ラカロの本心
「やはり、ラカロ国王もガタン国王を疑っているのですね?」
とカシムが質問する。
ノハルはチラッとルタンを見て
「ルタンごめんね。何度違うと言っても、ラカロは疑いを止めないのよ」
「いえ、大丈夫です。他の血族の方々も私の父を疑う人が多い事は存じております。」
ラカロと言えば、クリカを追いかけている国王のイメージが強い。
あまりいい印象は感じられない。
ノハルがクリカを見て語り掛ける
「あれ?あなたはチワ家のクリカさん?」
クリカが慌てて挨拶をする。
「あっはい!」
「息子が迷惑を掛けてごめんなさいね。あなたを追い掛けているとラカロの妻のヒカロさんから連絡があったのよ。」
「私の父はラカロ国王は悪い人では無いと言っていたのですが、何故かどうしても子供が欲しがっていると言っていたんです」
「ごめんなさいね。5年前の事件から息子は、ガタン国王と戦うつもりでいるのよ。その前に子供を産んで、妻のヒカロを守って欲しいのよ」
一見いい話だが、クリカの気持ちを完全に無視している。
さすがにこれはクリカが怒るだろう
いつものクリカなら癇癪を起すのだが、妙に冷静な口調で話し始める。
「それだけ、奥様の事を愛しているのですね。たしかラカロ国王は婿入りしたと聞いていましたが、その影響もあるのですか?」
「そうよ。サワ・カロ国のサワ家に婿入りして、名前もラハルからラカロに変えて、元国王からラカロに空魔法を伝承してくれたのよ。それだけラカロも元国王に親しまれてサワ・カロ国も安泰だと思っていたのだけど、ヒカロが子供が産めない事が判明して、サワ家が途絶えてしまいそうになった。」
確かにそれは辛いだろう
「これだけ恩を受けたラカロは、どうしてもサワ家を途絶えさせたくない。
更に私の主人の仇を討ちに行って、自分の身に何かあったら、本当にサワ・カロ国を破滅させてしまう。
せめて、ヒカロを最後まで守り、サワ・カロ国の継承者が出来てからトワ国に戦争を仕掛け様としているのよ。クリカさんには本当に迷惑を掛けてしまってごめんなさいね」
「あの~すいません。」
「あら?あなたは?」
「初めまして、マコトと申します。」
クリカが捕捉する。
「マコトは、異世界人なのです。」
ノハルが驚いていたが、僕は話を続けた。
「ここでは養子っていう制度は、無いのですか?」
「養子?」
「はい。自分の子供を他の家族の子供を貰い受ける制度です。」
「そういう事なら、良くあるけど血族という限られた家間では今までは無かったわ」
するとクリカが突っ込む
「他の家族が子供を手放す訳がないじゃ無い」
「そうだけど、国を継続するのを考えたらそうするしか無いと思うんだよ。ここに来て思ったのだけど、家の名前が国の名前になっている事が、この問題の原因だと思うんだけど」
人の領域である2国が「サワ・カロ国」「トワ・タン国」と血族の名前がそのまま国名で使われて、権力もその血族が中心であるカミンの体制に疑問を持っていた。
これは独裁政治であり、一般の人達に王になる権利が無い。
まるで、戦国時代の様な体制に疑問を持っていた。
しかしクリカが反発する
「だからと言って、他の血族で子供を渡すとは考えられないわ!」
「いやだから、別に血族では無くてもいいのではないかな?」
ここに居るのは全員血族なので、この話は無謀か
するとリオキが意外な事を語り始める
「そうだよね。別に血族が偉くなくたっていいんだよね。」
そしてカシムが続く
「そうですね。国の頭が血族では無くてもいいのかも知れないわ。私達の様な能力が無くても国を豊にする事ができる存在が出るかもしれないわね」
意外と高反応である。しかし、一番この事を望んでいると思っていたルタンは
「でも、今回の様に光国や闇国が襲ってくる事態が起ったら、結局は血族が指揮を取らないとマズイですよ。血族の力の継続は必要だと思います。」
「戦争を無くすしか無いと思う。多分、タタンもそれを見据えて協定を結んだのでは無いでしょうか?今はエリアが限定されていますが、どの種族も一緒に過ごせる世界を作れればいいと思うのですが?」
ノハルが
「そうね。それは理想だけど現実では難しいわ。現に光国の住民は肉食で、人すら襲うわ」
確かに一筋縄では行かない。
民主主義と言う考え方は、まだまだ血族も一般の人間も考えられないのだろう。
でもいつまでも力が制する世界というのはどうだろうか?
僕に何かできる事はないのだろうか?
あれ?
外が騒がしい




