恐竜?
お父さん?お母さん?
何でここに親子でいるのだろう?
一家心中かな?
そんな事をする家庭だったら、この子が言う様に会わない方がいいのかもしれない。
しょうがない、他の人を探すしかないか
「分かった。僕は岩村 誠。君は?」
「モイナ」
外人?もう一度、聞き直す
「モイナ?」
「うん、モイナ」
死ぬと言語は関係ないのかな?
声では無くて、直接言葉が入ってくるので言語の壁が無いのだと解釈した。
それにしても、死後の世界って凄いな
と勝手に自己解釈をして満足した。
「では明日、明るくなったら、ここを出て行くよ」
「だから、私の親と会ったら死んじゃうよ。この森で動くとすぐに見つかっちゃうよ。動くなら夜に寝静まった時に動かないとダメだよ」
「どういう事?」
すると辺り一帯に響き渡るような太い声で
「モイナ~モイナはどこだ~」
な、なんだ?
「あっ!もうお父さんが寝る時間だ。呼んでいるから、私は行くね。動くなら夜だからね」
モイナは去って行く。
これからどうしたらいいのだろう?
あの大きな太い声は尋常では無い。本当に人間なのか疑ってしまう。
聞いたことは無いが、まるでオオカミの遠吠えのような感じだ。
いくらボクシングをやっていたとしても、仮に銃など持たれていては太刀打ち出来ない。
どうしよう?いくら考えても結果は出ない。
溜息をつきながら
お腹も満たしたし、夜のうちに森を出るとしよう
「何処を進めばいいのか分からないが、とにかくここを出よう」
歩くというより飛び跳ねると言った方が正解である。まるで忍者が飛び回っている様だ。
少し飛んで両足で太い木を足場にやや上に向かって跳ぶと、4,50m跳べる。徐々に下に落ち始めたら違う木に両足で同じように飛び跳ねる。それをくり返して進んでいく。
本当に忍者になったようで楽しい。
モイナと別れた場所から10分ほど飛んで移動しているが、ジグザグに移動をしているので、直線距離としたら1,2kmぐらいの移動だろう。
一旦、飛ぶのを止めて、地面に降りた。
何か足がチクチクする。
上の草原では地面が柔らかく痛みなどは無かったが、木を踏み台にして、突き進むには靴が無いと木の破片が足の底にこびりついて少し痛い。
「ダメだ靴を作ろう。」
でも木を踏み台にしても大丈夫な靴だと、葉っぱ等の薄いものでは何の意味もない。
う~ん?
周りには大木が立ち並んでいているが、靴になりそうな木は見つからない。
木の靴か?
彫刻刀でもあれば、木に足が入る穴を作って靴にするのだが、木を削るものが無い。
再度考え込む
「そうか!足の底だけ保護できれば大丈夫なのか」
足の裏を覆う程の木があれば、ツルで巻き付けて固定すれば何とかなるかも知れない。
ツルはそこら中にあるので、丁度良い大きさの板を探す。勿論、板と言っても足の大きさぐらいの木なのだが、辺りを見回しても足の大きさに合う木が見つからない。小枝やかなり大きい木はたくさんあるのだが、調度よい大きさの木が見つからない。
「意外と無いんだなあ」
少し歩き回ると、地面が熱い所を踏んでしまう
「熱い!」
すぐその場から離れる。
熱い原因は木の燃えカスであり、さっき煙が見えた場所のようだった。
「誰?」
モイナのか細い声では無く、少し太い女性の声だ。
声は、モイナが話しかけてきた時の様に、直接頭に響いた。
モイナのお母さん?
姿は暗くて見えない。でも、見つかったら殺されると言われた事を思いだす。
でもお父さんは寝ると言っていたし、母親なら説明したら分かってくれるかも知れない。
楽観的に考え、返事をした。
「すいません。道に迷って困っているんです。森の抜け道を教えてくれませんか?」
また頭に言葉が響く
「なら大丈夫よ」
良かった。分かってくれたんだ。
「本当にすいません。助かります。」
僕は声のする方を見ると、10mぐらい先の大きな石の上に影が見える。
そして、月の灯りがモイナのお母さんの姿を照らした。
「なっ 何だあ~」
身長が2m以上あるだろうか、容姿はまるで恐竜の様な形をしている。
ティラノサウルスを小さくした感じだ。
しっぽを振りながら、僕に話しかけて来た。
「この森を出なくてもいいわ。これから私に食べられるんだから」
と言って、蛇の様に舌舐めずりをして、僕に向かって大きな口を開きながら跳んできた。




