闘いを終えて
「痛っ!・・・・・・くない」
あれ?全然痛くない。
嘴で突かれた場所すら移動していない。
僕の防御が固すぎて、嘴で僕を突いてきたものの壁にぶつかったかの様に気を失ってしまった。
黒いコンドリアは白目になり、口から泡を出しながら地面に落ちて行った。
僕も地面に着地した。
その様子を見ていたモイナが僕に近づいてくる。
「マコト!」
全身唾液まみれのモイナが近づいてくるが、生臭い匂いが漂ってくる。
「モイナ、止まって!」
モイナは聞く耳を持たず、僕に抱き付いてきた。
ベチャ!
モイナに付いていた唾液が僕にもベッタリと付いてしまった。
あれ?
力が抜けていく。
モイナを受け止めたのはいいが、まるで、生気を奪われた様に脱力感が襲い、その場にモイナと倒れ込んだ。
よくこれを浴びて、モイナはここまで走って来たな
とはいえ、モイナも最後の力を振り絞って来たのだろう、まるで眠っているかのように動かない。
二人はその場で眼を瞑る。
目を瞑る間際に「モイナ~」と大きな声でモイナを呼ぶクリカの声が聞こえたのを最後に、気を失った。
何となく誰かに運ばれた様な感覚はあるのだが、はっきり覚えていない。
どれくらい気を失っていたのだろう?
僕は意識を取り戻して眼を開けると、朝日が目に差し込んできた。
「うっ!眩しい!」
僕は窓から差し込んでくる陽を手で防ぐ。
「ここは?」
どうやらベッドに僕は運ばれて、そのまま寝てしまったらしい。
そういえば、キワ町でラコスタンを倒して、そのまま休む事なくコンドリアと戦ったので、疲れ果てて眠ってしまったのだ。
僕は部屋を見廻す
それにしても、床は赤いじゅうたんが敷き詰められていて、大きな部屋に大きなベッドが大きな窓際に置かれている。
僕はその大きなベッドで目が覚めたのであった。
まるでお姫様の部屋の様な豪勢な部屋だな
部屋の外から足音が聞こえる。
ドンッ!
ドアを勢いよく開けて、モイナが部屋に入ってきた。
「マコト!起きたの?」
とモイナが横になっている僕の所に飛び込んできた。
「マコト、助けてくれてありがとうね」
「モイナも無事で良かった」
とモイナの頭を撫でる。
すると皆も集まってきた。
カシムが申し訳無さそうに、僕に謝罪する。
「マコトさん、危ない思いをさせてしまってごめんなさい。」
「いやいや全然大丈夫です。それより、ムワ町の人達は大丈夫でしたか?」
「何人かは犠牲になってしまいましたが、大勢の命を守る事が出来ました。」
「そうですか。良かったです。」
と微笑む。
その後、カシムから僕達が倒した後の事を聞いた。
ルタンが2匹のコンドリアにラコスタンと同じ様に人を襲えなくじてから、僕をここまで運んでもらったらしい。
そのコンドリアにはモイナとクリカも一緒に乗って、楽しそうに町まで来た事まで聞いた。
そうか、モイナはその時には復活してたんだ。
ぐう~
お腹の音が鳴った。
するとクリカが
「お腹減ったの?下の食堂で朝食を食べてきなよ」
もうお腹が空いてしょうがない僕は
「僕のもあるの?」
「だから、行けば分かるわよ!」
いつも通りのクリカの言葉に
「うん。じゃあ食べに行ってくるね」
でも食堂ってどこだろう?
カシムが僕に
「さあ食堂に案内するわね」
と先にカシムが歩き始めたので、僕はカシムの後をついて行った。
「カシムさん、ここは?」
「私の家よ。以前はムワ国として使っていた城をそのまま家として使っているのよ」
やはり血族の人達は、暮らし自体が一般住民と違うのだと感じる。
ただ、どの血族達も奢ることなく、一般住民と寄り添い生活しているので、皆が血族を頼りにしている事は一目瞭然である。
心で頼れる存在なら、この制度も悪くないのかも
そして大きな螺旋階段を降りて1階に行く。
僕のイメージしていた城の1階とは明らかに違う景色が広がる。




