再出発!
クリカの店のドアを開ける。
「ただいま!」
つい言ってしまった。
すると店内に居た客が僕を一斉に見る。
我に返り、「すいません」と言いながらカウンターに行くと、
「モイナちゃんもクリカも部屋に戻ってるぞ」
と言われ、僕は服屋で得た情報を伝えに2階へ駆け上がった。
そして、部屋のドアを開けて中に入る。
!
部屋の中央にモイナとクリカの姿が目に入り、髪の毛を肩ぐらいまで切ったモイナの姿に驚いた。
こんなにも髪を切っただけで、変わるのか?
驚きと共に、何か懐かしい感じを抱く。何だ、この感じ・・・
あれ?
自然と涙が溢れ出て来た。
もしかして忘れてしまった娘も同じ髪型だったのだろうか?
言葉を失った僕にモイナが話し掛ける
「どう似合う?」
と笑顔で僕を見た。
あれ?
また涙が・・・・
アイナ達との別れの時もそうだったが、また、涙が溢れだしてきた。
何で?
クリカが「マコト、そんな泣く程に可愛いと思ったのか?」
涙を手で拭いながら
「そうかも知れないな」
と笑顔で答えるのであった。
そして、僕から二人に先ほど買った服をプレゼントした。
モイナもクリカも大喜びで、アタッシュケースから服を出して並べている。
同じ種類の服なのだが、糸は同じ物を使っているが、服の布の色は違った。
店主が言っていた糸の色について説明すると、関心しながら聞き入っている。さらに服の長さの調整の仕方を教えると、お互いに交換出来る事を知り、同じ種類の服をお互いの好みの色に分け始めた。
二人で仲良く、選別している様なので、僕は先に店に降り、二人の選別が終わるのを、店で待つことにした。
店は段々と客が増えてきて、所々で笑い声が聞こえる。
僕は階段近くのいつも席に座って、二人が来るのを待っていると、クリカの母が横に座った。
「マコトさん。娘をよろしくお願いしますね。」
「いやいや、僕の方こそクリカさんが居てくれれば助かりますよ。」
「そういえば、スワの町って、ここから遠いですか?」
「そうねえ。「ター」を使えば、7日ぐらいで着くかしら」
「ター?」
「あら、知らないの?」
と言ってカウンターに行き、すぐに戻ってくる。
手には、ミニカーぐらいの大きさの馬車の荷台を持ってきた。
馬車?それとも車?
馬車の荷台の様な乗り物で、大きな車輪が4個ついている。
「これを貸してあげるわ。スワまで続く道で魔法を掛ければ、人が乗れるぐらいの大きさに変わるから、勝手にスワの町に行けるわよ。」
「勝手に着くんですか?」
「そうよ、勝手に進んでくれるわ。ただスピードは、イマイチだけど」
「これが、「ター」って言う乗り物なんですね」
「そうよ。使い方は明日の出発の時に教えてあげるわ」
「ありがとうございます。」
「そろそろ、食事を持ってくるわね。」
と言って厨房に入って行った。
本当に何から何まで教えてくれて、感謝しか出てこない。
すると、階段で足音がする。
えっここで?
モイナとクリカが舞踏会用の衣装で下に降りてきた。
モイナが薄い黄色で、クリカが薄い水色の衣装だ。
モイナ「クリカ!歩きづらいよ」
クリカ「ちょっと、スカートの裾を持つと歩きやすいわよ」
と話しながら降りてくる。
さすがにクリカの両親も驚きを隠せない。しかし店の客は二人の姿を見て盛り上がる。
「クリカちゃん。可愛いよ」
「二人共、お姫様みたいだぞ!」
等と声を掛けて来た。
クリカの両親もテーブルに近づいてきて
クリカ父「これはどうしたんだ?」
クリカ母「高かったでしょ?」
「今日、服屋で買ったんです。一緒に来てくれるクリカさんへの、僕からのプレゼントです。」
クリカ父「本当にいいのか?」
「はい。勿論です。」
そして、夕食を食べたのだが、案の定、モイナは血を衣装に垂らして、落ち込んだのであった。
この宿の最後の夜は、騒がしく、そして楽しく夜を過ごしたであった。




