人質
大体の話は分かったので、僕はカシムに質問する。
「カシムさんは、何を人質に捕らえられているんですか?」
僕の言葉に驚いた表情をして「何でそれを知っている?」
「だって、さっきから聞いていると、トワ国の国王がやる事って、コサイの両親の様に卑怯なやり方が多い国王だと思ったんです。それに、戦う事を嫌っている人がいきなり戦うなんて、人質しか考えられないですよ」
僕の言った事が事実だったようだ。
「アナタの言う通りだわ。私の亭主と一人娘が捕らえられているわ。牢に入っているそうだけど、私の元兵士達が面倒を見てくれている。コサイを捕らえれば解放してくれる約束になっている。」
「何て酷い事を・・・」
するとクリカが、「サワ国のラカロにしろ、トワ国のガタンにしろ、頭がいかれているわ」
「ガタンって?」
「トワ国の国王よ。ちなみに娘はルタンよ」
「そのルタンって娘が絶世の美女なんだよね?何でコサイは嫌がる・・・・」
コサイの姿を見て、この先の言葉を止めた。
僕の落胆する表情を見てコサイが「マコト、今、私を見て笑ったでしょ!」
僕は素直に「ごめんね、コサイ」と謝罪する。
するとコサイが顔を赤らめ「マコトなら許すわ」
えっ?さっきまでと明らかに態度が違う。
クリカが「コサイは強い男が好きなのよ。きっとマコトの事を好きになったのかもね」
「コサイさん。ごめんなさい。僕は男性を愛せないんです。ノーマルなので・・・」
「大丈夫よ。いつか私の事を好きにしてみせるから」
クリカが再度コサイの頭を叩く「大事な話をしているんだから、ちょっとは黙ってなさい。」
「えっクリカが煽ったんでしょ!」とコサイが怒る。
でもどうしたらいいのかな?
「カシムさん。コサイさんの代わりに僕を連れて行くのはどうですか?」
「君を?でもガタンが欲しいのは、吸血の血族が欲しいのよ?」
「僕は異世界人だから、きっと、コサイさんの血より、僕の血の方を欲しがると思うんです。」
「えっ君は異世界人なのか?」
「はい。」
クリカが僕の手を握り、「ダメよ、とか言って、マコトはルタンと結婚したいんでしょ!」
するとモイナも僕の手を握りながら「マコト、行ってはダメ」
「大丈夫だよ。僕は女性を愛する事は無いから」
すると何故かコサイが喜ぶ「やっぱり、マコトは私を好きなのね?」
「いやいや違うよ。僕の愛する人は一人だけなんだ。この星には居ない人で、僕がいた星にいた女性なんだ」
クリカ「えっ?マコトは誰かと結婚しているのか?」
「うん。」
クリカ「その女性はどんな女性だ?」
「実はもう死んでしまっているんだけど、とっても可愛らしくて、優しい女性だったよ。」
僕の言葉を聞き、一瞬クリカの頬が緩んだ。
僕はクリカの心の声を聞いた。
「死んだのなら、私にもチャンスがあるって事ね」
勝手に心の声を聞いたので、あえてクリカに伝えなかったが、僕の頭にモイナの声が響いた。
(私もクリカと同じ考えよ)
僕はモイナを見ると、モイナが僕を見て微笑んでいた。
「でも、僕が王女と結婚したくて言って無いって事が、分かってくれたかな?」
するとカシムが「マコトはガタンの恐ろしさを知らないのよ。」
「確か、服従させる魔法の事?」
「知ってて言ってるの?でも、何で自分が捕まろうなんて思ったの?」
「だって、カシムとコサイの家族を助けたいと思って・・・」
コサイが涙ぐみながら、僕の手を握る「マコト、ありがとう。」と僕の手を強く握る。
すかさず、クリカがコサイに突っ込む、「あんた、手を握りたいだけでしょ!」
クリカも疑いすぎだと感じたが、コサイは「バレた?」と舌を出しておどけて見せた。
まじか!
話しが逸れていくので、話を戻す
「カシムさん、どうですか?一緒に戦って貰えますか?一緒に捕らえられた家族を助け出しましょう」
「本当にいいのですか?本当に信じていいのですか?」
クリカが自分の事の様に「カシムさん。私達も戦いますから、大船に乗ったつもりでいて下さい。」
カシムが涙を流しながら「ありがとう。本当にありがとう」と泣きながら感謝した。
カシムが涙を流しているが、手を動かせないので、顔がクシャクシャになっている。
「モイナ、手を動かせる様にしてあげて」
モイナが念じるとカシムの手が動く様になった。
「じゃあ明日、トワ国に向かって出発しよう。」
カシムはさっきまでの険しい表情は消え、柔らかい表情に変わる。そして、一緒に食事を食べてクリカとモイナの部屋に一緒に寝る事になった。
眠らされた兵士達を解く術は無いみたいなので、大部屋の布団で3日間寝かす事になり、手紙を置いて行くこととなった。
僕達の旅は、コサイとカシムが加わり、明日から5人の旅に変わる事になった。
僕以外は血族だらけの旅になったのだ。




