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妻のいる天国かと思ったら異世界でした  作者: 鈴月桜
第13章 異世界人タタンの真実
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ルタンの魅力

僕達もクリカとカシムの後を追い、1階の食堂に行く。

朝食もバイキング式になっているので、おかずが立ち並ぶテーブルに歩き出すと、目の前にガタンとルタンが突如現れた。


「うわ!」


目の前に二人が現れたので、声が出てしまった。


「ごめんごめん。驚かせてしまったな」


ガタンとルタンの姿を見ると、また、胸のモヤモヤが襲ってきた。


「大丈夫です。」


素っ気ない僕の返事を聞いて、カシムが近づいてきた。

「ガタン様、ルタン様、おはようございます。」


するとルタンが

「おはようございます。」


昨日は妻の遺品を見たいと思ったが、もしこの世界の亭主との思い出の品ばかり見たら、平常心でいられそうも無いと思い

「あの~、やっぱり行かなくてもいいです。僕からお願いしたのに、すいません」


バシッ!


クリカが僕の頭を小突く。

「いたっ!」


「私も行くのよ、何でアンタが行かないのよ!ありえないわ」」


「もうどうでもいいんです。この事は考えたくも無いんです。ごめんなさい」


すると、クリカが珍しく真面目な顔をして、

「ダメよ。元亭主だったら、妻の第二の人生を確認しなさいよ。そして、マコトも次の人生を歩みなさい。未練がましい男は嫌だわ」


「未練がましいって・・・」


「地球では妻かも知れないけど、ここでは違うのよ。それにアンタの事を知っていて他の人を好きになった訳では無いんでしょ!」


確かに姿形は同じだが中身は違う。僕の事を知らない妙子に、僕が勝手に失望している。


分かっているのに許せない気持ちを抑えられない、自分の心の許容範囲の狭さに腹が立った。


行きたくは無いが行ってみよう。でも、それを見てどんな感情が湧いてくるのだろう?


自分でも分からない。何かの解決になるのか?

地球では妻が死んでも愛し続けた。それは最後まで僕だけの妻だったから愛し続けられた。

でも、今の状況は明らかに違う。

しかしこれ以上行くのを拒む事は出来そうもない。


しょうがない


「じゃあ僕も行くよ」


クリカが「当り前よ」と少し優しい口調で言った。


モイナがお皿にオカズを山盛りに乗せてやって来た。

「ねえ、朝ごはんを食べてから行くんでしょ?」


ガタンがモイナの質問に答える。


「お嬢ちゃんも一緒に行くのかい?そうだね。朝ごはんを食べてから行こうね」


とモイナの頭を撫でながら言った。完全に子供と間違えている様子だ。

ここに来るまでのガタンのイメージとかなり違う。

会話が苦手だと言っていたが、モイナに対する接し方を見ると、気のいいおじさんって感じだ。


ガタン国王とルタンも加わり、僕達は朝食を食べ始めたが、食事をしている間も、笑顔を絶やさない。


本当にこの人が、話も聞かず連れ去ってしまう様な人なのだろうか?


食事を食べ終えると、ガタンが庭に出て手を繋いで円を作る様に指示をした。

僕達はそれに従い、庭に出て手を繋いで円を作る。テレポートで移動するのだとすぐに分かったが、クリカはテレポートを嫌がる。

しかし手を繋いだ瞬間、有無を言わさずテレポートした。


「キャッ!」

瞬きすら許さない瞬間に全員が移動し、着いたその場所は、ウワ町を一望できる丘の上であった。


「わあ~凄い景色だね」

とモイナがはしゃぐ。


クリカは無事にテレポートした事に安堵の表情を浮かべる。

そこへコサイが

「クリカちゃんは、相変わらず地面から離れるのを嫌がるよね。」


「当たり前でしょ!私は土の力を貰って生きているんだから。もし移動出来なくて時空空間に取り残されたら生きていけないのよ」


「もうクリカちゃんは、大袈裟なんだから。私がいるから大丈夫よ」

と、コサイに言われた。

いつもなら照れ隠しで、逆切れするシチュエーションなのだが、クリカは素直に

「ありがとう」

とコサイに言ったのである。


ガタン国王が

「ではここでいいかな?下に見える道を行けば、ウワ・オキ町に着ける。そして、その道を更に進んで行けば、ムワ・シム町とキワ・ハル町に行けるぞ。後はカシム様に道案内をお願いしていいかな?」


「はい。もうこの辺りは私の庭みたいなものなので、大丈夫です。」

とカシムが答えると、ガタンは再度テレポートして城に戻って行った。


クリカの元気が戻り「さあ、あそこまで歩いて行くわよ!」


モイナもその言葉に反応して「おう!」と下に落ちていた小枝を持ち、振り回しながら、クリカの号令に従った。


普通に歩けば15分も掛からないのであろう距離だったが、あまり歩き慣れていないルタンが僕達の歩くスピードについていけない。

クリカとモイナは、速足で歩いて行ってしまったので、僕は仕方なく

「先に行った二人が心配なので、カシムさんとコサイも先に行っていいですよ。僕がルタン様について歩きますから。」


「そうね。じゃあカシムさん行きましょ」

と二人はクリカとモイナを追いかけて行った。


ルタンは申し訳なさそうに

「マコトさん、すいません」


「いえ、いいですよ。僕も足が前に進みづらかったので、丁度良かったです。」


「すいません」


「いや、ルタン様が謝る事では無いですよ。こちらこそ昨日はすいませんでした。」


ルタンがモジモジしている。


「どうしました?」


「え~と、私の事を様は入れないで、ルタンと呼んでもらってもいいですか?」


「実は僕も呼びづらかったので助かります。」

実際の年齢は60歳なので、20歳の娘に様づけは抵抗があったので、素直に承諾した。


「マコトさんって、不思議な方ですね。それにモイナさんもとっても不思議」


「モイナもですか?」


「はい、彼女には不思議な力を感じます。」


今まで会った血族達よりも、モイナは様々な力を使える。

「確かにそうですね。でも能力より彼女を守りたいと思わせる何かがある様に感じます。」


くすっと笑い

「モイナさんは慕われているのですね。」

「はい、彼女は皆に慕われていますよ」

と笑顔で返事をする。


そして、少し歩くと

「キャッ!」

強い風が彼女の赤い髪を揺らす。

彼女の何とも言えない香りが僕を包み込み、大きな赤い瞳が僕の心を揺さぶる。


ただ強い風が吹いて、驚いただけなのに、彼女の一つ一つのしぐさに見惚れてしまう。


首を2,3度横に振り(やばいやばい)と気を落ち着かせた。


「マコトさん、どうかしましたか?」


顔が熱い

「い・いや何でもありません」


「おかしなマコトさん」


更に5分程歩くと、町の入口が目視出来た。

そこに4人が僕達の到着を待っている。


「マコト早く!」

と屈託のない笑顔を浮かべたモイナが大きな声で僕を呼ぶ。


ルタンがモイナを見て

「確かに彼女が皆に慕われるのが、分かる気がします。」


僕は微笑みながら

「でしょ」


そして僕とルタンは4人の元へ急いだ、

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