血の能力
モイナも移動する能力がある事を確信した。
今はそれよりこの兵士達をどうにかしないと・・・
他の3人の兵士も先ほどと同じ様にしてから、下に降ろした。
さて、この兵士達をどうしようか?
「この後どうしようか?」と二人に話し掛ける。
クリカが怒りながら「このまま、ここに置いて行こうよ」
でも、もし誰も助けなかったら死んでしまう事もあるかもしれない。それこそ指名手配にでもなってしまったら大事である。
「ねえモイナ、移動する能力があるの?」
「うん。アイナからコツを教えてもらったんだ。」
「アイナみたいに、触れた人ごと飛ばす事が出来るの?」
「うん。体が触れてれば多分大丈夫だよ。ただね、人は飛べるんだけど、手に持った物は飛ばないんだよ。」
「そうなんだ。だから漁をしたときも使わなかったんだ。」
「それは、マコトにお姫様抱っこしてもらいたいから、使わなかったんだよ」
と平然と言った。
「ではモイナ、この兵士4人と僕とクリカを街まで飛ぶことが出来るのかな?」
「やったことが無いけど、やってみるね」
その言葉にクリカが心配そうに「もし、ダメだったらどうなるの?」
モイナが明るく「分かんない!」
するとクリカが「私はここで車を見てるわ」
「じゃあ、僕とモイナで行ってくるね。すぐに戻るから待っててね」
兵士4人の体をつけて、兵士の両端に僕とモイナの片手で触る。もう片方の手でモイナと手を繋ぎ、6人で円陣になる。
「じゃあモイナ頼む」
モイナが目を瞑ると、一瞬でアイナとカイナと別れた場所に瞬間移動した。
良かった、全員無事に移動している。
僕は両手を固定したイメージを解除した。ただし、ツルはそのままにして話掛ける。
「僕達はまた旅に戻りますね。僕達が向こうに戻ったらツルも外しますから安心して下さい。」
兵士達は黙っているので、「モイナ、行こうか」
「うん」
モイナと手を繋ぎ、クリカがいる場所へ瞬間移動したのであった。
クリカの目の前に移動した。
いきなり表われた僕とモイナに驚く
「キャッ!」
そして、尻もちをついた。
「いた~い!いきなり表われないでよ」
モイナがクリカに「ごめんね、クリカ」
「ううん、モイナはいいのよ」
と言って僕を睨んだ。
えっ!僕?
「まあいいわ。それより、これでいいかしら?」
何がいいか分からないが、クリカが指さす方を見た。
あれ!
車の車輪に土で出来たタイヤの様な物が着いている。
「これで、揺れが無くなるわよ」
これで?
モイナが車輪に手を触れる。
「ねえマコト、これってすごく柔らかいよ」
「土が柔らかい?」
僕も車輪に触れてみた。
なんだこれ?
まるで、グミの様に柔らかく、ちょっと押すと凹むがすぐに元に戻る。まるで無反発性のまくらの様な感覚である。
「これって、クリカの能力?」
ちょっと自慢げに「そうよ、私は地の王女よ。これぐらい簡単よ」
あれ?
「ねえ、もしかして本当は最初にやる筈だったんでしょ?」
クリカが「な・何を言ってるのよ」と動揺している。
「両親が僕達を見送る時に叫んでいたのは、この事だったのでは?」
するとクリカが誤魔化す様に「モイナ、食事の途中だったから、車の中に入ろう」
「うん。食べようクリカ」と手を繋ぎ車に入って行った。
まあいいか
僕も車に乗り、昼ごはんを食べ始める。
クリカが「走って!」と言うと車が動き出した。
これから食事を食べるのに、いくら柔らかい素材に車輪が覆われているとはいえ、道が舗装されていないこの道では揺れるのは必須だ。
せめて食事を食べ終えてから走って欲しかったのだが・・
テーブルにコップを置いて、コップの中に水を入れ始める。
「えっ?零れちゃうよ」
するとクリカが「何で?」
コップに水を注ぐが、水面も揺れない。
確かに動いているのだが、何で?
「ねえ、クリカ?何で揺れないの?」
また自慢そうにクリカが語る
「あの車輪は、地面と一体化するのよ。だから、例え凸凹でも関係ないの。勿論、車も停車しているのと同じなのよ」
??
車輪が一体化?どういう事?
気になる。
「ねえクリカ、ちょっと止めて」
「もう何よ」と面倒くさそうに答える。
「ねえ、ちょっと外で動く所を見せてもらってもいい?」
「まあ、別にいいわよ」
車が止まる。
僕は外に出て、「クリカ、ちょっと動かして」
車が動き出す。
車輪が動くと、車輪が地面に触れた瞬間に地面と同化する。そのため車が上下に揺れない。
まるで、歩く歩道みたいだ。ただ動力が車輪であり、車は一切動かない。
でもこの土より大きな障害物を踏んだらどうなるのだろう?
「クリカ、ちょっと止まって」
車が止まる。
僕は少し大きな石を車輪の前に置いた。
「クリカ、走ってみて」
!!
なんと、石が車輪に当たると石が変形していく。しかし車輪から離れると元の石の大きさに戻った。
「凄い。」
「クリカ、これ凄いよ。」
「当たり前でしょ、私は凄いのよ」
と完全に有頂天になっている。
僕は再度、車に乗る。
「ところでクリカ?泊まれる街があるのは、どの辺だっけ?」
「大きな石が両脇にある所を過ぎれば、そこからすぐに街が見えてくるわよ」
しばらく走っていると、二人は騒ぎ疲れたのか寝てしまう。
二人の寝顔を見て、まるで、娘を見守っていた時を思い出す。
地球ではどうなっているのだろう?
咲子も景子もどうしているのかな?
想い拭けていると、大きな石が両脇にある場所が見えてきた。
僕は二人に語り掛ける
「大きな石を通ったよ」
するとクリカが起き上がり「この石を通れば、もう少しで街よ」
と、いかにも知っていたかのように話し掛けてきた。
大きな石の横を通ると長い長い下り坂があり、坂を下りて更に前方に街が見えた。
モイナが「街だ。マコト早く行こうよ。」
段々と辺りは暗くなってきているのだが、何とか夜になる前には街に着きそうである。
そして、街の入口に到着した。




