怪しい男
どういう事?
「そうだ、コサイは後から部屋に戻ってきたけど、女性部屋で何か異変を感じなかった?」
「う~ん。モイナの声を聞いたような・・・」
するとクリカがコサイに詰め寄りながら
「どんな声だったのよ!」
「い、いや・・分からないわ。でも、誰かに襲われているのなら私でも異変に気付くと思うわ。特に覚えていないって事は、いつものモイナの明るい声だったと思うわ」
「モイナ以外の声は聞こえなかった?」
「う~ん。多分、クリカの声も聞こえた様な気がしたけど・・・」
「何を言ってるのよ!私は部屋の記憶が無いのよ!私がモイナと話している筈がないでしょ!」
「う~ん。でも、クリカの声も聞こえた様な気がしたんだけど・・・」
どういう事だろう?
「お腹減った」
リオキが呟く。
「もしかしたら、食事を食べていればモイナが帰って来るかも知れない。取り敢えず食事にしよう」
「そうね、ここで考えていてもどうしようも無いわ。食事に行きましょう」
とクリカが部屋を出て行った。
僕達もクリカの後を追う
でも、どうしてモイナは姿を消したのだろう?
僕に黙って・・・
階段を降りながら考えるが、思い当たる事が何一つ思い浮かばない。
考えながら食事を口にするが、食事が喉に通らないとはまさしくこの事だろう、この時食べた朝食の味も、何を食べたのかさえ感じぬまま沈黙した食事は終わった。
それでもモイナは帰って来ない。
本当にどうしたのだろう?不安が心を押し潰す。
僕はモイナにテレパシーを送る。
(モイナ、何処にいるんだ。)
・・・・・返事が無い
更に強く思いを込めてモイナを呼んだ
(モイナ、お願いだ。返事をしてくれ!)
(マ・・・だ・・・・)
モイナの声だ!
(モイナ!どうした!)
(さ・・・行って・・・・)
!
(先に行ってと言ったのか?)
(うん)
(それで、モイナはどこにいるんだ!)
(お・・・・・・)
(お?その先が聞こえないよ。もう一度言って!)
・・・・・・・
その後も何度か呼んでみたが、モイナの声は返って来なかった。
クリカが僕に「モイナと話したの?モイナは何て言ってたのよ?」
「はっきりと聞こえなかったけど、先に行ってと言っていた」
「それでどこに居るのよ!」
「それが分からない。最初の「お」しか聞こえなかった」
「お?何それ!それじゃあ分からないわよ!」
「その後も呼び掛けたけど、返事が無いんだよ」
カシムが「でも生きているのですね。良かった」
するとコサイが「モイナちゃんが先に行ってと言っているって事は、きっとモイナちゃんも来るって事よ。私達はスワ町を急ぎましょう」
「そうね、モイナが先にスワ町に着いて寂しくならない様に私達も急ぐわよ!」
いつもなら、モイナがクリカの言葉に賛同するのだが、今日はモイナの明るい声が聞こえない。
町人の一人が近づいてくる
「あの~昨日は大丈夫でしたか?」
「どういう事ですか?」
「いえ、皆さんが部屋に戻った後、大きな男性があなた達を探していたんです。何か怪しかったので黙っていたのですが、「ありがとう」と言って2階に上がって行ったのです。」




