ウワ・オキ町
皆の元に近づくと、お約束のごとくモイナが飛びついてくる。
「マコト、遅いよ!」
「ごめんごめん!」
いつもの僕達の会話に戻った。
町の入口は、町全体を高さ10mぐらいの石壁が囲んでいる。
「まるで城下町の入口みたいだね。」
一つ感想を言うと、必ずクリカが知っている事だと、得意げに話し掛けてくる。
「そうよ、ここは5年前まで、ムワ家、ウワ家そしてキワ家が共同して、国を建てていたのよ」
「へえ、どうして無くなったの?」
「キワ家の当主が亡くなって、続くようにウワ家当主の妻が亡くなったの、更に・・・」
クリカの口が止まる
するとカシムが
「私の両親も亡くなったのよ。各家の不幸が続けて起り、それぞれの指揮も下がり、国の存続が出来なくなって、3国ともトワ国の傘下に入ったのよ」
「そうなのですか。それにしてもカシムさんの両親は二人とも病気だったんですか?」
「至って健康だったのだけど、ベッドの上で二人同時に亡くなっていたのよ」
「二人同時ですか?」
「そうなの、特に殺された様子も無かったわ。勿論、毒も検出されなかったわ。疑問は残るけど、病死しか考えられない。」
そんな事ってあるのか?
「続けて不幸があったと言っていましたけど、どのくらいの期間で起った事なのですか?」
「3日よ」
えっ!それって絶対におかしい。
するとルタンが
「私もまだ15歳だったけれど、よく遊んでくれたウワ家のシオキさんが亡くなって、泣いて一夜を過ごしたのが昨日の様です。もう5年も経ったのですね」
カシムも想いにふけ
「そうですね。もう5年なんですね」
そんな話をしながら、石壁を通り町に入って行った。
町に入ると、赤い髪のルタンの所に、住民が挨拶に近づいてくる。
彼女は、一人一人に丁寧に挨拶を交わした。
「ルタンって、偉いな」
とぼやく。
「何でアンタがルタンって呼び捨てで言ってるのよ!」
とクリカが反応する。
一緒に歩いていた時の事を話すとクリカが
「ねえルタン、早くしなさい。置いて行くわよ」
コサイは慌ててクリカに注意する。
「クリカ、いくら何でもいきなり呼び捨てはマズイわよ」
ルタンが近づいてきて
「コサイさん、いいのよ。皆もできたら私の事をルタンと呼んで下さい。」
コサイが
「本当にいいのですか?」
ルタンは笑顔で
「勿論です。」
「分かりました。ではルタンと呼ばせてもらうわね」
クリカがコサイの頭を小突く
「アンタは男なんだから、呼び方の前に話し方を直しなさい!」
その夫婦漫才の様なクリカとコサイを見て、
「ぷっ!」
ルタンが笑いを堪えていたが、我慢できず噴き出した。
それを見て全員で笑う。
タタン(妙子)の事で複雑な空気だったが、少しずついつもの僕達に戻っていく。




