同行
そんな貴重な女子の吸血であるモイナの両親はどこにいるのだろう?もしかして2人目の子供で捨てられたのだろうか?
「ではモイナは、どこの家系なのでしょうか?」
「実は俺も考えているのだが、こんな話を聞いた事が無い。各王族の子供の情報は嫌でも入ってくるからな。」
「そうなんですか」
「ただ、吸血だと言う事を周りの人間に伝えない方がいいぞ」
「何でですか?」
この国のサワ家に子供はいないんだよ。一度結婚して子供を産んだのだが、死産で跡継ぎがいないんだよ。ただ跡継ぎを残すのをラカロは諦めていない。」
「ラカロって?」
「サワ・カロ国の国王だよ。」
「その跡継ぎの子供を産ませるために、うちのクリカを狙っているんだよ。」
「クリカを?」
「そういう事だ。だから毎晩、チワ家を慕っている人がクリカを守ろうと、毎日沢山の人がこの店に来てくれるんだよ。」
「そんなにサワ家の王様は酷い人なのですか?」
「そんなに酷い奴では無いのだが、なんせ歳が俺と同じなんだよ。さすがに娘をアイツの嫁にするのは嫌だ。」
確かに親としては嫌だろう、痛いほど親の気持ちは分かる。
クリカの母が話し掛けてくる。
「ねえ、マワ家の子供の件は関係ないかしら?」
「実は俺もそう思ったが、確か殺したと聞いているが」
「マワ家?」
「うん。マワ家で双子が産まれたんだよ。男と女が産まれたんだが血を受け継いだのが男の方だったので、女の子の赤ちゃんを殺したと聞いている。」
「そのマワ家の人は、どこにいるんですか?」
知恵と言うからには、どこかの国を治めていた家系だろうと勝手に思っていた。
「それが、どこにいるか分からないんだ。あそこの家は常に旅をして生きている。旅といっても、一つの街で2,3年過ごし、また別の街に移動するらしい。」
意外な回答に言葉を失う。
でもモイナの両親である可能性は、充分考えられる。
僕はモイナに話し掛ける
「なあモイナ、お前を産んだ両親に会いに行かないか?」
いつもは即答で返事が返ってくるのだが、さすがに考え込んでいる。
そして「マコトも一緒に行くのならいいよ。会ってみる。私もこの目で見てみたいから」
「うん。じゃあ探しに行こう!」
クリカが心配そうに「大丈夫なの、アンタ達2人で?さすがに人や光、闇にも悪い人がいるんだよ?」
「多分、大丈夫だと思う」
「まあそうか、マコトは異世界人だもんね」
その言葉にクリカの両親が驚く
「えっお前!異世界人なのか?」
と、あまりの反応の凄さに僕が尻つぼんでしまう。
「はあ。そうです。」
まったくクリカが言うなって言ったのに・・・
すると予想外の言葉が返ってきた。
「お前達、これから世界を廻るのだろう?クリカも連れてってくれないか?それにマワ家の息子もクリカは知ってる。きっと役に立つぞ」
えっ?
何で?
僕はモイナを見るが、満面の笑みで僕を見つめている。完全に一緒に行く事に賛成しているようだ。モイナが僕の頭に話し掛ける
(一緒に行っていいでしょ?)
僕もモイナに心の声で答える
(分かったよ)
そしてクリカの両親に伝える。
「分かりました。クリカが良ければ連れてっていいですよ」
するとクリカが怒りながら
「連れてってもいいです。では無いでしょ!一緒に行って下さいでしょ!」
クリカはいつも上から目線で言ってくる。ただ、ここで反論するのも大人気ないので
「分かったよ。一緒に来て下さい。お願いします。」
「しょうがないわね。一緒に行ってあげる。そうと決まれば、モイナ?」
「何?」
「髪の毛を切りに行くわよ」
「うん」
と二人で席を立ち、店を出て行った。
床屋でもあるのかな?
でも街を二人で歩いて大丈夫なのだろうか?王家が狙っていると言っていたのに
「二人で出て行って大丈夫ですか?」
「ここら辺は、チワ家を慕ってくれている人達が暮らしている街だから大丈夫だよ」
そうか、そういう事か。それなら安心だ。僕もちょっと街の散策をしようかな
「ちょと僕も街を見に行ってきますね」
と言って店を出て行った。




