてしまい、クリカとカシム、リオキの席の方に倒れ込んでしまった。
「何、倒れているのよ!」
外から大きな声が聞こえる。
「車の中の人間、出てこい!」
モイナの事で忘れていたが、コロンが言っていた「ベアコン」では?
僕が外に出ると、体長が4,5mある熊の姿があった。
僕は車の中にいる皆に
「僕が退治するから、車の中で待ってて」
僕はベアコンの前に立つ。
「お前だけか?中の人間も出てこい!」
僕は防御魔法を使うと、全身が青白く輝いた
「ほう、お前は血族か?やけに魔力が強い人間だな」
「僕は血族では無い。僕達を通してくれ、そうすれば僕は君を傷つけなくて済む」
「何を人間風情がほざいてる!」
モイナの事もあり、僕の感情も抑えられなくなっているのが分かる。
ベアコンが僕に襲い掛かってきた。
ベアコンが右手で僕を掴もうと手を伸ばしてきた。
僕は横に避けようとしたが、身体が動かない。
何で?
ベアコンの大きな手が僕の頭を掴む。
防御魔法を発動しているので、痛みは無いが体が動かない。
ベアコンは僕の頭を握り潰そうと力を入れるが潰れない事に苛立ちを見せる。
ベアコンは僕を地面に叩きつける。それでも僕は無傷のままだったが、
「お前は後で食ってやる」
そして車に向かって走って行く
「みんな、逃げて!」
と大声で伝える。
慌てて4人が車から出て来た。
コサイ、カシム、リオキが外に出た。
そして最後にクリカが車から脱出すると、ベアコンがクリカの胴を掴まえて、そのまま持ち上げる。
「まずは、お前から食ってやる」
クリカの首筋に向かって大きな口を開けて、噛みつこうとした瞬間
コサイがクリカを掴んでいる右手に飛びついた。
ベアコンの動きが一瞬止まると、クリカは土を円柱状にしてベアコンの右手に攻撃を加えた。
ベアコンの右手が出血すると、手の力が緩んだ隙にクリカが逃げ出した。
逃がすまいと、ベアコンはクリカを掴もうと左手を伸ばす。
「クリカ!」
クリカが掴まれない様に、コサイがクリカとベアコンの間に飛び込んだ。
ベアコンが一旦左手を戻して、拳をつくりコサイを殴る。
「邪魔だ!」
ベアコンの拳がコサイの頭に当たり、10mぐらい殴り飛ばされた。
殴り飛ばされたコサイはピクリとも動かない。
「何だ、死んだのか」
ベアコンがコサイに近づいて行く。
コサイを助けなくては!
しかし、体を動かそうとするが動かない
「やめろ!」
何で体が動かない!
クリカがベアコンが近づけない様に、分厚い土の壁を作った。
「何だこれは!」
ベアコンが立ち止まると、高い土壁がベアコンの方に倒れてくる。
「うわあ」
倒れてくる土壁を手で押さえようとしたが壁は途中で止まる。
「何だ驚かせやがって!」
その瞬間、四方から土が盛り上がってきて、ベアコンを四方から土壁で囲った。
「何しやがる!」
分厚い土の壁をこれでもかと殴り、少しづつ削っていく。
クリカは意識が無いコサイの所に行き、必死にコサイを呼び掛ける。
「コサイ!起きて!」
ベアコンは、土壁を必死に削り始める。
そこへリオキが
「任せて」
リオキが意識を集中する。
するとベアコンが苦し始める。
「い。息が・・」
カシムがリオキの頭を撫でて
「四方が塞がっているから、その場所の空気を無くしたのね。」
壁が壊されてしまっては、効力が無くなってしまう。
それに魔力の耐性が少しあるベアコンに、いつまでもこの術が効くのかも分からない。
今度はカシムが意識を集中させる。
すると、ベアコンは白目をむいて意識が無くなった。
「魔力に耐性があるから、まだ死んでいないわ。気を失っただけだわ」
次の瞬間、土壁が気を失っているベアコンを避ける様に崩れ落ちた。
何で?
僕は上から魔力を感じて、上を見上げると
「えっモイナ?」
モイナが宙に浮いて、僕達を見下ろしている。
今まで見た事も無い冷血な表情のモイナの表情が目に入ってきた。
僕を動けなくしていたのはモイナだと言うのか!




