招かざる客
しばらく歩き、カシムが前方に見える城を指差し、真顔で皆に向かって話し出す
「あそこのお城に、ウワ・オキ家(空気)当主のマオキ様がいるので行きましょう」
皆の緩んだ表情が引き締まった。
城には特に護衛もおらず、門は開いており自由に通れる。
僕達は門を通ると、城が目の前に現れる。
正面には100段以上あるだろう、長い長い階段が目に入った。
「あそこの階段を登り終えると庭があり、その庭を突き進むと住居用のドアがあります。そこにマオキ様がいらっしゃいます。」
と真顔でカシムが説明する。
コサイが長い階段を見てルタンに話し掛ける
「ルタン大丈夫?あそこまでテレポート出来るの?」
確かルタンはテレポーテーションを使える筈なので、問題無いと思ったが
「実は私、この城に入るのは初めてなのです。以前のお城は行った事があるのですが」
カシムが心配そうに
「以前の城は、奥様が亡くなりになられてから、閉鎖しているのです。」
するとクリカがニヤリと微笑む。
嫌な予感しかしない。
「マコトが一人で上まで登って、ここにテレポートして、皆を連れて行けばいいのよ」
「クリカはテレポートされるのが嫌なのでは?」
「もう慣れたから大丈夫よ」
一回経験したクリカは、どうやらテレポートする事を克服したようだ。
と言うよりか、今までの地面に着いていないのがテレポートを嫌がる理由では無く、単純にただ怖かっただけだったのだと分かった。
カラオケ等で1回歌うまでは嫌がるが、2回目からは普通に嫌がらず歌うようなものだろう。
僕は目の前の階段を見る。
「はあ~、それにしても凄い階段だ」
モイナが僕の服を引っ張る
「ねえ、森に居た時の様に、モイナを抱っこして上に行こうよ。」
そうか、その手があったか!
僕は全身を防御するイメージをする。
すると青白いいオーラが全身を包み込む。
足の裏までオーラが包み込み、外部からの打撃を防ぐので、足の裏のオーラ部分が地面との接触を防ごうとする。そのため、最初は立つのも難しい。
ようやく慣れてくると
「マコト、大丈夫?」
「いいよ」
とモイナをお姫様抱っこする。
そして、階段を飛び跳ねる様に登って行く。
1回跳ねると10段以上登り、また次の1跳ねで10段以上登る。
結局、10回跳んで階段を登り終えた。
モイナを降ろし、階段の頂上から下に居る皆に
「今からそっちに行くね」
ここでテレポートする。
下に着くと、コサイが
「ねえマコト。私もモイナの様に抱っこしてもらいたいのだけど、ダメかしら?」
「まあ別にいいよ」
「本当!ありがとう」
「じゃあ、先に皆とテレポートで上に行くから、コサイ以外はここに集まって手を繋ごう」
と皆を呼んだが、誰も集まってこない。
?
「ねえ、早くしようよ」
誰も来ない
「えっと、早く・・・・」
するとクリカが怒りながら
「私もお姫様抱っこしなさいよ」
「えっ?」
カシムも恥ずかしそうに
「私も一度やってもらいたい。」
続いてルタンまでも
「私も一度経験したいわ」
「えっマジか!」
「何?マコトは嫌なの?男のコサイは良くて、女性はダメなの?アンタは男が趣味なの?」
「えっ!」
僕は仕方なく頷き、一人一人上までお姫様抱っこして、全員を上まで抱っこしたのであった。
「あ~疲れた。」
さすがに5往復はキツかった。
クリカは容赦なく
「早く行くわよ」
6人は庭を通りすぎ、マオキの家のドアの横にある呼び鈴を鳴らした。
ドアの向こうから女性の声がする
「トワ・タン家の人には会いたくないわ。ルタン。あなたはこの城から出て行って!」
予想外の言葉に声を失った。




