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妻のいる天国かと思ったら異世界でした  作者: 鈴月桜
第9章 死の王女 ムワ・カシム
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刺客

護衛も居なくなり、クリカがコサイに質問する。

「ところで、何でコサイがここに居るの?確か「ヒワ家」は、トワ国内に住んでいたでしょ?それに両親はどうしたの?」


するとコサイの表情が曇る。そして涙ぐみながら語り始める。

「実は私の両親がトワ国王に捕らえられたの。」


「何で?アナタの両親が?物凄く温厚な人なのに」


「国王は私と娘を結婚させようとしているのよ。その事でヒワ城に両親と私が呼ばれたの」


「アンタ、まさかドレス着ていったんじゃあ無いわよね?」


「私だってドレス着たいわよ。ドレス着る機会なんて、そんなに無いもの。

ただ、そのせいで国王に、きちんと男として生活を送る様に言われたから、断ったの。


そしたら、いきなり怒って「お前は私の娘と結婚するんだから、私の言う事を聞きなさい!」と激しい口調で怒鳴ったから、私の両親が怒り、私を連れて城を出ようとしたんだけど、国王に捕まってしまったの。」


「国王に二人が捕まったの?そんなに国王は強いの?」


「たぶん」


「多分って?」


「国王が手を触れている間は、父も母も身動きが出来なかった。国王が右手を父に、左手を母に触れていて、国王の両手が塞がっている間に父が「逃げろ!」と私に言ったので護衛100人連れて逃げてきたの」


あれ?僕は2人の護衛しか見ていない。その他の護衛はどうしたのだろう?

「他の護衛は、どこに?」


「みんな殺されたわ。」


さすがのクリカも驚いて

「殺された?軍隊でも動かしたの?そんな噂は、聞いて無いわよ」


「ううん。送ってきた刺客は1名よ。」


「1名?」


「うん。ムワ(死)家の王女よ。」


「ムワ家って両親が亡くなり、王女は一般男性と結婚して、王家の体制を解除したって聞いているわよ。でもその王家に従っていた兵士達はトワ国の警備に拾われたって話だけど?」


「うん。元トワ国女王のタタン様と話し合って決めた事だったのだけど、タタン様が亡くなってからは、元ムワ家の人達は奴隷の様な扱いを受けているのよ。」


「それにしてもムワ家の元王女のカシムが何でこんな事を引き受けたの?ありないわ。確か争い事が嫌で王家から離れたって聞いているわよ」


「そうなのよ。だけどカシムが襲ってきている事は、本当の事よ。この目でみたもん」


するとクリカが怒りながら

「「みたもん」は無いでしょ!もう少し男らしくしなさいよ。さっきから女言葉を使ってばかり、いい加減にしなさい!」


ここで、それを指摘するのか?

しかし、コサイの言っている事に、僕は疑問に思う事が一つあった

「追われている身なのに、何でこんなに分かりやすい宿に泊まっているの?」


「だって、お風呂に入りたいじゃない。」

と顔を赤らめて回答した。


クリカがコサイの頭を小突く、「アンタ馬鹿じゃない!」


するとモイナが「ねえ、護衛の人達、黒い服を着た人にやられちゃったよ」


クリカ「えっヤバイじゃない。ここに来るわよ。でも何で分かるの?」


モイナ「えっ?でも、もう居るよ」


えっ?


部屋のドアが開き、30歳ぐらいだろうか?黒い着物の様な服を羽織った、妖艶なふいんきを感じる女性が立っている。彼女がムワ(死)国の元王女のカシムであった。

口元の小さいな黒子が妙に色気を引き際立つ

「コサイ様、王がお呼びですから、私と来てもらいます。」


「嫌よ、私は行かないわよ。私の兵士を何人も殺したアナタとなんか行く訳ないでしょ!」


「殺した?」


「何をとぼけた事を言っているの?100人いた兵士を次々と殺していったでしょ!」


「私はこれまで、人を殺した事は無いですよ。私が襲った兵士達は、3日間程、寝て頂いているだけですわ。」


「うそよ、脈が無かったもん。」


「一定期間、脈は失いますが、徐々に息をしていきますから、安心して下さい。ただ、森で襲った人達は、その間に獣に食べられちゃうかもしれませんが」


何かこの状況はヤバそうなので、身を守るオーラを発する。

いつもの事だが、オーラを発するとバランスが崩れてしまう。


僕を見てカシムが「そこの男、何してる?」


「僕ですか?」


「悪いわね、あなたも寝てて下さい。」


一瞬で僕の目の前まで移動してきて、右手の人差し指だけを立てて、僕の首に向かって手を延ばす。

僕の体が青白く光り、一瞬止まったカシムの手を僕が掴んだ。

「止まれ!」


カシムは身動きがとれなくなり

「貴様、何をした!この訳が分からない術を解け」

と激しい口調で抵抗する。


「えっ?だって解いたら、僕を襲うでしょ!」


「ねえモイナ、彼女を椅子に座らせて」


「うん」と言って、身動きがとれないカシムを椅子に座らせる。そして、両手をテーブルの上に置いてモイナが念ずる。

「マコト、手を固めたから、大丈夫だよ」


僕は彼女を自由にした。


カシムの手がテーブルから離れない。

「どういう事だ!この手を動かせるようにしろ!」


「とにかく、話し合いましょう。皆も座って」


モイナとクリカは席に座る。コサイは唖然としながら、僕とモイナを見て

「君達は何者なの?」

と不思議そうに呟いた。

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