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妻のいる天国かと思ったら異世界でした  作者: 鈴月桜
第10章 闇国の王子 アミン
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タタン

そして、コミニカが僕達に部屋へ案内される。

僕達以外の客は、全て店を出て行ってもらったそうで、宿屋には僕達しかいない。

部屋も一人一人、個別に割り当てられた。


僕の部屋に入る。

部屋はあまり大きくは無いが、久しぶりの個室である。

ベッドに飛び込み仰向けになって天井を見つめる。


ふう~


何だか開放感より、物足りなさを感じる。

地球に居る時は、一人暮らしに慣れていたのだが、カミンに転生してからは一人で一夜を過ごす事は無かった。


人の温もりとは不思議なものだ。あれだけ一人は慣れていたのに、今は寂しさの方が強い。


コンコン!


ドアの戸を叩く音がする。


僕は部屋のドアを開けると、ドアの前にモイナが立っていた。


「どうした?」

「マコト、一緒に寝てもいい?」


僕はしゃがみ、モイナと目線を合わせる。そして、頭を撫でながら

「いいよ。一緒に寝よう」


するとモイナは満面の笑みを浮かべて、僕に抱き着いてきた。


僕もモイナを両腕で包み込む。


あれ?


何か胸がモヤモヤする。


すると、店長の声が響き渡る。

「夕ご飯が出来ましたよ。1階に降りてきて下さい。」


僕は立ち上がり、モイナと手を繋ぐ

「モイナ、ご飯を食べに行こう!」

「うん!」

と手を繋いで、1階に降りて行った。


1階に降りると既に全員が10人掛けのテーブルを囲んでいた。


そこにコミニカともう一人男性が座っている。60歳ぐらいだろうか?髭が顔を囲む様に伸びていて、まるで昔の海賊の様だ。


その男性が話し掛ける

「初めまして、私は元チワ・リカ国の総騎士長のケロタです。以前に起こった大戦争では一平兵だったのですが、ガタンを見た事があり、その時にガタンが使った能力を伝えておこうと、ここに来ました。」


ケロタって?顔と合わない名前だな。


食事が運ばれてくる。4人は血のグラスを飲み干し、食事を食べ始める。


ケロタが話始める。

「ガタンの能力は、約1mの範囲を一定時間止める事が出来る能力があるんです。

トワ家の独自能力だと思いますが、時を止められると何も出来ません。たとえ異世界人のマコト様でも1m以内の範囲に入ってはいけません。」


するとコサイが

「私は1m以内の範囲に居たけど、時間を止められなかったわよ。ただ、私の両親は、ガタンに触れられたら動けなくなったけど」


「もしかして血族の方には触れないと、時を止める事が出来ないのかも知れません。」


時を止められたら、能力や力は関係ない。


やっかいな能力だな


「それと一つお願いがあります。」


クリカが「何?」


「ルタン様の命は奪わないで下さい。」


「ルタン?」


「はい。実は5年前に一度ガタンがザリカ様に会いに来た時がありました。その時に私の部下が街でガタンとぶつかり、激高して殺されそうになった時、ルタン様が身を挺して部下を守ってくれたのです。ルタン様は心が優しい方なので、出来れば殺さないようにしてもらいたいんです。」

「分かったわ。でもあたし達はガタンを殺しに行く訳ではないのよ。だから安心していいわよ」

「ありがとうございます。でもガタンは殺さなければ、言う事を聞く様な相手では無いですよ」

「だから、さっきから言ってるでしょ!マコトは異世界人なのよ!」


わっ!またハードルが上がった。

ただ異世界人だと言うだけで、過大評価だと思うのだが


カシムがケロタに質問する。

「服従の能力については、何か分かりませんか?」


「一生に一度だけ使えると噂では聞いているが、さすがに情報は無い。タタン様が服従させられたと言っているけど、実際は誰も見ていないので分からないのです。」


「そうですか・・・」

カシムが肩を落とす。


僕の事を心配してくれているのだと感じる。

「カシムさん、本当に大丈夫ですよ。」


モイナがカシムに話す

「モイナも居るから大丈夫だよ」

と笑顔で言った。

モイナが笑顔を見せると誰もが嫌される。


でも本当に20歳なのかな?


食事を食べ終わり、明日の旅立ちに向けて早めに床についた。

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