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妻のいる天国かと思ったら異世界でした  作者: 鈴月桜
第4章 消えゆく記憶
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消えゆく記憶

「わあ~凄い」


おかしいなあ?モイナを抱っこして跳んでも、同じ感覚で跳べる。

やっぱり、体重は関係ないのか。

では何で?


色々と考えながら、モイナの指示した方向へ進んでいると小さな川が見えた。


「あそこ、あそこよ」


モイナを抱っこして跳んでいた僕たちは、川のほとりで着地した。

川幅は10mぐらいで、川の流れは緩やかであり、川遊びに適した川と言える。


「どうやって魚を捕るの?」


「私が先にやるから見てて」


モイナは川の一辺を集中して見つめている。


すると、見つめている場所の直径1mぐらいの円が水面から水底まで円柱のように、1mぐらい上に持ち上げられる。そして、その円柱様に川から切り抜かれた水の塊が、僕たちがいる場所の前まで運ばれて、モイナが力を抜くと水が落下した。

水しぶきがあがる。水滴が僕の頬に当たる。


「うわあ~冷てえ!」


冷たい川の水を手で拭いながら、水が落ちた場所を見ると、1匹だけ魚がバタバタと地面に打ち上げられていた。


モイナが残念そうに

「1匹だけだった。」と頬を膨らませ、納得いかない表情を浮かべる。


「いやいや、モイナ凄いよ。川の水を切り取るような事、よく出来るね。びっくりしたよ」


「次はマコトやってみてよ」


「僕はそんな事出来ないよ」


「そうかな?マコトには能力を感じるんだけど」


確かにちょっと気になっている事はあった。

崖から飛び降りた時、アイナを運ぶ時に体が青白く光った時に、何やら体の中から何か出て行った感覚を感じていた。


「じゃあ、ちょっとやってみようかな」


「うん。やってみて、マコトなら川ごと移動させちゃいそうね」


その言葉には苦笑いを浮かべる。


とりあえず、水を持ち上げるイメージを持ちながら、川の真ん中を見つめて、声を出す。

「浮き上がれ!」


すると川の手前から向こう岸まで2mぐらいの幅の水が上に浮き上がった。

勢いよく持ち上げるイメージしたので、川の水は2,30m上空まで浮き上がり、僕達の上で弾けた。


大きな水の塊が僕達の上で下に落下し始めた。


「あぶない!」

急いでモイナをお姫様抱っこで抱えて、少し離れたところまでジャンプした。


直地して、僕達が居た場所を眺める。


まるでダンプカーの荷台いっぱいに溜まっている水を、空から地面へ向けて一気に溢した感じであった。


「あんなのを被ったらケガする所だったね」

しかしモイナは、落ちて来た大量の魚に目がいき、僕の言葉は聞いていない様子だった。


それにしても、この力は一体なんなんだ?


大量に捕れた魚にモイナが魚の血を求めて、急いで魚が打ち上げられた場所に走った。


昨日の煮干しではなくて、魚の新鮮な肉を食べたい僕は

「モイナ、2匹だけ血を吸わないで」


「うん。分かった」

とモイナは笑顔で魚の血をすすりながら答えた。


モイナが魚の血をすすっている間、この状況を解明しようと地面に腰を掛け考える。


ふう~


しばらく考えたが、出るのはため息ばかりである。

ただ、屈託のない笑顔を見せるモイナの表情を見ていると、いくらかその不安も取り除かれた。


そう言えばモイナの本当の両親は何処にいるのだろう?

あんなに可愛い娘を捨てるなんて、信じられない。

何か理由があるのかな?


モイナが充分に血を飲み終えて、僕の所に来て地面に座った。

「お腹いっぱい」


「そうか、良かったね」


僕は本当の両親の事について、聞こうか迷ったが、思い切って聞いてみた。

「モイナを産んだ両親は、今どうしてるの?」


「生まれてすぐ捨てられたみたいなので、全然分からないの。ただ、容姿から人とだけしか分からないんだ。


「マコトの両親はどんな人?」


「僕の両親?」


「うん」


えっ!両親の顔が思い浮かばない。僕を見て微笑む母の顔も、酔いつぶれて居間に寝ている父親の顔も思い出せない。それも顔だけが、ぼやけていて他の手や足、身体は思い浮かべる事が出来る。


いくら考えても思い浮かばない。


「マコトごめんね。色々あったから記憶が混乱しているのかもね」


「う・・・うん」


その後も両親の顔を思い出そうとするが、思い出す事は無かった。


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