道の選択
えっ?
もしかして、その人が町人の心の声を聞いたとしか考えられない。
カシムが町人に質問する
「その人の特徴は?」
「それが、身体と顔を布で覆っていて、はっきりと分からないのです。」
それで背丈だけは分かったのか。
でも誰だろう?
いくら考えても分からない。
僕達は部屋に戻った。
女子達も着替えて、僕達の部屋に入ってくる。
「取り敢えず昨日テレポートした場所に戻るよ」
皆が僕に捕まり、昨日テレポートした草原に移動した。
そしていつもの様にクリカが車を出して、皆が車に乗り込む。
モイナが居ない事がこんなにも寂しい事なのか
車の中は、いつもより言葉も少なく、ただただスワ町を目指していった。
夜はムワ町に泊まる生活が1週間続く。モイナもルタンもまだ合流していない。
段々と皆の笑顔も消えて行く。
モイナと言うキーワードを話すのが、まるでタブーの様な日々が続いた。
当初はスワ町まで1週間で着くだろうと考えていたが、あまりにも道が悪く、後3日ぐらい掛かるらしい。
そして今日もスワ町を目指して車を走らせる。
険しい山をいくつも越えてきたが、前方の大きな山をカシムが指差し
「あの山を越えればスワ町までもうすぐですよ。」
前方の山は、麓が雪で白くなっている。
「あの山は相当高い山ですね?」
「山の中腹を通る道を行けば、後2日で着けるけど、あの山を避ける道で行くと3日掛かります。でもこの時期は中腹でも雪が積もっているかも知れないので、予定通り山を避けて行きましょう」
「そうですね。あれだけ高い山だと危険も多いでしょうから」
クリカは不満そうな表情をしている。
「もしモイナが着いていたら、一人で可哀相だから中腹を通る道で行きましょう」
コサイがクリカをなだめる
「気持ちは分かるけど、遭難してしまったら元も子も無いよ」
「遭難しそうになったら、テレポートすればいいんでしょ!一日も早く着きたいのよ!」
モイナの話をするクリカの表情は、真剣そのものである。
「そうですね。中腹の道を通りましょう」
とカシムがクリカの気持ちに賛同する。
車は山に向かって走り出した。




