13話〜vsブラックスネーク〜
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残りの五匹も仲間の断末魔に気づいたのかこちらに近づいて来ている。
左前方に二匹、俺の方……右側前方に三匹が別れて展開してきた。
「僕がこっちの二匹を倒しておくよ!そっちの三匹を君が倒してくれ!」
いいっ!?最初っから複数体!?ようこそさんマジですか……
"狼狽えることは無いわよ。まずは相手に『スロウ』を掛けなさい"
(はいはい、了解ですよ……っと!)
『神眼』で捉えた三匹の方にクロノサイスを持ってない左手をかざし、『スロウ』を発動する。
すると飛びかかってきていた一匹は空中で静止し、残りの二匹も止まっているように見える。
(いや……正確には凄くゆっくり動いてる?地面にいるやつだとよく分かるな。確実に少しだけど動いてるな)
今は能力を正確に分析しないとな。この効果を見るに俺の今あるスキルの中でも主力級だ。使っただけでもほぼ止まったように見えるし。どんなやつでも完封できるんではないのか?
"このおバカ!早く倒しなさいよ!ずっと効果が続くわけじゃないのよ!?"
見れば少しずつ動き出してる!それもさっきよりも早く。
(うぇぇ!?効果時間があんの!?)
"当たり前よ!スキルの強化もしてなかったでしょ!"
とりあえず、飛びかかってきていたブラックスネークをサイスの内刃で切り払う。
胴体が真っ二つになり、血が吹き出す前にフィグメントになった。
そこで時間切れだったのか、残りの二匹が飛びかかってきたので、慌てて身を捩って躱す。
(あっぶねー……過信しないって前も思ったのになぁ)
心で思いつつ次へ。今度はヘイストを試す!
これについては試したいことがあったんだよね!クロノサイスを加速させてみよう。
(クロノサイスを両手で持って……上手くいけよ……!)
そしてクロノサイスが淡い光を纏う。これでいいのだろうか?
"上手くできたじゃない。上出来!それで目の前のを薙ぎ払いなさい!"
「よ、よし!いくぞ……」
目の前に迫るブラックスネーク。よく見て狙いを定め、真横に振り抜く!
「せいっ!」
スッ……と音がしてブラックスネークが消えた。そしてフィグメントだけが残る。ちょっと待て!さっき振った時はブォンッて感じの音だったのに、今のは風を切る音がほぼ無かったぞ!?
"どう?風や音すらも置いてけぼりにする加速の効果は?まぁ、複数に付与してる訳じゃないから効果が大きかったのね"
スクルドがドヤ顔しながら説明してくる。(表に出てないから顔見え無いけど、そんな顔してると思う)
感慨に浸る間もなく、最後の一匹を見すえる。
次は『ブラックアウト』だ。果たして予想通りなのか……
すると『神眼』の表記に範囲指定可の文字が。
今は一匹だし単体指定かな。とか思っていると文字が単体指定に切り替わった。思考した内容が反映されるのは有難い。
「そんじゃ、やりますかねッ……!」
手をかざして『ブラックアウト』を発動。一直線に俺に向かって飛びつこうとしてたブラックスネークが、急にカクンッと身体を倒し、地面に打ち付ける。止まる動作をしていないので少し地面を滑り、動かなくなった。
いや、正確にはビクビクと痙攣していた。柔道の授業とかでたまにみる、首を絞めすぎて『落ちた』状態と言った方がわかりやすいだろうか。
「意識を刈り取ったって訳か……」
"恐らくもう少ししたら起きるわよ。今度はクロノサイスでスキルを発動させなさい。ヘイストと同じ様にね"
指摘通り、ブラックスネークがゆっくりとだがムクリと起きる。今度はクロノサイスでブラックアウトを発動し、切り裂く。
様に思ったのだが、ブラックスネークは切り裂かれずに胴体はそのままだ。
何が違うのだろうかと思っていたが、さっきと違って起きる気配がない。倍以上の時間は気絶している。
"直接身体に効果を流し込むのと、外から間接的に当てる場合とでは効果の違いが歴然でしょう?干渉系は直接的に流し込まれると強い効果があるってこと、覚えておきなさい"
(案外とんでもない能力だけど、Cランクなんですよなぁ……)
そう思いながらも目を覚まさないブラックスネークにトドメを刺す。許せ、こっちも生きるためだ。すまんな。
そして三つのフィグメントを回収してようこそさんと合流したのだが……問題が起きたようで。
「良かった、無事だったようだね……早速で悪いけど移動する。他の群れも近くにいたようだ……こっちには気づいていないから今のうちに離れよう」
「分かりました」
こうして。初めての戦闘は難なく終わったのだが、課題も多かった。スキルについてもう少し知っておかないとまずいなぁ……と思いつつも帰路につく。
こっちの事を伺うように見ているようこそさんには気づかずに。