ヒワ・コサイ
2人の男が僕を両側から肩と腕を掴む。僕も無抵抗で従った。
「お前は何をしている!」
とドアを開けたまま尋問をされる。
部屋の中から「とにかく外でやって。早くドアを閉めてよ」
男達は「分かりました。すいませんでした。」
と言って、ドアを閉める。
僕は男達に連れられて、1階に連れて行かれる。
1階のロビーに置いてある椅子に座らされ、
「お前は誰だ!王子を狙ったのか?」
状況がよく分からず、戸惑ってしまう
「いえ、僕達はあそこの部屋で宿泊するつもりだったんです。」
この騒ぎに、中年の男性がやってきた。
すると男達が、その中年男性に話し掛ける。
「おい、店主。この男がこんな事を言っているが、どういう事だ。」
店主?
すると、中年男性が「いや、僕は知りません。妻と一緒に厨房で食事を作っていたので、この受付には、誰もいない筈ですよ。」
「えっ?ここに居た老婆に3人分の宿泊料金で緑貨3枚を渡したんですよ。」
「緑貨3枚?そんなに出したんですか?そいつは詐欺師ですよ」
するとトイレに入っていたモイナとクリカがやってきた。
クリカが男達を見て「あれ?あんた達は、確かヒワ国(月)のコサイの護衛?」
一人の男がクリカを見て「クリカ様ですか?」
「当たり前でしょ。見れば分かるでしょ。私の仲間に何をしているの?」
「いえ、この男が王子の着替えを覗いたんです。」
「何で男が男の着替えを覗くのよ?まだアイツは女装してるのね。私があの馬鹿に説教してくるわ」
と階段に向かって歩き始めた。
「クリカ様、お待ち下さい。」
と二人の男は僕から離れて、クリカを追った。
クリカがコサイ王子の部屋のドアを叩く
「コサイ、出てきなさい。」
「えっクリカ?」
「そうよ、早く出てきなさい」
「嫌だよ。何でクリカがここに居て、そんなに怒ってるの?」
「いいから出て来なさい。ドアを壊すわよ」
「分かったよ。でも怒らないって約束する?」
「ちゃんと出てくれば怒らないわよ」
「絶対だよ」
カチッ
ドアが開く。コサイの姿を見て、クリカはコサイの頭を叩いた。
「何でこんな恰好してるのよ!」
寝巻きなのだろうか、ピンクのワンピースにスカートの裾に犬のワンポイントが縫ってある。
「怒らないって約束でしょ!」
クリカは怒りを抑えながら
「ちょっと下に来て頂戴」
するとコサイが「ねえクリカ、このワンポイント可愛いでしょ」
クリカは再度、コサイの頭を叩く
「いいから、早く来なさい。」
「怒らないって言ったじゃないか」
「これは教育だ。」
コサイとクリカ、それとクリカを押さえに行った男2名が階段から降りてくる。
コサイが僕に挨拶をしてきた。
「私はヒワ・コサイです。よろしくね。」
と僕の手を握りしめる。男と分かっているが、容姿は物凄く可愛い女の子である。
つい赤くなってしまった、
それを見てモイナが「マコト、男の子と握手して照れてる。変なの?」
僕は我に返り、「自分とモイナを紹介した。」
僕は店主に「あの~お金は払いますから、僕達の部屋は用意出来るでしょうか?」
「ごめんなさい。部屋は満室なんです。」
とチラッとコサイを見ながら話した。
何かあるな。僕は店主の心の声を聞く。
(10人以上の大部屋2つを、コサイ様が2つとも押さえてしまったから、大部屋希望で来た人達を個室に案内してしまったんだよなあ)
そういう事か。
「あのすいません。良ければ大部屋でごろ寝でもいいので、泊めてくれませんか?」
「すいません。この宿泊所は大部屋が無いんです。」
するとクリカが
「大部屋が無い宿泊所なんて、聞いたことが無いわよ。ちゃんと説明しなさい。」
さすがに見かねたコサイが
「大部屋二つを僕達が押さえちゃったんですよ。ただ言っておきますけど、料金もちゃんとそれなりに払ってますよ。」
「じゃあ、コサイの部屋に私とモイナが泊まるわね。コサイとマコトは、そこの護衛達と泊まりなさい。」
コサイが泣きそうな顔をして「私が男と一緒に寝ろと言っているの?酷いわ」
「だから、お前は男だろ。とにかく私とモイナはアンタの部屋に行くから、早く出て行ってくれるかしら」
と言い放ち、モイナと部屋に向かった。




